皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 法廷・リーガル ] マンアライヴ |
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G・K・チェスタトン | 出版月: 2006年09月 | 平均: 4.50点 | 書評数: 4件 |
論創社 2006年09月 |
東京創元社 2023年01月 |
No.4 | 4点 | 虫暮部 | 2023/02/24 14:36 |
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うーむ、これは……解説を読んでも何だか良く判らない。降参です。
ウォーターベイビー云々は邦題『水の子』、岩波少年文庫で読んだなぁ。 |
No.3 | 5点 | YMY | 2021/11/30 22:53 |
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いわゆる本格ミステリというより、観念小説とでもいうべき作品だが、私設法廷で裁かれる悪人イノセント・スミスの行動をめぐる謎解きは、生きるとはどういうことか、という永遠の命題を我々に突きつけてくる。 |
No.2 | 4点 | ボナンザ | 2019/04/28 00:33 |
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重度のチェスタトン好きでなければお勧めはしない。
あまりにユニークな内容。 |
No.1 | 5点 | 弾十六 | 2019/01/04 23:22 |
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1912年出版。単行本書き下ろしのようです。2006年評論社で読みました。
『童心』の最終話「三つの凶器」が1911年6月雑誌掲載。『知恵』の第1話「グラス氏の失踪」が1912年12月雑誌掲載。その間にこの長編が出版されています。 騒がしさ満点の作品。溢れ出すチェスタトン流イメージと絶え間ない逆説の数々、霊感に撃たれいきなり狂う(正気に戻る)人々が詰め込まれているので読んでて疲れます。ブラウン神父ものが抑制された薄口GKCだというのが良くわかります。若い女性が三人も出てくるのが珍しい。 イノセントというのがテーマ? 『童心』の主人公が全然イノセントじゃなかったので、思い切りイノセントなのを書くぞ! という次第かも。(きっと色々溜まってたのでしょう) 作品自体ははちゃめちゃなおとぎ話。似たようなネタが続くので飽きちゃいます。でもなんとなくGKC流自伝的小説なのでは?と感じてしまいました。このような手放しの楽天主義が科学文明と集団主義の本物の悪夢である第一次大戦を経てどうなったのか、が当面の私のチェスタトン読書の興味です。 ところでマンアライヴ(man alive)のaliveは形容詞として名詞の後ろにしかつかない珍しい例らしい… (alive manは破格) 以下トリビア。 p8 細身で背が高く、鷲のようで、色黒だった(Tall, slim, aquiline, and dark): darkは、多分、髪の色(及び眼の色)。 p12 小柄で快活なユダヤ人…黒人の彼のみなぎる活力(a small resilient Jew... a man whose negro vitality): 多分「(黒人のような)野蛮な」ヴァイタリティという意味じゃないのかな? 後の方で「祖先がセム人」と書かれているけど黒人描写はありません。 p38 黒人が歌うのは、古い農園の歌/白人の間では廃れた流儀で口ずさむ(Darkies sing a song on the old plantation, Sing it as we sang it in days long since gone by): Alfred Scott Gatty’s Six Plantation Songs vol.1 (London 1893?)の6曲目、タイトルはGood Night。ここでの[we]は白人のことじゃないような気がします… p40 若いロチンバ(Young Lochinvar): ウォルター スコットMarmion(1808)より。chiは軟口蓋音で「ヒ」か「キ」が近い。Thomas Attwood作曲(声とピアノ)、Joseph Mazzinghi作曲(3声合唱)が引っかかりました。ここのはアトウッド版か。 p40 よく磨かれた大きなアメリカ製のリボルバー(a large well-polished American revolver): polishedなので多分ニッケル仕上げ(銀色)、青黒鉄色(blued)にはあまり使わない表現。 p48 スイス ファミリー ロビンソン(Swiss Family Robinson): 原著スイス1812出版。英国初版1814、有名なキングストン版は1849出版。 p79 アメリカン モス(a big American moth): American mothという通称のmothはいないようです。北アメリカ最大のmothはHyalophora cecropia。 p80 キュルス ピム(Cyrus Pym): ナンタケット島出身の人を思い浮かべますよね… Cyrusは「サイラス」が普通。 p81 サー ロジャー ド カヴァリイ(Sir Roger de Coverly): このページには6人の名前が登場するのですが、何故かこの人だけ訳注なし。ジョセフ アディソンが作り上げた架空人物。Spectator上で典型的な紳士階級の大地主を演じた。(Encylopedia Britannicaより) p99 歩きぶりは、黒人らしいかんしゃくをおさえつけようとするかのように(with a walk apparently founded on the imperfect repression of a negro breakdown): 「黒人のbreakdownが我知らず出てくるような」歩き方。p103では「ふらつくダンスを踊りながら立ち去」ります。The Break-Down was an African-American Slave dance that was popular around the 1880-90's. p100 昔のホームズ… 鷹の顔の… (old ‘Olmes… The ‘awk-like face…): コックニー。oldは「例の」の意味では? p115 八巻本の『格言』(eight bound volumes of “Good Words”): Good Wordsは英国19世紀の月刊誌。スコットランドのAlexander Strahanにより1860年創刊。初代編集長はNorman Macleod. 福音教会員や非国教徒、特にlower middle class(商店主・下級公務員など)に向けた内容。(Wiki) 「8巻の装幀されたグッドワーズ誌」 p141 安全弁が外されたリボルバー(cocked hammer of a revolver):リボルバーに安全装置はありません。「撃鉄が起こされた」(引き金を軽く引けば発射する)状態のこと。 p145 善と優美さに感謝しよう/それこそ私が生まれたときに微笑んだもの/そして、私をこの奇妙な場所に止まらせた/イギリスの幸福な子供(I thank the goodness and the grace That on my birth have smiled. And perched me on this curious place, A happy English child.) Jane Taylor(1783-1824)の詩 "A Child's Hymn of Praise," from Hymns for Infant Minds (1810)をちょっと改変して引用。(本物は三行目がAnd made me in these Christian daysとなっている) p160 副牧師のカノン ホーキンス(Canon of Durham, Canon Hawkins): 名前がカノン?と思ったら、あとでジョー クレメイト ホーキンスと判明。「ホーキンス師」でいいのに… p169 1891年11月13日: スミスが起こしたある事件の日付。作中年代の何年前かは記載されていない。 p178 小さな煙突掃除人と「ウォーター ベイビー」(little chimney-sweeps, and `The Water Babies’): The Water-Babies, A Fairy Tale for a Land Baby (1863) Charles Kingsley作の子供向け小説。当時、英国で非常にポピュラーだった。主人公の煙突掃除人Tomが川で溺れWater-Babyに変身するらしい… p200 赤い郵便ポスト(a red pillar-box): 英国の特徴か。調べるとフランス・ドイツは黄色。米国・ロシアは青。オランダはオレンジ。 p204 革命の失敗(the failure of the revolution): 1905年のロシア第一革命。レーニンの革命は1917年。この出来事も作中年代の何年前かは不明。 p211 和帝(Emperor Ho): 漢の和帝のことらしいです。Emperor He of Han (79〜106-2-13) p228 われらが厭世的なウインターボトム氏(Our own world-scorning Winterbottom): 重婚云々が出てくるので、アフリカの習俗を観察して、アフリカでは重婚が多いとしたDr. Thomas Masterman Winterbottom(1766-1859)のことか。 p233 九年前… 1907年10月…: 翻訳でも原文でも「9年前=1907年」と読める。でもそうすると作中年代が1915年になってしまう… p240 五ドル紙幣を賭ける(chance a fiver): 米国消費者物価指数基準1912/2019で25.98倍、現在価値14429円。 |