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[ クライム/倒叙 ]
ダイヤを抱いて地獄へ行け
ハドリー・チェイス 出版月: 1965年01月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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東京創元新社
1965年01月

No.1 6点 斎藤警部 2020/09/15 21:48
馬鹿げた不品行で航空会社を解雇されたハリーは、正直者の貧乏生活に嫌気が差し、、、自らが機長としてサンフランシスコから東京まで運ぶ筈だった巨額の工業用ダイヤモンドを飛行機ごと強奪するという豪快悪事を企てる。ハリーの今カノ、グローリイの元彼デレーニイがギャングの大物に収まっているのを幸い、奪ったブツをこの男に売り付けて換金する計画を立てるのだが。。。。  へっ、こいつぁ安いな。でも面白えや。主役と重要登場人物群との関わり合いが意外と浅くて、、 【こっからパラグラフ内はストーリーネタバレ的になります。気にならない人は読んでもいいでしょう。】 流石に交渉上手の大物ギャングも、ダイヤを盗まれた日本人老練実業家タカモリ(天皇陛下への謁見を夢見る)もそこで関係終わりか!? スリルの発生源だったマネーゲームの規模も呆気なくしゅう〜と萎んじまうし。。前半の、攻め込み逃げ喰い付き追われのクライム痛快進行は素晴らしいんだけどさ、後半の展開には思わぬ人間関係の陰影もあったけどさ、、魅力的な殺し屋ボーグ(デレーニイの右腕)には痺れたけど、彼やハマーストック部長刑事だけでなく デレーニイ、タカモリ、出来たらグレイナー父からも追われる激アツの展開が欲しかったが、そんなん受け止められるほどのタマじゃないか、主役のハリーは。 飛行機パイロットなんてやってたとはとても思えないくらいバカでペラくて魅力に乏しい、なんなんだこの、男が絶対に惚れない主人公は(笑)!! 貧乏からの脱出だとか一攫千金とか男一匹勝負がどうしたのテーマ感もさっぱりだし、グレイナー娘(ジョーン)とのロマンスは結局行きずりのワンショットもいいとこだし、まあジョーンが上流育ちのまともな人間としてハリーに語る強い言葉や突き付ける態度はちょっと良くて、所謂ハードボイルド的ヒーローに近い、マーロウファンなんかに好かれそうなのは主人公ハリーではなく、かと言って知恵出し世話女房グローリイでもなく、おしまい近くに現れてさっと消えるこの美しき令嬢ジョーンではなかろうか。それ以上にイイのが”人狩り大好き”敵役ボーグである事は言うまでもありませんが。 とにかく読み捨てには最高の一冊、まるで主人公の人生の様。 (妙に記憶に残るのも共通)

それにしても古の創元推理文庫ハドリー・チェイスと言えば名邦題の宝庫なわけですが、この「ダイヤを抱いて地獄へ行け」もスコブル快調ですね! 頭韻を踏んだ語呂もキマってるし、かと言って「ダイヤを抱いて第八地獄でお・し・ま・い・DIE」までやり過ぎなかったクールな都会的さじ加減には脱帽です。 ただまあ、これを言うとネタバレなわけですが、誰もダイヤを抱いて地獄に行ってないし、これから行きそうな奴もいないんだけど(笑)。


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