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[ 日常の謎 ]
ほうかご探偵隊
ミステリーランド
倉知淳 出版月: 2004年11月 平均: 6.31点 書評数: 13件

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講談社
2004年11月

東京創元社
2017年06月

No.13 5点 パメル 2023/12/12 07:02
ジョブナイルミステリ叢書、ミステリーランドの一冊として刊行された作品で、子供向けではあるが大人でも十分楽しめる。
クラスで起きた、不用品連続消失事件。消えたものは、不細工な手作り招き猫、図工の授業で描かれた風景画、そして縦笛の真ん中の部分。加えて飼育小屋のニワトリまでもが消えてしまい、誰が何のためにこのようなことをやっているのかと謎は深まるばかり。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズが好きな龍之介に誘われ、4人で探偵隊を結成する。そして消えた4つに共通点があるのではと推理を始める。
視点は子供だが、会話などに猫丸先輩シリーズを彷彿とさせる。プロットの運びや真相、伏線の張り方が「猫丸先輩の推測」に収録されている数編を思い起こさせるものがあるからだろうか。どこかほのぼのした、それでいて推理の過程をしっかり押さえていて、なかなか本格的。
視点を龍之介の友人に置くことで、子供の視点で物語は進む。本書はそのお約束がかなり効果的に使われており、実に巧い作品に仕上がっている。真相は、いささか拍子抜けする部分もありはしたが、子供に読ませたい作品であることは確かだし、それだけに止まらず、作者のファンならば読んで損はないでしょう。

No.12 5点 ボナンザ 2020/01/10 00:21
少年向けという態ではあるが、謎解きやどんでん返し等、中々一筋縄ではいかないものがある。

No.11 6点 いいちこ 2018/01/12 20:55
作品冒頭に提示される不可解な謎と、その解明プロセス、二転三転する真相に至るまで、隙のない完成度を誇り、大人の読書に耐え得る作品。
想定している読者層からやむを得ないのだが、スケールはやや小粒であり、プロットのごく一部に無理も感じられることから、この評価に止めるが、一読の価値のある佳作であることは間違いない。
挿入されたイラストが非常にかわいらしい点も特筆したい

No.10 6点 ボンボン 2017/12/24 00:26
確かに、「たいへんよくできました」と言えるノーミスの子ども向けミステリだ。よくこんなにもきちんとしたお手本が作れるものだと感心してしまう。特に後半の盛り上げ方がとても良い。
ただ、それなのにどうしてか、ワクワクしたり、ワーッと気持ちが動いたりしなかった。子どもに毒気がなくて、平板な感じがするからかな。
また、同じことを2度も3度も繰り返して言う書き方がすごく気になってしまう。この著者の作品をほとんど読んだことがないので、これが独特な癖なのか、子どもらしさのためにそうしたのかは不明だが。
それでもミステリとしては完璧なので、プラス1点。

No.9 5点 E-BANKER 2017/08/27 19:32
2004年、講談社の企画<ミステリーランド>の一冊として発表された作品。
文庫化に当たり、何故か東京創元社より発表されたものを読了。

~ある朝、いつものように登校すると僕の机の上には分解された縦笛が。しかも一部品だけ持ち去られている。これで四件目だ。同級生が描いた何の変哲もない風景画、クラスでも人気のない飼育小屋のニワトリ、不細工な招き猫型の募金箱・・・。今五年三組では「なくなっても誰も困らないもの」が続けざまに消え失せているのだ。いったい誰が何の目的で? 僕は真相を探るべく友人とふたりで連続消失事件の調査を始めた!~

今さらながら改めて<講談社ミステリーランド>について調べてみると・・・(いつものようにウィキペディアですが)
2003年に小野不由美、殊能将之、島田荘司の三氏による一回目の配本がスタート。以後、18回に及ぶ配本で全29もの作品を上梓したシリーズ。参加した作家たちも豪華絢爛。
まさに現在を代表するミステリー作家が作品を提供していて、会社的にも力を入れてきたことが窺える。
本シリーズの狙いは、もちろん少年少女たちにミステリーの面白さを味わってもらい、将来に及ぶファン獲得を目指す・・・そんなことだったのだろう。

これで約半分は読了したけど、他の方もご指摘のとおり、本作が最もシリーズの趣旨を理解して書かれた作品だと思う。
麻耶氏の「神様ゲーム」や島田氏の「透明人間の納屋」など、ジュブナイル向けの体裁を取りながら、中身は大人が読んでも背筋に冷たいものが・・・っていう作品もあるなか、この何とも言えない“ホノボノ感”。
本作で探偵役を務める僕の友人・龍之介君のおじとして紹介される人物(もちろんあの方です)の影響もあるのだろうけど、汚れなき少年少女たちが安心して手に取れる作品。(自分の子供に読書感想文の題材として紹介したいくらいだ!)

そうは言っても、そこは倉知氏。
単なる謎解きでは終わらせず、クドいくらいの「・・・まだ終わらない」。
大人も思わずニヤッとさせられる仕掛けも施している。
いやあー真面目な方なんだろうねぇ・・・作者は!
どんな作品も全力投球。読者に楽しんでもらおうというサービス精神。まさに頭が下がる思いです。
Good Job!のひとこと。

No.8 7点 まさむね 2017/08/06 16:15
 ミステリーランド作品。これまでミステリーランド作品は10冊位読んでいると思うのですが、それらの中で、この作品は、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」という、ミステリーランドのコンセプトに最も忠実だと思いますね。本格作品の楽しみを次世代に伝えたいという想いが伝わってきて好感が持てます。ミステリ入門編としても、極めて正しい作品と言えましょう。
 とは言っても、内容としては、入門編として安易に纏めているものではなく、このサイト愛好者も十二分に楽しめると思います。舞台は基本的に小学校内、登場人物も無暗に増やさない、読みやすく温かな筆致、その中での捻り具合…巧いなぁ、と感心いたしました。
 ちなみに、読後にふと考えてみたら、この作者さんの作風って、ミステリーランドにすごくフィットしていますよねぇ。

No.7 7点 メルカトル 2017/07/05 22:15
講談社ミステリーランドの叢書の中の本作が、創元社推理文庫より6月23日に文庫化されて登場。読んでみたかったけれど、わざわざ単行本を結構な値段で買うのを躊躇っていた方は、この機会に入手されることをお勧めします。それだけの価値は十分あると考えます。
不要物連続消失事件の謎を解くために、小学校5年生の男女4人が放課後に探偵活動をしていく物語。まず謎の設定が面白いです。消失しても誰も困らないものばかりがなぜ忽然と消えるのか、単純そうで結構難しい問題に挑戦していく子供たちの奮闘に拍手を送りたくなります。小学生のわりに大人びている気がするのは、ミステリの場合やむを得ないことかもしれませんが、この作品でも特に探偵役の龍之介くんは口調は子供でも中身は大人な感じです。しかし、柔らかいタッチで描かれているため、違和感はありません。
一応ジュブナイルですが、勿論大人が読んでも十分納得できる出来栄えとなっています。さすがに倉知淳、読ませどころは心得ていますね。やや小粒な感じは否めませんが、二転三転するプロットはマニアにとっても鑑賞に堪えうるものだと思います。
尚、龍之介くんの叔父が会話の中に出てきますが、この人物は倉知作品には欠かせないあの人のようです。サービス精神も忘れない作者なのでした。あと、タイトルにも秘密が・・・。

No.6 6点 蟷螂の斧 2012/08/06 14:30
(ミステリーランド)本シリーズは子供向けであっても「毒があっていい」という編集方針らしい。しかし、著者の作風からそれは感じられず、やさしい感じのミステリーとなっています。本格要素はバッチリ入っていますし、ラストは二転三転していますので、ミステリーランドのお手本のような作品です。

No.5 7点 白い風 2011/12/16 17:43
学校内で起こる連続不要物消失事件の謎を探ろうとする、放課後探偵隊のお話。
読む進めていった際、中盤過ぎた時からいきなりの謎解き?と思ったけど、その後の二転三転の構造も十二分に楽しめました。
今読んだ中では『ミステリーランド』の中では一番好きかも!
まっ、これはどの『ミステリーランド』にも云えることだけど、少年賢過ぎ!(笑)

No.4 9点 図書室 2010/01/22 10:07
子供向けと思いきや、きちんと本格派の推理をやってのけます。ラストも二転三転どころか、四転五転とひっくり返り、最後の最後まで、しっかりと読ませてくれます

挿絵もかわいらしく、手元に置いておきたくなる一品です

No.3 7点 江守森江 2009/05/22 05:45
傑作だ!と誉めちぎるだけのインパクトはないが、ミステリーランド作品では一番ミステリーランドらしい作品。
捻りも含めて「親子でミステリ読書」には一番の推奨作品。
※大人なら、猫丸先輩シリーズを一作でも先に読んでいれば、楽しみが増すだろう。
表紙を含めてイラストが可愛い。

No.2 5点 なの 2008/06/11 21:20
それなりの水準は保ってると思うんですが、
どうにも読んでてワクワクしません。
キャラの魅力もイマイチ、唐沢なをきのイラストは素晴らしいだけに残念。

No.1 7点 深夜 2008/06/11 20:15
ミステリーランドのお手本的作品。途中大丈夫かな、と思ったのだが、ラストで安心させてくれた。派手さは無いけど十分楽しめる。


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