皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 絹靴下殺人事件 ロジャー・シェリンガム |
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アントニイ・バークリー | 出版月: 2004年02月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
晶文社 2004年02月 |
No.3 | 7点 | みりん | 2024/04/20 19:53 |
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ロジャー・シェリンガムという探偵の性格上、いまひとつ緊張感に欠けるこのシリーズですが、今作は比較的シリアスな雰囲気が漂っていました。アレックもアントニイも不在なのが一つの要因だと思います。しかしラストのユーモア溢れる仕返し!!待っていました(+1点) 前作『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』を読んでからのほうが確実に楽しめるでしょう。
ロジャー・アレックコンビが恋しいなあ…戻ってきてくれい! ※ん、そういえば本作(シリーズ4作目)の次が『毒入りチョコレート事件』なのか。てっきり「犯罪研究会」とやらがシリーズを通じて徐々に結成されていくもんだと思ってたな・・・ちと残念。てかそれなら『毒チョコ』に出てくるあの6人目の探偵は一体誰?? フランス警察とイギリス警察の違いなどもなかなか興味深く… つーかシェリンガム完全レイシストだなこれ。ドイツになんの恨みが…あ、第一次世界大戦か |
No.2 | 6点 | 弾十六 | 2020/03/21 09:29 |
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1928年5月出版。原題The Silk Stocking Murders。晶文社の単行本で読了。
今回初めて読みました。猟奇趣味全開です。これ以上やると欧米では許されないでしょうから、この程度の描写ですが、クライマックス・シーンなんてグロ版「草上の朝食」ですからね… 問題の場面はバークリーの妄想が過ぎてリアリティが全くありません。誰がそんなの許すかって話です。(有効性もかなり疑わしい。なので、作者がどうしてもそーゆー場面を書きたかったのだ、ということだと思います) 冒頭からの流れは良いのですが、連続殺人って話が荒っぽくなっちゃって余り好みではありません。意外な小ネタも不足気味。 以下トリビア。原文は参照していません。 作中時間は、相対的な記述があります。ラドマス事件(ヴェインの謎、1927年2月出版)が「9カ月前」(p22)で、ウィッチフォード事件(1926年11月出版)が「18カ月前」(p133)、p22とp133の間は数日間(感じとしては2週間程度、少なくとも1カ月以内)が経過してる感じ。p48に「4月初旬の週末」の後の月曜日とあり(1928年は上記の条件に合致しないので)1927年だとすると4月4日月曜日が最適。とすると本書の冒頭は、そこから数日前(感じとしては一週間程度?)なので1927年3月下旬だと思われます。 ここで思い出すのは『毒入りチョコレート事件』(1929年6月出版)の「十八ヶ月前、ラドマスでは」という記述。上記から『毒チョコ』と本書の間はラドマス基準で約8カ月、つまり『毒チョコ』は1927年11月の事件、となり全て上手く収まります。(『毒チョコ』記載の11月15日「金曜日」だけが事実と合致しませんが…) あとはウィッチフォードが1925年10月ごろ、ラドマスが1926年6月ごろの事件で良いかどうか確かめればQ.E.D.なのですが、力尽きました… p36 堅信式の記念に: 祈祷書にあった被害者の父からのメッセージ。日付は1920年3月14日。middle or high schoolの時に行うものらしい。当時15歳とすると1927年には22歳でちょうど良い感じ。 p73 フォーエックス: XXXX。1924創設のオーストラリア・ビールらしい。バークリー大絶賛。是非試してみたいです。 p89 黒いビロードの帽子: 訳注で「かつて死刑宣告に使われた」とあるが、現在でも制度としては残っている。もちろん英国では1969年に死刑が廃止されたので使われないが… WikiのDeath Cap参照。 p125 ドイツ人: ほかのどの国民より変態殺人が好き(もちろん米国人を除いて)、というシェリンガムの偏見。 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2010/10/04 17:50 |
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(ネタバレなしです) 無差別連続殺人とアマチュア探偵団の捜査という組み合わせで有名なのはアガサ・クリスティーの「ABC殺人事件」(1935年)ですが、1928年発表のロジャー・シェリンガムシリーズ第4作である本書はそれよりもずっと早く書かれています。バークリー作品としてはユーモアが弱いと評価されていますが、確かにシリアスなシーンも多いけど(また新たな犠牲者が出るのではとロジャーが焦りの色をにじませます)、軽妙な会話や皮肉もちゃんと用意されており堅苦しいばかりの作品ではありません。推理はやや強引ですがおとり捜査場面や犯行再現場面ではこの作者としてはサスペンスが強く感じられるなど十分に個性的な本格派推理小説です。 |