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[ 青春ミステリ ]
サクリファイス
サクリファイスシリーズ
近藤史恵 出版月: 2007年08月 平均: 6.90点 書評数: 20件

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新潮社
2007年08月

新潮社
2010年01月

No.20 7点 まさむね 2023/09/24 13:51
 エースとアシストの役割、他チームとの駆け引き…サイクルロードレースの魅力が伝わってきました。ミステリとも巧く融合させていますし、スポーツ・ミステリとして極めて良質だと思います。グイグイ読まされました。
 一方で読後に振り返ってみると、ある人物の動機?には相当な違和感が。また、別のあの方の好み?がどうなっているのか、全く理解できない…等々気になる点があったことも事実。この作品の魅力を全て削ぐものではないけれどね。

No.19 7点 sophia 2023/03/22 00:00
必要最低限の風景描写しかされていませんし、物語自体もコンパクトにまとまっていて読みやすかったです。過去の事件を絡めて不穏な空気を醸成していくのが上手く、サスペンスとしても読めたのですが、やはり他の選手のためにそこまで自己犠牲の精神を持てるものなのかという大きな疑問は付きまといます。心変わりするに至った経緯をもっと描いてくれると得心がいったかもしれません。

No.18 8点 take5 2023/01/08 04:02
おそらくこのサイトに書き込みを始める前に
読んだ作品。
自身がロードに関わり、
グレッグ・レモン
マルコ・パンターニの頃から
ツールドフランス等に親しんでいたら、
これ以下はないかな。
反転もきちんと納得できるので。
近藤氏の取材力に感心します。

No.17 6点 メルカトル 2023/01/07 22:31
ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと―。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた!大藪春彦賞受賞作。
『BOOK』データベースより。

スポーツ青春小説として、如何にも万人受けしそうな作品だと思います。人間模様や自転車レースの定石やマナー等が分かり易く描かれています。自転車競技に興味のない人でも難なく引き込まれるでしょう。そりゃもう一気読み必至ですよ。とても良く出来ているとは思いますが、例えば誉田哲也の武士道シリーズに比べると、迫力や試合での熱さ、スポーツの持つ心理戦や奥深さに於いて、到底及ばないというのが個人的感想です。

私はみなさんと意見が少々違いますが、ミステリの部分に結構惹かれました。其処には期待していなかっただけに、逆にそうだったのかみたいな驚きを覚えました。主題は自転車レースにあるのは誰の目から見ても明らかです、だからと言ってミステリとして弱いとは私は思いません。
蛇足ですが、紅一点の香乃の扱いが雑だと感じました。雑と言うか、誰でも良いんかいと突っ込みたくなりました。

No.16 8点 ʖˋ ၊၂ ਡ 2022/08/09 15:58
ロードレースというマイナーなスポーツの世界。全く知らない自分でも、このスポーツの熱を面白さを十分に味わせてくれた。トップでゴールするのではなく、誰かのため、チームのために走ることの楽しさ、爽快さ。自己犠牲とは、犠牲ではあるが、そのことによって得られる満足を求める生き方もありだと考えつつ、ストーリーのスピードで一気読み。
青春小説として読んでも、ミステリ小説として読んでも楽しめる。ラスト、主人公の目線で見ていた世界が一転し、衝撃的な事実に感動するだろう。

No.15 9点 ことは 2022/07/19 00:15
他の人も書いているが、ミステリとしては無理を感じる。それは、ある人物の心理がまったく理解できないから。といっても、それは本作のポイントでないと言いたい。
ミステリとしてではなく、スポーツ小説として傑作だと思う。
文章は軽快で疾走感があり、エンタメ小説としては最高。自転車競技のルールや駆け引きもストーリーの中でスムーズに語られ、キャラも立っている。(青春というには年齢が高いが)青春小説としての雰囲気もある。夢中になって一気読みでした。
どのジャンル読みにも、遠慮せずにおすすめできる傑作です。

No.14 8点 葉月 2021/01/31 15:58
ミステリファンだけでなく、全ての読書人が楽しめるエンタメ小説と言っていいと思います。本屋大賞2位という結果はそれを裏付けているでしょう。自転車レースの場面は緊迫感にあふれていてとても面白い。あまり馴染みのない競技だったにもかかわらず、説明描写の巧みさからか、特殊なルールや慣習的なものはすんなり理解することができました。
一点傷があるとすれば、多くの方が書かれているように香美の行動には腹が立ちました。ただそれをさし位引いてもこの点数をあげたくなるほど素晴らしいエンタメ作品だったと最後に申し上げておきましょう。

No.13 7点 パメル 2021/01/19 09:52
自転車ロードレースという日本ではマイナーな競技を題材にしたスポーツミステリ。
主人公の白石誓はプロロードレースチームの若手選手。目立つことが嫌いな白石にとって、エースを生かすために走るアシストという役割は心地よいものだった。
自転車ロードレースは個人競技だが、実は団体競技に近く、チームのエースが勝つように戦略を立てるスポーツ。そのために他のメンバーは風よけになったりして犠牲になるため、特異なスポーツといっていい。
この作品では、そういう自転車ロードレースの世界が克明に描かれる。ヨーロッパで紳士のスポーツと言われるように、総合優勝を狙える選手は区間優勝を狙ってはいけないとか、風を受ける先頭役は、たとえライバルでも交代にするとか、レースそのもののディテールがひたすら面白い。あるいは、自転車ロードレースの選手である限り、レベルの高いヨーロッパのチームに入って走りたいと思うのは当然の夢だが、ヨーロッパのチームのエースは自国の選手に限られ、他国の選手はアシスト役にしかなれないことなど、この競技の特殊な事情が次々に語られて興味が尽きない。
それだけでも、自転車競技に懸けた青春小説としてたっぷり読ませるのだが、さらにミステリでもあるのが驚き。チームメイトの犠牲によって栄光を掴むエースの矜持と責任。迫真のレースシーンによって、自転車ロードレースの魅力を伝えながら、一面的な見方ではとらえきることのできない複雑な心の揺れ動きを浮き彫りにしていく。自転車ロードレースという特殊な世界、そして選手の性格などがすべて見事な伏線になっているから素晴らしい。

No.12 8点 2016/12/20 09:28
スポーツ物は臨場感、スリル感を読者に伝えることが重要だろう。本作ではその点は作者の描写力によって十分にクリアしている。
それだけではミステリーとしてはもちろん不十分だが、近藤女史だからそれについても問題はない。じつは後半近くまで、果たして謎解き要素があるのだろうかと危ぶんでいたが、全くの杞憂だった。間違いなくミステリーであった。
ただ、シーマスターさんが言われているように、ある人物の描写が少ない感はある。だから本格推理物とまでは言いがたい。でもその点を考慮しても十分に読ませる小説であることはたしかだろう。

その他の問題点といえば、内容紹介で青春小説であることも謳ってあったが、これには当たらないということ。主人公は学生ではないし、若い(二十歳代前半)とはいえプロのレーサーだし、恋愛要素はあっても、ほろ苦さや郷愁などを感じることもない。
まあ、個人的な小説のジャンル定義だけの問題なのだが・・・。
ということで、ジャンルは、スポーツ・サスペンス物(普通すぎるw)。

本サイトやアマゾンで他の書評を読めばいろいろと問題点も浮かび上がってくるのだが、そんなことは気にせず、大絶賛したい。じつはちょっとだけ気になってマイナス1点w

No.11 7点 パンやん 2016/04/05 08:28
アニメ『弱虫ペダル』のおかげで、多少知識もあったせいか、自転車ロードレースの世界に没頭、一気読み!一応ミステリーではあるが、鳥飼氏の『激走』同様【8点】、人生をこのロードレースに捧げたアスリートたちの、エース、アシストとしての生き方に浸る。

No.10 7点 makomako 2014/08/27 07:30
 はじめ自転車ロードレースのお話ということでどうかなと思ったのですが、全く問題なく十分に楽しめました。
 本サイトの書評では高評価とそうでないものの差が大きいようですが、私には十分によかったと感じています。
 本格推理としてみれば確かに肝となる性格がほとんど描かれていないことが問題といえるかもしれませんが、あの人、実はこんなこと考えていたんだなんてことは現実にもありうることだと思います。私にはあまり違和感なく受け取れました。

No.9 5点 yoshi 2013/08/24 03:01
シーマスター氏の意見にほぼ同意。
作者は「まさかこの人がサクリファイスをするとは」という意外性を出したかったのだろうが、あまりにも唐突すぎて受け入れることが困難。

No.8 6点 シーマスター 2012/04/16 21:37
文字通り疾走感あふれるスポーツヒューマンドラマ・ミステリー風味。(読んでいるだけで大腿四頭筋が痛くなり息切れしそうな気分になることも)

自転車ロードレースが単なる走力を競うスポーツではなく、様々な駆け引きや暗黙の掟を内包する団体競技であることは漠然とは知っていたが、本書を読んで大分具体的にそのアウトラインを掴むことができた。

非常に面白い競技だと思うし、欧州ではサッカーに次ぐ人気を博しているというのもよく解かる。ゲーム好きな(?)日本人にも受けると思うが如何せん我が国はこの種目が普及拡大するには国土環境の適性に乏しい・・・・・のだろうか。(それだけではないと思うが)


で、本作品に対する感想は・・・読み物としては上述のとおり十分面白い。しかし本作のキモ(肝だよ)・・ミステリ要素であり感動要素・・は自分にとっては作者の「空振り」あるいは「勇み足」でしかなかった。
狙いは解かるがこれは受け入れられない。あれほど常軌を逸脱した行動を理解し受容するにしては「その人物」の人間描写があまりにも少なすぎる。これでは頭のネジがどこか緩んだヒロイストの発作的な愚行としか思えない。あれをアクセプトしろと言うのなら彼と彼らの人生、人生観、信念、信条、相互関係についてあと数百ページは必要だろう。と感じた。

No.7 3点 ムラ 2011/10/27 23:02
面白かったけど、ミステリとしてよりもスポーツとして見たかったと思ったのでこの点数で。
ちょっと彼女が不快な存在すぎたのがあれかも。

No.6 7点 itokin 2011/10/16 13:12
ツール・ド・フランス等の自転車競技は中継があればよく見るがチームの中の一人を勝たせるための犠牲行為に自分の生き甲斐をどこに見つけるのだろうと疑問に思っていたがそれがよく解った。文章は平淡で読みやすくテンポも良い、最期の彼の死は、そこまでやるかとも思えるが良くまとまっている。

No.5 6点 isurrender 2011/05/10 02:08
小説としては素晴らしいスポーツ小説だと思う
だけど、これがミステリなのかどうか
まあ小説として面白かったからどっちでも良いんですけどね

No.4 6点 江守森江 2010/07/29 05:50
ツール・ド・フランス新城(あらしろ)選手二年連続完走&アームストロング選手(この作品に名前だけだが登場)ラスト出場記念。
自転車ロード・レースの世界を舞台にしたアスリート小説として自転車で駆け抜けるような疾走感で読めて面白い。
日本では馴染みのない世界なので前半では丁寧にシステムを説明し、更に主人公の立場と心理を描写しながらさり気なくミスリードを刷り込んでくる。
後半では海外遠征が描かれながら事件が起こりアスリート小説からミステリーに変貌する。
アスリート小説に見せ掛けた連城&道尾系の反転ミステリーとしても面白いのだが、ロードレースに少しでも興味があると世界的に有名なドーピング渦に前半で全く触れない時点で先が想像される。
また、続編がある事を知っていると主人公の無事が見えていてサスペンスに欠けるし、前半の刷り込み効果が薄まる。
本当の意味での主人公な石尾が、石持浅海作品に似た特殊な行動原理(ロードレース観)で描かれているので受け入れられるかが作品評価の分かれ目になる。
その部分をスルーしてミステリーと捉えず、青春アスリート小説として楽しむべき作品なのかもしれない。

No.3 6点 (^^) 2009/10/13 18:00
今までロードレース(自転車)にあまり興味はなかったが、一気に引き込まれた。
文体も軽く、ロードレースごとく疾走感がありスラスラ読める。
面白かったが、理解に苦しむ点が1つあったので-1点させてもらった。


《以下ネタバレあり》
後輩である白石と伊庭を助けるためとはいえ、あそこまで(自演の事故)やる?と思った。
コンクリート壁に顔から突っ込んでるけど、さすがにそれは・・・2人を助けるためだけに死ぬ覚悟を決めたのだろうか・・・。
石尾の白石・伊庭に対する心理描写がもう少し欲しかった。

No.2 7点 あるびれお 2009/06/23 05:48
いろんなWebで大好評だったことから、普段はハードカバーを購入する作家ではないのだが試しに買ってみた。確かに面白かった。物語にぐいぐい引き込まれていくし、特殊な世界の人間関係やものの考え方も、概ねストンと腹に落ちる。ただ、自分としては手放しで褒めることができない。それは、ミステリの仕掛けとかそんなところじゃなくて、「なぜ主人公は、幼馴染で昔は恋人だった女の子が、犯罪に手を染めた男と結婚することに対して何のアクションも取らなかったのか」ということが引っかかっているから。そこだけがどうしても理解できず、不完全燃焼に終わってしまった。多分、こんな読み方は王道から外れているのだろうけれど...

No.1 10点 daiki 2009/06/02 00:50
爽やかでいいと思う(青春ものに弱いので・・・)。


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