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ミステリの祭典

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転落

作家 永嶋恵美
出版日2004年07月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 蟷螂の斧
(2012/01/30 09:09登録)
「10年に1冊の戦慄ミステリー」の帯に魅かれましたが、ミステリーというより女性心理サスペンスでした。内在する悪意をうまく描写していると思いました。

No.1 6点 シーマスター
(2010/10/06 23:23登録)
作者名すら知らなかったが、本屋の講談社文庫エリアのPRの立て札(ポップっていうの?)を見て、即決でレジへ運搬。

そんなことはともかく・・・・・・・・
暗鬱なサスペンスだけれど、現代的な文章スタイルでリーダビリティは高い作品だと思う。
何となく湊かなえ氏の「告白」に似たテイストかな。
ホームレスや老人病院などの描写は冗長さも否めないが、それらも読みやすくて「よく取材したなぁ」と感心の念すら覚えました。

三章から成る本作の第一章はホームレスの「ボク」が語り手で、小学生の女の子との奇妙な関係・行動がメインになるが、読者の大半は読了した時に「この章の大部分は一体なんだったの?」という感想を抱くでしょうね。
第二章では語り手が変わり、前章の終わりを受けて「隠匿」の物語が始まり・・・やがて終わる。
最終章で再びテラーチェンジし、全体の根底が語られ、ラストで(最初の謎でもある)最後の謎が明かされるが、これは・・・・「何それ」必至。

解決されない「?」もいくつかあるが、個人的には数々の思わせぶりのエピソードが全体の中での意味や必然性が希薄だったことや特に唐突なラストには、逆に斬新な感じを受けたし、それも含めて、軽い叙述トリックも使いながら加害者・被害者の心の闇と狂気を素材にした意外な真相が潜む本作のストーリーには「新感覚サスペンス」という形容が相応しいようにも感じた。

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