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[ 本格 ]
地下室の殺人
ロジャー・シェリンガム
アントニイ・バークリー 出版月: 1998年07月 平均: 6.20点 書評数: 5件

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国書刊行会
1998年07月

No.5 7点 みりん 2024/04/24 03:07
モーズビー警部視点による警察捜査小説のような感じで新鮮でした。これまたなかなか楽しい(^^)
そしてついに、シェリンガムの小説家としての実力が第二部「ロジャー・シェリンガムの草稿」にて発揮されます。「シェリンガムさん、これで終わりですか。残念だな。ちょうどおもしろくなってきたところなのに」とモーズビー警部が嘆いてますが、大変共感です。私もローズランドハウス校ストーリーをもっと読みたかったですね。

【以下結末を仄めかすような記述あり】


警察捜査小説という新たな趣向意外で今作1番の見どころは、犯罪心理の追求>>>物的証拠の追求 というシリーズ共通(?)のテーマを長編第八作目にしてようやく達成できたところではないでしょうか。シェリンガムの心理探偵っぷりがやっと実を結んだのではないかと思います。今回は被害者がそこまで悪者とは思えず(描写不足か?)、結末にもやもやした感情が残ります。



解説は『最上階の殺人』に引き続き真田啓介氏。ちょうど同氏のバークリーについてのブログで↓の弾十六さんが紹介されたことでタイムリーな方!30ページほどあり、バークリーへの愛が溢れています。
バークリー作品では"ストレートが逆に変化球"  良解説でした。

No.4 5点 弾十六 2018/11/04 09:47
1932年出版。
無駄な明るさが無くなってちょっと寂しいです。二段構えの導入部というのはとても上手い工夫だと思いましたが、(作中人物が作中人物をモデルにした作中小説!) 肝心の推理部分にアクロバティックな味が薄く、結末もモヤっと感が残りました。アイルズに栄養を取られちゃったのかな?原文にはおなじみの日付の矛盾があり、翻訳では訂正されてるようです。

No.3 6点 pachio 2014/02/28 17:45
ロンドン郊外の空き住宅の地下室で死後6ヶ月となる女性の射殺死体が発見される。モーズビー主任警部の組織的な捜査の結果、ようやく被害者の身元が判明し、容疑者が絞り込まれるが決定的な証拠が見つからない。モーズビーから再三にわたり相談を受けたシェリンガムは、今回は珍しく物語後半になって重い腰をあげる。その結果、人間観察力と想像力という二つの武器によって、真犯人を突き止める。しかし真犯人にさほど意外性はなく、シェリンガムの推理も他の諸作と比較して意表をつくものではない。前半は、スコットランドヤードの捜査ぶりが描かれ、中ほどに挟まれたシェリンガムによる小説の草稿により被害者が勤務していた寄宿学校の人間模様が手際よく描かれる。またヤードの捜査、シェリンガムの推理といった構成の面白さはある。モーズリーの有能な仕事ぶりや性格がたっぷり描かれている。水準作。

No.2 6点 mini 2012/02/10 09:59
とにかく古書市場で現在では法外な高値が付いているのにびっくり
昔、その当時は安価な中古で見付けて、他にも欲しい本は有ったし特にこの本が欲しかった訳じゃなかったけど、何となく買っておいた身としては仰天、今の値段見て嘘だろ?という感想しか出てこない
ずっと前に読んだ事すら忘れてたし(苦笑)

元々国書刊行会が世界探偵小説全集を部数限定ハードカバーで刊行した理由の1つはニッチを狙ったんだろうから、需要と供給のバランスは取れているものと思っていた
この全集、大部分は供給は充分で今では文庫化されたものなんか値崩れしているし、いくらこの作だけ絶版になるのが早かったと言ってもこんな高値になるとは当時誰が予想したろう
他社含めたハードカバー刊行作品中で、この作品と論創社のスカーレット「ローリング邸の殺人」の2作の中古市場での高値は異常だと思う
「ローリング邸」も既読だけれど、私がロジャー・スカーレットという作家が嫌いなんで、と言うかあの二階堂がやけに「ローリング邸」に入れ込んでいたので反発の意味で早々に手放しちゃったよ、今は論創社の全集中で唯一品不足を起こしているんじゃないか、増刷するか未定のようだし(また苦笑)

「地下室の殺人」が内容的に意外だったのは、この作者にしては普通の本格だった事、バークリーってこんな正攻法な本格も書くのかと思った
ただ前半の話の持って行き方などは作者らしさが出てはいるが

野球の投球に例えるなら、変化球が2~3球続いたので、そろそろ直球来るかと普通は思うが、待てよこのバッテリーなら裏かいてもう1級変化球続けるかもと打者が読んだら、裏の裏をかいて内角低めにストレート決められました、って感じか

No.1 7点 こう 2010/08/02 00:08
 モーズビーの丹念な捜査報告、その後のシェリンガムの推理という通常探偵小説とあまり変わらない構成で進んでいるため少しバークリーらしい皮肉が足りない印象がありました。
 また前半の学校教師たちのストーリーは会話がやけにいきいきしていますがシェリンガムの作品(完全なフィクション)のため全くでたらめの可能性もありますしその部分が推理の元になるのが不満ではあります。
 またラストは期待したほど皮肉に満ちていなかったのも少し不満ですが個人的には楽しめました。


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