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ナイロビの蜂
ジョン・ル・カレ 出版月: 2003年12月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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集英社
2003年12月

No.1 5点 E-BANKER 2022/02/25 21:05
作者の一大傑作と名高い本作。文庫版で上下分冊と言うなかなかのボリューム。
ウィキペディアによると、本作執筆のきっかけとなった経緯も興味深い・・・
2001年の発表。

~ナイロビの英国高等弁務官事務所に勤める外交官ジャスティンは庭いじりをこよなく愛する中年男。礼儀正しく誠実な人柄で知られている。そんな彼のもとに突然最愛の妻テッサが咽喉を掻き切られて全裸で発見されたという知らせが飛び込んだ。人類学者リチャード・リーキーの発掘現場に向かう車中で何者かに襲われたのだ。静かな怒りとともにジャスティンは真相解明に立ち上がる~

これ、作者の言いたいこと伝わってるのかなぁ? 若しくは読み手の理解力が足りないのか・・・
とにかくわざと分かりにくく書いてるのかなと思わざるをえないような書きっぷり。
物語の骨子は、アフリカ大陸における世界規模の製薬メーカーをめぐり、薬害を隠蔽しようとする企業VSそれを詳らかにしようとする草の根の民間組織であり、その中で民間組織の中心人物でもあったテッサが殺害される事件が発生し、真相究明のために夫である外交官・ジャスティンが立ち上がる、といった流れ。
これ自体は明白というか、ある意味単純明快なはずなのだが。
でも、これがそうはいかない。
ル・カレ独特なのか、ああでもないこうでもないという説明箇所がかなり展開される。
確かに、登場人物たちの心中を掘り下げ、本音と建て前を炙り出すという試みは成功しているのだから大目に見ておけばいいのかもしれない。
我慢して読み進めると、きっと感動的なラストが来るはず! そう信じて読み進めていくのだが、うーん。これを感動的と表現すべきかどうかはそれぞれにお任せするしかない。(私はといえば・・・敢えて書かず)

でも、なかなかスゴイ作品ですよ。
巻末解説を読むと、作者自身緻密な取材をしたことが窺われるし、ネットを検索してみると実際にファイザー社がアフリカで行った臨床実験が下敷きとされていることも窺われる。
今、まさにワクチンや経口薬が過去からすれば信じられないようなスピードで開発されていく昨今。それを諾々と受け入れるしかない我々小市民なのだが、果たしてその裏にはどのような企みが進行しているのか?
考えざるを得ない作品だった。まぁ、長すぎるけどね。


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ジョン・ル・カレ
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