シーマスターさんの登録情報 | |
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平均点:5.94点 | 書評数:278件 |
No.178 | 5点 | 舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 歌野晶午 |
(2010/11/02 22:52登録) 舞田ひとみシリーズ第2弾。 前作から少し大人になったひとみちゃんが今回はしっかり探偵役だし、言動と年齢のギャップを大きく感じさせるものでもなくなっている。(と思う) ただミステリ的には概して歌野らしいアクに欠ける印象でしたね。もっともこのシリーズは作者自ら公言しているように「ゆるミス」だからね・・・ だけど前作は各短編のリンクがなかなか巧妙で面白かったのに今回はそれも申し訳程度でしたね。 3年後には「17歳」を予定しているそうです。 歌野さん、もしかしてひとみちゃんくらいの娘さんがいるのかな?本作に限ったことではないがティーンの女の子の実態やファッショントレンドの詳細さとか尋常じゃないところもあるからね。 |
No.177 | 7点 | 灰色の虹 貫井徳郎 |
(2010/10/26 23:56登録) 理不尽、陰惨、苦痛、絶望、怨念、復讐、悲愴・・・ ・・・といった暗鬱な内容にまみれた物語でありながら、いや、それ故にページを捲る手が止まらないという貫井節炸裂の生々しい冤罪小説。(こういう系が苦手な人は決して読んではならない。こんなにも痛ましくやりきれない話はない) 先日メディアで流された警察官によるヤクザまがいの取り調べの録音からも分かるように、作中で描かれた今尚横行する暴力的な被疑者落とし、そしてそれに続く司法システムの定式性には憤怒以上に恐怖を感じるばかりで、この「冤罪の構図」という蟻地獄にはまったら逃れるすべはないことを前半では実感させられる。 少々強引で御都合な展開は相変わらずだが、そうした引っかかりを吹き飛ばす絶大なリーダビリティも御健在。(ていうか相性の問題なんだろうけどね) ただし後半に入ると若干息切れの感も否めず「裁判官の章」辺りでは冗長さに加えて喜劇的な空気すら感じられる。 唯一のミステリーらしいトリック・・・これは本サイトでも非常に評価が高い某短編集の中の一作のモロパクリだが(それはそれでいいんだけど)これはちょっと(少なくとも全部は)ムリだよね。痛ましさを増大するばかりだよね。 読後感としては・・・・全てが白日の下に晒され、このようなことが今後現実で起こらぬことを願うばかり。 |
No.176 | 6点 | 無限ループ 大村あつし |
(2010/10/20 23:38登録) 初耳(ていうか初見)の作家だが書店の宣伝スタンドを見て即買。 主人公が、憎悪の対象者から怒りの度合いに応じた金を巻き上げることができる「箱」を手に入れることから始まり、それを使いながら・・・というなかなかドラえチックなSFミステリー。 ITベンチャー、ドラッグ、政財界の癒着や芸能界の裏側、銀座のクラブと女達・・・現代社会の光と闇をライトなタッチで映し出し、いくつかのトリッキーな「繋がり」で笑わせてくれたり驚かせてくれたりもしながら「家族とは何か」「人は何のために生きるのか」「本当に大切なものは何か」というテーマを焙りだしていく内容の濃い作品になっている。それが止まらないほど読みやすい。(一口サイズに章分けされているので尚更) 最後は(プロローグによって大体どんな感じになるのかは分かってしまうが)ちょっとジンときた・・しかし書き方によってはサイボーグ009のラストのような感涙するほどの感動をもたらせてくれることもできただろう・・・と思わせられるところが少し残念。 |
No.175 | 6点 | ハッピーエンドにさよならを 歌野晶午 |
(2010/10/16 22:18登録) 落穂拾い的な短編集のようだが、タイトルどおり全てバッドエンドで、皆さん仰るように「正月~」に比べれば薄味だけと歌野のダークサイドが味わえる作品がズラッと並んでいる。 ただしネタやオチは首を傾げたくなるほど旧型なものが少なくないので、そちらへの期待度は控えめにして読まないと落胆も少なくないだろう。 歌野君は、最近はチャットモの殺人ゲームシリーズに気を注いでいるようだが個人的にはコッチ系の方がいいなあ |
No.174 | 6点 | 転落 永嶋恵美 |
(2010/10/06 23:23登録) 作者名すら知らなかったが、本屋の講談社文庫エリアのPRの立て札(ポップっていうの?)を見て、即決でレジへ運搬。 そんなことはともかく・・・・・・・・ 暗鬱なサスペンスだけれど、現代的な文章スタイルでリーダビリティは高い作品だと思う。 何となく湊かなえ氏の「告白」に似たテイストかな。 ホームレスや老人病院などの描写は冗長さも否めないが、それらも読みやすくて「よく取材したなぁ」と感心の念すら覚えました。 三章から成る本作の第一章はホームレスの「ボク」が語り手で、小学生の女の子との奇妙な関係・行動がメインになるが、読者の大半は読了した時に「この章の大部分は一体なんだったの?」という感想を抱くでしょうね。 第二章では語り手が変わり、前章の終わりを受けて「隠匿」の物語が始まり・・・やがて終わる。 最終章で再びテラーチェンジし、全体の根底が語られ、ラストで(最初の謎でもある)最後の謎が明かされるが、これは・・・・「何それ」必至。 解決されない「?」もいくつかあるが、個人的には数々の思わせぶりのエピソードが全体の中での意味や必然性が希薄だったことや特に唐突なラストには、逆に斬新な感じを受けたし、それも含めて、軽い叙述トリックも使いながら加害者・被害者の心の闇と狂気を素材にした意外な真相が潜む本作のストーリーには「新感覚サスペンス」という形容が相応しいようにも感じた。 |
No.173 | 6点 | ロウフィールド館の惨劇 ルース・レンデル |
(2010/09/29 23:30登録) 我が蔵書庫の奥底(ウソウソ)で長年熟成させてきたが、この度(ふとしたことから)ついに開栓、賞味。 しかし、少々長く寝かせすぎたようだ。 異常心理から殺戮に至る過程が描かれたサスペンスだが、昨今の同系統のものに比べると色褪せている、というより薄味の感は如何ともしがたい・・・・最近のサイコ物はエグいからなぁ。 とはいえ、物語の組み立て方や伏線の鏤め方は巧緻に長け、四季の移ろいなどの情景描写も含めて小説としての完成度は高いと思う。 このジャンルにおける記念碑的な作品と言っていいのではないかな。 |
No.172 | 7点 | 空中ブランコ 奥田英朗 |
(2010/09/12 23:11登録) 心因性疾患に悩むエグゼクティブ達と彼らの主治医・ドクター伊良部が紡ぎだすエキセントリックなヒューマンドラマ5作。 【空中ブランコ】 きれいに纏まりすぎる気がしないでもないが、こういう事って実は結構あるのかもしれない。 【ハリネズミ】 この人、ほんとヤクザの下層世界に詳しいよね。 【義父のヅラ】 実にバカバカしいが可笑しい。ドタバタコメディーで本当に笑ったのはいつ以来だろう。その他いろんな意味で面白かったですよ。 【ホットコーナー】 これも「いい話」だが、個人的に「負けた方が一月・・」に爆笑。 【女流作家】 作家が作家の悩みを書いているのだから、これはリアリティが高い実情話なのだろう。映画監督の話はいまいちピンと来なかったけどラストはジンと来ました。 シリアスとコントの混合構成で、クサさを醸し出さずに最後に清々しさを残す話を常ならぬリーダビリティでこれだけ連ねるだから大したものだと思う。 自分も少しだけ癒されました。 |
No.171 | 6点 | 嘘つきパズル 黒田研二 |
(2010/09/06 22:36登録) 変態オカマのキショ描写(今年の暴力的な猛暑に比べれば屁でもない・・・・って比較になるかっ)に極度のアレルギー反応を呈する体質でなければ、パズラーとして一読の価値アルカイダと言ってもいいカモミール 特にロジックやらクイズやらが好きな方が(第2章以後)じっくり舐め尽くすように読んで(&見て)いけば最後には「楽しめた作品」になるだろう。 ただし(冒頭のクイズは本書の読者なら正解率>95%だろうが)本文の真相看破率が0.0004%以下であることは間違いないだろうけどね。 |
No.170 | 6点 | 十三番目の人格―ISOLA 貴志祐介 |
(2010/08/10 23:03登録) 確かに纏まりのいいサイコ(いや、オカルト?)ホラーですね。 デビュー作ながら完成度が高く「貴志祐介は始めから貴志祐介だった」と評するに過不足ない作品だと思います。 ただクライマックス以外はダラダラ展開に感じられるところも多く、内容の割りには長かったなぁというのも個人的な感想。 ラストも(皆さん仰せのとおり)「並のホラー」っぽいよね。 まぁこれはこれでいいと思うんだけど途中で思ったのが、この設定でサイコサスペンス映画の傑作、『アイデンティティー』のような「どの人格が犯人か?→ドンデンな真相(実は磯良ではなく・・)」みたいなストーリーにしても面白かったのではないか、というものだが貴志さんに求めるものではないよね。 |
No.169 | 6点 | 空白の叫び 貫井徳郎 |
(2010/07/05 23:52登録) 貫井徳朗渾身の超大作、この度ついに上中下の三分冊にて待望の文庫化!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (「だから何?」「待ってたんですよ」) ◆解説より 「僕はこの作品を書くために作家になったのかもしれない」 ◆作者のブログ(本年6月9日)より 「魂を削って書いた作品です。これを書き終えて、ぼくは小説家を辞めてもいいと思いました」 あの貫井徳朗がここまでいうのだから、読むにあたり否が応でも期待が高まるのは禁じえない・・・・・・・ ・・・・・・・確かに作者らしい濃厚な不快に満ち溢れた作品だった。 しかし、率直な読後感は「うーん、あなたはもっと凄い小説をいくつも書いているのではないですか?」 まぁ、この辺は書き手と読み手の主観の違いというものが多分に露顕してくるところなのだろうが、リアリティに乏しいミドルティーン達の現実離れしたストーリーからは、作者が「何を言いたかったのか」が自分には解らなかった。 |
No.168 | 6点 | 告白 湊かなえ |
(2010/06/12 23:11登録) 世評高すぎないですか? 宣伝うますぎ? 衝撃的との呼び声高い第一章の仕掛けは、短編やショートショートの名手といわれる先人達が幾度となく使っている手だよね。 もちろん本章の評価はトリックだけではなく、事件の異様性とグイグイ引き込まれる主人公の語り口によるところが大きいことは十分認めますけど。 (しかし無垢な幼児が犠牲になる話はやっぱり辛いなぁ) 第二章以後も各章が事件の重要人物達の、それぞれの人生・立場からの経緯の独白という形式で語られ非常にリーダビリティは高いが、リアリティを感じさせる語り手が一人もいないので、どうしても作り物っぽさが拭えないのは物語の構造上やむを得ないところか。 そしてラスト、そんなに驚愕? 最早いろいろ悟ってしまったソイツに対する裁きになりますか? 上映中の映画も気にはなるが、多分テレビ放映されるまで見ることはないだろう。 |
No.167 | 6点 | 明日の空 貫井徳郎 |
(2010/06/07 23:48登録) 帯の文言を目にした上で読み始めると、青春物語調の展開からは「イニシエーション・ラブ」のにおいがプンプン 結局仕掛けは見抜けなかったけど、真相・結末・読後感は歌野作品と伊坂作品のミックス味といった感じで、あっと驚くのは彼らの作品を未読の穢れを知らない読者だけだろう。 読みやすくて面白い読み物ではありますよ。 |
No.166 | 6点 | 煙の殺意 泡坂妻夫 |
(2010/06/07 23:41登録) 刊行当時はかなりインパクトが強い短編集だったんだろうな・・・というのは容易に想像できるが、率直な読後感は・・・・ 『赤の追想』・・・悲運と恋愛を題材にした、深くて重たい逆説話ではあるがロジカルなミステリではない。 序盤のキャラクター当ては、感情と蓋然を混同しまくりで、シャーロック・ホームズも開口不閉だろう。(ていうか、これはおふざけか?) 『樺山訪雪図』・・・幻想味が冴えるネタではあるが、芸術の超絶技巧をミステリに利用した話は時々あるよね。(本作が先駆かは知らんけど) 『紳士の園』・・・面白いし「逆転の発想」の試みも評価できるがムリっぽさは拭えない。星新一(?)のちょっと長めのショートなどでいくつか類似パターンがあったような気がする。(どれが先か知らんけど) 『閏の花嫁』・・・これも星さん等々で似たような話は少なくないと思うが、女心の描写なんかは割と面白い。 『煙の殺意』・・・当時は衝撃的だったのかもしれないが、今ではそれほど「驚くべき構図」ではないし概ね読めてしまうのでは? 『狐の面』・・・話は楽しいし着眼のキレも感じさせるが、緻密なロジックとは程遠い。 『歯と胴』・・・よくできているが、これも阿刀田高とか土屋隆生とかの短編で時々見かける様式だよね。(どれが先か知らんけど) 『開橋式次第』・・・ドタバタも悪くはないし、大翁の推理に目くじらを立てるつもりもないが思いつきの域を超えるものではなく、「方法の理由」も甚だ現実味に乏しい。その根拠となる人間性の説教も一般論としては甚だよく解かるが甚だ押しつけがましくも感じる。 要するに、面白い短編集だがミステリとして時の試練を耐え抜いているとは思えないなー、というのが個人的な感想。 |
No.165 | 7点 | 騙し絵 マルセル・F・ラントーム |
(2010/05/19 23:49登録) 6人の多国籍警察官による厳重監視の中で253カラットのダイヤモンドが偽物と入れ替わる、というアン信じらブルな不可能犯罪。 正直「警察が徹底的に現場検証したけど全く異状なし」というのは少々アンフェアな気もするが、この大胆なイリュージョンの前にはその程度の・・・には目を瞑ってもいいだろう。 その他にも全くカスな二件の「消失」があったり、思いつきみたいな話がコッテリ盛られたりしながらも、消化しやすい古き良き風味のフレンチ・ミステリーといった感じの作品だと思うが如何だろうか。 メイントリックもさることながら文調も軽妙で、大いに才能を感じさせる作者ではあるが、本作を含めて大戦中に捕虜収容所で書いた三作が戦後のフランスでは全く評判にならなかったことに失望して筆を折ってしまった、というのだから惜しまれることこの上ない。 |
No.164 | 7点 | 隠蔽捜査 今野敏 |
(2010/04/27 23:20登録) (結末に触れています) うん、確かに面白い。 読みやすくて読み応えのある小説だ。 本作の魅力は何といっても主人公の「職務の原則を貫き通す生き様」であるが、これはもちろん私利や保身を超えたヒロイズムなどではなく、単なる正義感でもない警察官僚としての矜持、というより「全てを犠牲にして手に入れた自分の仕事の意義」突き詰めれば「自分が生きている意味」を守る、ということに他ならないものなのだろう。 (その裏返しが『レ・ミゼラブル』のジャベール警部だったように思う・・・宿敵と定め、長年追い回してきた犯罪者バルジャンに命を救われたことにより、生涯信じてきた「法律」の絶対性が自分の中で根幹から崩れ、信念と生きる支えを失ったジャベールは自らセーヌ川へ身を投じることになる) もう一つの大きなメッセージが「隠蔽は必ず破局を招く」言いかえれば「うそをついてはいけません。本当のことを話しましょう」という小学一年の道徳で教わるような教訓であり、下手に書くとクサい勧善懲悪モノになりそうな内容だが、社会派ストーリーとして清々しい読後感をもたらす物語に仕上げられている。 ところで近頃時効を迎えた国松元長官狙撃事件の捜査で本当に「そんなこと」あったのかな? |
No.163 | 6点 | 館島 東川篤哉 |
(2010/04/20 23:55登録) うーん、やはりソッチ系のトリックだったか・・・ていうか、それしかありえないよね、この設定では。 まぁ、あまり好みではないとしか言いようがない。 ソッチ系と分かれば幾何のクイズとして割と面白いのかもしれないが、不思議な謎に対して「実はこういう仕掛けだったんですよ」と時計の裏蓋を開けられてもねぇ。 本来ならバカミスにすべきネタだと思うが、それにも成りきれなかった半端な印象は如何ともし難い。 更に、(更に個人的嗜好の問題だが)コミカルなタッチのミステリもタイプではないなぁと再認識。確かに所々笑えたが、笑いたいなら始めからコメディ読めばいいんだし。(こういうのを開き直り型偏見という) トリックは別としても、このストーリー展開なら(遅々として進まず母として進む)序盤を除いて「館でのできごと」は「館シリーズ」のような重くて暗くて物々しい雰囲気にして進めてくれたら、かなりゾクゾクできたのではないかなぁ、と勿体ない気がしましたですよ。(そう、あくまでも個人的感想) |
No.162 | 6点 | 緋色の囁き 綾辻行人 |
(2010/04/01 00:03登録) 最近では『小公女セイラ』(昨年末テレビでやってたやつ)の舞台としても使われた「全寮制の名門女学園」という(フィクションでは大抵陰湿の宝庫にされる)シチュエーションに綾辻らしいケレン味が惜しみなく塗され、内容もサイコホラー系ミステリーとして纏まりのいい出来になっていると思うが、こういう話は生理的に、自分のような普通の女子高生には合いませんね |
No.161 | 6点 | 人間動物園 連城三紀彦 |
(2010/03/31 23:56登録) この「構図」は凄い。 しかし、それだけだ。と個人的には感じた。 全てが明らかになったときに、そういうやり方をする動機と必然性と方法論に納得し、展開の蓋然性に違和感を覚えず、メッセージ性に共感できる人がどれほどいるのだろうか。 それに心情や情景の描写もどうも頭に滲み入りにくいものが多く、文章そのものも全体的に読みにくかったように思う。(これは単に自分に合わなかっただけなのだろう) 本作の「構図」をもう少し合理的な犯罪ショーとして「騙し絵」に徹した形で、尚かつスマートに見せてくれていたら華麗なマジックのようなエンターテイニング・ミステリとして、かなりの作品になったことだろう。 |
No.160 | 6点 | 白光 連城三紀彦 |
(2010/03/23 23:08登録) 一見平凡な姉妹がそれぞれ嫁いだ二家族の、薄い平凡の皮膜の下に波打つドロドロで底深い愛憎劇の臨界破綻として生じた幼女殺人事件。 登場人物達の順繰りの独白形式により、巨大な蟻地獄の底のような真相の露呈に向かい、大きくスパイラルしながら時に緩慢に時に電撃的に進む構成は、情念型ミステリーとして完成度が高い仕上がりになっていると思う。 谷崎潤一郎や三島由紀夫なども好きなミステリーファンには絶賛されるかもしれない。 (ちなみに自分はどちらも一冊も読んだことがない) |
No.159 | 5点 | 左90度に黒の三角 矢野龍王 |
(2010/03/10 22:39登録) 矢野サバ第四弾。 しかし、生死が掛かっているとは言え、サバイバルゲームとは名ばかりで、実質は全く推理のしようもない破綻しまくりのミステリ・・というより「ひらめき当てっこ」クイズゲーム。 この人の諸作のようなタイプの話は少々論理性や整合性を欠いていても、読んでいる間のめり込めれば十分合格だと個人的には思うが、本作はリーダビリティの点でも、お世辞にも褒められたものではない。 読後も、作者が何をしたかったのかまるで解からない。 「ミステリ部分の仕掛け」の意外性?・・・「並」以外の何物でもない。 もし最後のオチを披露したいがために、このタイトルでこの話を書いたのだとしたら矢野龍王恐るべし。 |