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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
パニック・パーティ
ロジャー・シェリンガム
アントニイ・バークリー 出版月: 2010年10月 平均: 4.71点 書評数: 7件

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原書房
2010年10月

No.7 5点 みりん 2024/04/28 01:37
シリーズ最終作!ロジャー・シェリンガム最後の事件!!感動のラスト!!!…とはならずにヌルッと終わってしまいました笑 ドライですねぇバークリーさん…
評点の低さに身構えてしまいましたが、サスペンス小説としてまあまあ面白いですよ。孤島に集められた15人のうち1人だけいなくなると、そこからはパニック小説が始まります。食糧の調達とか住処の確保とかサバイバル要素もあればもっと面白かったかもなあ…
テーマはおそらく極限状態に垣間見える人間の本性という(よくある)ヤツなんだろうな ※自分にはそれくらいしか読み取れず(´-ω-`)
推理できる要素がほぼありませんでしたが、「主催者の目的」についてはわりと納得のいく良いサプライズでしたね。3人ほど血の通ったキャラがいてそこも良し。


シリーズを読み終えて、バークリーの印象は逆張りおもしろおじさんって感じだ。一気読みするには勿体無い作家だったな。王道探偵小説×10→バークリー×1 くらいの配分で読み進めるのが正解だった気がする。なんにせよ黄金期英米ミステリは未読作ばかりなのでこれからが楽しみです。
んーところで、1作目と2作目にだけ登場したワトソン役のアレックって何だったんだろうなアイツ。

No.6 4点 E-BANKER 2023/02/18 13:29
冒頭、ミルワード・ケネディ氏に宛てた序文の内容がかなり意味深。どういう意味だろうといぶかりながら読んでいくと、何となく作者の「企み」が分かったような、やっぱり分からないような・・・
作者の長編10作目にして最後のロジャー・シェリンガムの探偵譚となった作品。
1934年の発表。

~クルーザーの故障から無人島に取り残されたのは、ロジャー・シェリンガムを含む十五人の男女。しかしどこか仕組まれたようでもあった。案の定、この集団のホスト役の男が全員を集めて言った。「この中に殺人者がいる!」。そこへある人物の死が重なり、ひとびとは次第に疑心暗鬼に陥っていく。警察も来ないこの閉鎖空間でシェリンガムはいったいどのような裁断を下すのか?~

いったいなんなんだ? この作品は?
読了した後の正直な感想はこのようなものだった。作者の狙いも理解不能だし、今までのバークリー作品と違いすぎる肌触りや、シェリンガムのキャラまでもこれまでと全然違うように思えた。
たぶんに「実験的」な作品だったのだろうか? これが序文でいうところの作者の「企み」なのか?
当時の反響はよく分からないけど、21世紀の現在目線では決して成功しているとは言い難い。(巻末解説によれば、当時も「ルールを破りすぎてしまったため、バークリー唯一の失敗作となった」などという評価だったとのことだが)

誤解を恐れずに言えば、本作は「つまらない」のだ。
いや違うな。正確に言うと、今までのバークリー作品のようなものを求める読者にとっては「つまらない」ということ。
だって、この設定ですよ! こんな魅力的なCC設定なんてありますか? その中で15人もの男女が登場してそれぞれに好き勝手考え、行動し、それぞれいわくありげな人物なんて・・・
こんな一級の素材たちを用意して料理した結果がこれだなんて・・・

値段はバカ高いんだけど、一般庶民の我々からすると普段の味とあまりにも違いすぎる高級料理だったという感じと言えばいいのか。
ところどころ作者らしい稚気があって、元貴族のサー・ジョンの後半の振る舞いとシェリンガムの対応なんかは思わず笑ってしまうのだけど・・・。うーん。期待したものではないよね。

分量も結構長いので、我慢して読んでいって結果がコレだとまあまあツライかもしれないので、手に取られる方は覚悟を決めて読んでください。

No.5 5点 弾十六 2018/11/04 01:11
原作1934年 翻訳2010年
無邪気な明るさが消えた後期シェリンガム・シリーズ。ここでは、その憂鬱な雰囲気が不気味な旅にぴったりです。悪趣味なホストが謎のクルーズに誘い、島への上陸から次の朝に至る流れは素晴らしいのですが、その後の進展はいささか冗長で小ネタがあまり冴えていない感じ。でも結末はバークリーらしい出来栄えで満足です。時事ネタで「国際連盟と日本」が出てました。

No.4 5点 ボナンザ 2018/01/14 20:48
帯には暴走と書いてありますが、シュエリンガムは珍しく暴走はしません。
本格ものとしてはやや物足りないが、バークリーらしい作風で、シェリンガム最後の事件にはふさわしいかも。

No.3 4点 青い車 2016/02/13 20:39
これは評価が難しいですね…。どう読んでも本格ではないですし、それ以前にミステリーかどうかすら怪しく思えます。タイトル通り「パニック小説」とでも分類するべきではないでしょうか。とにかくトリックもへったくれもない内容で、大して分厚い本ではないのにものすごく長く感じました。この本の面白さがわからない僕はまだ未熟で読みが浅いのでしょうか?少なくとも『毒入りチョコレート事件』『第二の銃声』と肩を並べるにはだいぶ見劣りする、というのが正直な意見です。

No.2 5点 nukkam 2014/08/12 19:05
(ネタバレなしです) アガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」(1939年)より5年も前の1934年に発表された孤島ミステリーという紹介は間違いではないのですがかなり性格の異なる作品で、本書がクリスティ-に影響を与えたとは思えません。「ルールをことごとく破って」という冒頭の作者コメントが気になりますが、推理の説得力が弱い印象は受けたもののルール破りとまでは感じませんでした。他のバークリー作品と異なるのは冒険スリラー小説の要素が強いことで、特に終盤では謎解きよりもどう混乱を収めるかについて多くのページを費やしています。その点で本書のタイトルは適切だと思いますが犯人当ての面白さが犠牲になっていることも否めません。特に最終作的な演出的はありませんがロジャー・シェリンガム第10作の本書がシリーズ最後の作品となりました。

No.1 5点 kanamori 2010/11/05 22:45
迷探偵シェリンガム、シリーズ最後の長編。
無人島に置き去りにされた15人の多彩な人々と、いきなり発生する殺人ということで、本書の数年後に出版された「そして誰も...」を連想しますが、まったく目指す方向がちがう異色作でした。
殺人犯と共に孤島でテント生活を余儀なくされたことによって、登場人物達が少しづつ壊れていき本性が露わになる様を描くのが作者の狙いでしょう。フーダニット志向は弱く、シェリンガムもほとんど調査に乗り出さないので、本格ミステリとはいえません。
シェリンガムがいやに常識人になっていて推理の暴走がないのも物足りない。


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アントニイ・バークリー
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