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[ クライム/倒叙 ] 世界の望む静謐 乙姫警部シリーズ |
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倉知淳 | 出版月: 2022年10月 | 平均: 5.75点 | 書評数: 4件 |
![]() 東京創元社 2022年10月 |
![]() 東京創元社 2025年01月 |
No.4 | 6点 | SU | 2025/03/02 21:19 |
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痩身に死神を思わせる警部とその部下で人間離れした美貌をもつ鈴木刑事のコンビが犯人を追い詰めていく倒叙ミステリ連作。
国民的人気コミックを手掛ける漫画家を手に掛けてしまった編集者、悪徳プロモーターの命を奪った芸能生活五十年を迎えたベテラン歌手、夫の不倫相手であった自らの秘書を刺殺したライフスタイルアドバイザー、脅迫をする美大専門予備校の職員を殺害した美術講師の四名が各話の犯人となる。 犯人により消し去られた事件ん痕跡を乙姫警部は深淵を覗き込むように瞳に宿る観察力で現場にある不自然さを次々と見抜いていく。本シリーズの凄みは、犯人が弄した隠蔽工作を幾重にも推理を行うことで全方位から突き崩していく過程にある。とりわけ表題作において、自然なものとして見えていた光景において姫の語りによって小さな矛盾が、まんべんなく暴かれていく様は圧巻。 |
No.3 | 7点 | HORNET | 2023/09/03 18:28 |
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「あなたのことは、最初から疑っていました」──漫画家を殺してしまった編集者、悪徳芸能プロモーターを殺めた往年の歌謡スター、裏切った腹心の部下に鉄槌を下した人気タレント文化人、勤務先の事務員の口を封じた美大予備校の講師……罪を犯した者たちの前に現れる、死神めいた風貌の「乙姫警部」。あの名作「刑事コロンボ」を彷彿とさせる名物警部の人気シリーズ。
冒頭で犯行シーンが描かれたのち、刑事が表れて犯人を追い詰めるという、教科書のような倒叙もの。推理の手がかりとなる事象も、うまく描写に紛れ込ませられている。 「一等星かく輝けり」が個人的ベスト。悪徳プロモーターの性質に踊らされてしまった犯人、そこを突き詰めた乙姫警部の捜査と推理は、小気味よかった。 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | 2022/12/22 16:24 |
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犯人のキャラクター小説として面白い。“最初から疑われていたポイント” も上手い点を突いている。しかし、どこでミスをしたのか、と言う興趣は今一つ。犯行そのものではなく、その後の不用意な行動で露見するパターンもあまり好きではない。
「一等星かく輝けり」の作中歌の♪スターダスト~ は “スターの屑” と言う洒落? |
No.1 | 5点 | フェノーメノ | 2022/10/12 23:55 |
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皇帝と拳銃とに続くシリーズ二作目。
前作の印象はかなり薄い。正直話自体はほとんど覚えていない。それは今作も同じで、しばらく経ったらすぐに忘れてしまいそう。前作が面白くなかったのなら特段読む必要はないと思う。 そんな中で一番面白かったのは二番目の一等星かく輝けりか。警部の最初の気づき含めて、これが一番好き。 |