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[ 日常の謎 ]
タルト・タタンの夢
ビストロ・パ・マル
近藤史恵 出版月: 2007年10月 平均: 6.00点 書評数: 7件

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東京創元社
2007年10月

東京創元社
2014年04月

No.7 6点 take5 2022/06/26 14:50
北森氏のかなり屋等、ビストロ安楽椅子探偵物です。
こちらフレンチですが読みごたえはもう少し軽いお味です。
かなり屋は感動しました。こちらビストロパマルはさらっとよい気持ちになれました。
近藤氏の名作サクリファイスの数年前に書かれたものです。
東京は熱波の夏の午後、扇風機と自然風で読みました。

No.6 4点 E-BANKER 2016/07/08 23:06
2003年より不定期に「ミステリーズ」誌で連載されたものをまとめた作品集。
下町にあるフレンチレストラン“ビストロ・パ・マル”を舞台に繰り広げられる日常の謎とは・・・?
いかにも東京創元社らしい連作短篇集。

①「タルト・タタンの夢」=“タルト・タタン”とはその名のとおり「リンゴのタルト」、いわゆる焼菓子。女性歌劇団(宝塚っぽい感じ)で人気の男役の女性をめぐる鞘当に店が巻き込まれることに・・・
②「ロニョン・ド・ボーの決意」=“ロニョン・ド・ボー”とは子牛の腎臓をいろいろと加工した(!?)料理(かなり手間のかかるやつらしい)。愛人の地位から抜け出そうとした女性がシェフ三舟とぶつかることに・・・
③「ガレッド・デ・ロアの秘密」=“ガレッド・デ・ロア”はフランスではキリスト教のお祭りで食べられるお菓子。中にフェーブという陶器の人形を入れ、切り分けたときそのフェーブに当たった人が王様になれるという風習がある(とのこと)。いつも三舟を助ける志村と妻・麻美、そしてガレッド・デ・ロアをめぐる物語が・・・
④「オッソ・イラティをめぐる不和」=“オッソ・イラティ”とは仏・バスク地方で食されるハード・チーズのこと。突然妻に出て行かれた夫に降りかかる、ハード・チーズとブルーベリージャムの謎とは?
⑤「理不尽な酔っ払い」=ここにきて何とも勇ましいタイトルが登場。ビストロの近所で和菓子屋を営む主人が高校生時代に遭遇した不思議な事件がテーマ。でもアレをアアしたら、色が変わらないのだろうか?
⑥「ぬけがらのカスレ」=“カスレ”はフランスではメジャーな料理らしい(詳しく書くと長いので割愛!)。今回は、フランスにいた頃の恋人とカスレにまつわる思い出をシェフ三舟が解き明かす一編。
⑦「割り切れないチョコレート」=“チョコレート”とは・・・って、おいおいそりゃ誰でも分かるよ! 今回は客として訪れた新進気鋭のショコラ・ティエをめぐる物語。でもこの推理って本当か?? かなり適当な気がするのは私だけだろうか?

以上7編。
フレンチにはまったく疎い私なので、いい勉強になりました。
たまには仕事の帰りにうまいビストロに寄って、ワインでも開けてこようかな・・・何て思ってしまいました。
それにしてもデセールもうまそう!!

って、本筋はどうなの!!って聞かれそうですが・・・
まぁいいじゃないですか。そんなことは。
結局、シェフ三舟のちょっとばかり鋭い予想でしかないのですから・・・

No.5 7点 2015/05/27 17:40
北森鴻の「香菜里屋」シリーズや、芦原すなお氏の「ミミズクとオリーブ」シリーズと類似の、料理人が推理する、料理の薀蓄満載の安楽椅子連作モノ。
本格推理度としては、香菜里屋がいちばんだが、個人的にはミミズクのほうが上手いと思っていた。
で、本書はどうかというと、ミミズクと同レベルか、それ以上。
この種の料理ミステリーは、本書のようにあったかそうな感じがしないとね。店のメンバーもいきいきしてるしね。という理由で上記の順になった。

提起される謎は、おもに客に関する日常の謎。ミステリー度合いとしては低め、というより素人では解けないレベル。だからミステリー的な目線で見れば評価は高くない。でもグルメ要素だけで十分な作品だった。
個別には尻上がりに良くなり、後半の2作、「ぬけがらカスレ」「割り切れないチョコレート」は仕事中も堪らず読み続けた。

キャラ的には、語り手の高築、ソムリエ女子の金子らがいろいろと推理し合うところが面白いし、料理人の志村が「ガレット・デ・ロワの秘密」で妻との出会いの経緯を明かされ、うろたえるところもよい。
シェフの三舟はいつも冷静で、あっけなく謎を解く。安楽椅子モノの探偵役らしく謎めいてはいるが、寡黙でもなければ、人当たりが悪いともいえないし、偏屈でもなさそう。

フレンチといえば、バターやクリームを多く使い、こってりとしていて体に悪そうなイメージがある(じつはよく知らない)。それに気取りすぎという感もある。
だから、めったに食べない。じつは金もないw
ということで、ついついイタリアンを選択する。
でも、こういう下町の庶民的なビストロならちょっと覗いてみたい。

No.4 6点 まさむね 2015/01/25 22:59
 下町の商店街にある,小さなフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台にした短編集。
 正直,安楽椅子モノのミステリとしては弱いです。と言いますのも,なぜこの答えと推理したのか,他にも可能性があるだろうに…っていうケースが多すぎます。しかし探偵役のシェフってば百発百中でズバズバ的中(笑)!
 とは言え,うまそうな料理の情景,これにビストロのスタッフの雰囲気も相まって,読み心地はなかなか良いです。ここぞという場面で登場する,三舟シェフ秘伝の「ヴァン・ショー(ホットワイン)」を飲んでみたい。
 ちなみに,ベストは「割り切れないチョコレート」。レストラン名同様,「パ・マル」(悪くない)な短編集でしたね。

No.3 7点 makomako 2014/07/05 07:50
フランス料理店長の推理と料理の薀蓄を合わせたような連作で、なかなか面白かった。
 こういった傾向の話は好みなので割に読んでいるのですが、北森鴻の「カナリヤ」シリーズにちょっと似た雰囲気です。
 推理としてはだいぶん強引でこんなことを繰り返していたら大間違いに必ずはまるような話ですが、もちろん全て的中しますので読者は安心して読んでいられます。
 軽いお話ですのでフランス料理の名前など全く覚えなくてもすらすらと読めした。

No.2 7点 図書室 2010/01/24 02:59
特筆すべきトリックはないが、グルメ小説デザート謎付き!ってところでしょうか

軽くて読みやすく、次作品の「ヴァン・ショーをあなたに」と併せて、一気に読めました。
特に「割り切りないチョコレート」が秀逸。これで、+1点です。続編も読みたいな

No.1 5点 江守森江 2009/08/16 09:06
グルメ小説ミステリー風味な連作短編集。
全編ミステリーズに連載された作品。
前半3編の連載間隔が開きキャラ紹介にダブりがある。
作品集にする時点で加筆修正してスッキリさせてほしかった。
基本的に安楽椅子タイプで解決にグルメ知識が必要な為にミステリーとして弱い。
読みながら涎が出そうになったからグルメ小説として合格だと思う。


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