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[ サスペンス ]
闇に問いかける男
トマス・H・クック 出版月: 2003年07月 平均: 5.25点 書評数: 4件

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文藝春秋
2003年07月

No.4 6点 レッドキング 2022/12/13 21:33
少女殺し容疑者の若き浮浪者。男の有罪確証を得るリミットの朝までは12時間、その一夜の群像劇。取調室で浮浪者と「対話」を続けるユダヤ人刑事、妻を亡くし病床の娘を気遣う清掃業者、殺された少女の母親、4年前に自身も娘を殺された刑事、理想ではなかった息子を拒否し駄目にしてしまった刑事部長、ジャンク品売買業者、病身の妻子を持つ「無能」な巨漢刑事、スラムから叩き上げ登り詰めた本部長、ノミ屋の男・・・ハードボイルドな「ニヒル」人物設定を超えた、ブンガクな「痛ましい」人物造形は相変わらずだが、それまで直接には交わらない清掃業男とユダヤ人刑事を、真実解明エンドで繋げる等、なかなかなミステリテクを披露してくれる。が、なんといっても「主役」の浮浪者・・半異形半妖精の様な・・がミステリで、映画「グリーンマイル」落ち予想を超えて、最後までブンガクしてくれてる。あとは、真犯人がちゃんとフクセン登場してくれていたら・・本格してた。

No.3 5点 ROM大臣 2022/01/20 16:10
幼女殺しの容疑者を勾留期限が切れるので、それまでに動かぬ証拠を突きつけたいというタイムリミット・サスペンスの体をとっている。
メインは謎の容疑者を巡るストーリーだが、それにいろいろな人の人生が絡んでくる。刑事たち自身の過去や、ゴミ集めの人の鬱屈とか。モジュラー型警察小説みたいな面もある。さまざまな人生の一夜が同時並行的に進行していって、最後には刑事たちの物語に一応の片がついたあと、エピローグ的なところで、いかにも作者らしい感動的なラストが。ただ事件の真犯人に直結する手掛かりが、出来すぎか。

No.2 4点 E-BANKER 2013/10/17 21:38
2002年発表の長編作品。原題は“Interrogation”(=尋問かな?)
トマス・H・クックは初読みなのだが、前から気になってた作家のひとりではあった・・・

~NY市内の公園で少女が殺害された。公園に住み、そこで遊ぶ少女たちをひたすらスケッチしていたもの静かな若者が容疑者として拘留されるが、殺害を頑として否認し続ける。なすすべもない二人の刑事。証拠物件も見つからず、釈放までに残された時間はあと11時間・・・。クック会心のタイムリミット・サスペンスの結末はあまりに切ない~

うーん。期待していたものとは違った。
ひとことで言うならそんな感想。
紹介文からは、「緊迫感に溢れスピーディーな展開のサスペンス作品」を期待していたんだけど、どちらかというと心理面に焦点を当て、じっくり読むタイプの作品。
各章前には時間の経過を示す時計盤が挿入され、そこで緊張感を高めたかったのかもしれないが、成功しているとは言い難い。
要は、狙いと結果がずれていて、何かちぐはぐな印象なのだ。

二人の刑事の捜査過程がメインプロットなのだろうが、途中から脇役の登場人物がつぎつぎに登場し視点人物化していて、かなり読みにくい。
ラストには一応ドンでん返しめいたサプライズは用意されているのだが、ちょっと唐突だし蛇足気味。
などと、不満点は次から次へと浮かんでしまう。
で、良かった点はというと・・・・・・(思い浮かばない!)

作者といえば「緋色の記憶」に代表される「記憶シリーズ」など、世評の高い作品群もあり、そちらを手に取るとこをお勧めします。
かくいう私もそうすればよかったなぁ・・・
(良質な「タイムリミット・サスペンス」という惹句には弱いんだよねぇ)

No.1 6点 蟷螂の斧 2013/04/26 21:26
(タイトル・男⑪)ニューヨークの公園で少女が殺害される。容疑者として勾留されたのは、日頃から公園に寝泊りし、そこで遊ぶ少女たちをスケッチしていた、もの静かな若者だった。しかし彼は頑として犯行を認めず、物的証拠もみつからない。釈放までに残された時間はあと十一時間…というタイムリミットサスペンス。容疑者、刑事とも暗い過去(心の闇)があり、うまく描かれていると思います。やるせない感じの物語でした。


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