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石のささやき
トマス・H・クック 出版月: 2007年09月 平均: 7.00点 書評数: 2件

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文藝春秋
2007年09月

No.2 7点 レッドキング 2020/02/12 10:36
現人類以前の古代人類には聴こえていたという「声」。偉大な詩人や狂者病者犯罪者の耳に通底して聴こえた「声」。父から姉弟その息子娘へと受け継がれるおぞましい血と「声」。静謐な筆致で描写されて行く絶望感と恐怖。
それでも、一体、何が起こってしまったのか?のホワットダニットの結末は、「声」による救いだった。

No.1 7点 2012/11/14 09:30
主人公ディヴィッドの姉であるダイアナの息子・ジェイソンの死の真相は?
ジェイソンの死後、ダイアナの行動の意味は?
主人公の父親とダイアナの関係は?
ダイアナの夫・マークはどのように絡んでいるのか?
一人称と二人称の語りが交互に並列して進む物語構成の意味は?
ディヴィッドの役回りは?この語りは信じるに足るのか?

細かな謎は多くありますが、事件そのものの顛末は想定どおりというか、大きな驚きはありませんでした。むしろ、ある○○○が物語の根幹へどのように関わっているのかが、この小説のミステリーとしての真の面白さだと思います。その○○○については少し知識があるだけに、事件の真相にどのようにリンクしていくのか興味がありましたが、実はこういうことだったのですね。知識があるわりには気付くのが遅かった。
これについて解説の池上冬樹氏は、最後の一行が必要だったのかと疑問に思っているようです。たしかにこの一行がなくても読者に伝わるとは思いますが、作者はとどめをさすために、俗っぽく攻めたかったのでしょうか。
解説によれば、前作の「緋色の迷宮」も同じ語りのスタイル(一人称と二人称)だそうです。今作は○○○との関係からこうしたのだと思いますが、前作はどうなんでしょうか。こういうスタイルの小説の経験が少ないので、容易には想像できません。

池上氏は本書の解説でもネットサイト等でも、文学性ゆたかなクック作品を絶賛しています。文学素養のないわが身にはやや重すぎる感はありましたが、ミステリーとしては上等の部類だと思います。


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