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ミステリの祭典

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ギザじゅうさんの登録情報
平均点:6.99点 書評数:238件

プロフィール| 書評

No.138 6点 砂の城
鮎川哲也
(2004/02/17 14:50登録)
とある刑事がアリバイ崩しに挑んで敗れた後を鬼貫警部が引き継ぐという鮎哲のゴールデンパターン・・・ながらも、今回のアリバイはさほど堅固には感じられなかった。
解決に至るプロセスも鉛筆や笹団子といった小物からヒントを得るといったパターンにも乏しかったのも残念。
単なる偶然でアリバイが立証されるというのも手落ちのようだし、丹那刑事が出てこないのも残念かな?
とは言っても、充分に楽しめることは間違いない。


No.137 7点 今はもうない
森博嗣
(2004/02/16 20:21登録)
シリーズの中では一番本格らしい作品。
仮説を出してはそれを否定し、また仮設を出しては・・・と解決に至るプロセスも見事ながら、密室という状況をトリックで解体するのではなく、複雑なパズルを構成するために使っているのは上手い。『詩的私的ジャック』に通ずるところがある。
森ミステリィではトリックよりも(たとえ密室が出てこようと)パズル重視の傾向が強いが今作はその最たるもの。
ただし今作はシリーズを通してから読む必要あり。


No.136 5点 ガラス張りの誘拐
歌野晶午
(2004/02/16 20:09登録)
中編三本で一つの長編になるといった仕掛け。
全体としてのトリックはなかなかよくできてはいるが、一つ一つの独立とした話としての工夫が足りない様に思われた。


No.135 7点 アトポス
島田荘司
(2004/02/13 22:30登録)
有無を言わせぬ豪快なトリックと社会問題という相変わらずの島田節(?) 前半部と後半部が最後でつながるのはいいが、前置きが長すぎる気もする。
が、御手洗が颯爽と現れて解き明かす謎のスケールと真相は見事。


No.134 7点 動機
横山秀夫
(2004/02/11 17:24登録)
やはりこの作家は只者ではない。
警察官以外にも元受刑者、事件記者、裁判官と様々な職を描き、その立場にとらわれない人間としての姿との葛藤を描きだす。本書の白眉は表題作の『動機』


No.133 5点 山伏地蔵坊の放浪
有栖川有栖
(2004/02/07 12:29登録)
山伏を探偵にというのは面白いが必然性とはいわないまでももう少し何かが欲しい気もする。
どの短編も一つのアイデアから組み立てただけといった感じが強く、どれも物足りない。安易な暗号やダイイングメッセージがないのは良かったものの、ロシアやブラジルと同じく短編としての悪い面(下手とも言える)が大いに出ている。さくっと読むぶんにはいいかも・・・。


No.132 7点 私という名の変奏曲
連城三紀彦
(2004/01/11 00:04登録)
『私という名の変奏曲』 新潮文庫

同じ人間が七回殺される!この強烈な謎に真っ向から答えるところも見事!しかし本書の凄いところは恐ろしい謎が解き明かされたことによって、さらに話の恐ろしさが深くなるところにある。トリックを単なるトリックに終わらせていない。
不満があるとすれば、同じような描写が何度も殺され所か


No.131 9点 戻り川心中
連城三紀彦
(2004/01/10 23:59登録)
『戻り川心中』 講談社文庫

浪漫的な香りのする珠玉の短編集。文学的な面白さもあるという点では北村薫に近いところもある。
なんといっても本書の白眉は表題作の「戻り川心中」
心中の意外性が静かに胸を打ち、幻想が幕を閉じる美しい物語


No.130 8点 陰の季節
横山秀夫
(2004/01/10 23:53登録)
警察小説というとあまり良いイメージを持っていないのだが、これはすごい!警察外部ではなく内部の事件での出世争いにおける自我のぶつかり合いや、公と私での自分の立場での悩み等々を描き出す作者に確かな実力を感じた。
単純に本格としてのホワイダニットとしても充分面白い。


No.129 6点 秋の花
北村薫
(2003/12/17 00:20登録)
長編だったり、事件がおこったりと今までと違った趣き。
発端、調査、そして名探偵(円紫師匠)の登場で丁寧に伏線も張られ、トリックもありとオーソドックスな形に近い。
しかし、謎が解かれたあとにどうするかという北村(節)で一人の女の子の再生を願う話はかくも美しい。


No.128 9点 どちらかが彼女を殺した
東野圭吾
(2003/12/14 13:22登録)
最近の作品では読者への挑戦状があっても真剣に考える人はほとんどいなく、挑戦というよりも作者の本格ミステリ(フェア)宣言のように思われる。が、これこそは真の意味での読者への挑戦状ではないか。
賛否両論ありそうだが、この試みを成功させるためにプロットや最後の幕切れのシーンなど一工夫も二工夫も凝らしてあるのも流石。


No.127 6点 夏のレプリカ
森博嗣
(2003/12/10 14:32登録)
わざわざ『幻惑〜』と話が並行するように書いたのは、犀川先生の出番を減らし杜萌側から描く心理描写に重点を置いたから・・・という意味では良くできているのだが・・・。
あんな大掛かりなトリックを用意した犯人の意図がよくわからない・・・。


No.126 6点 バベル消滅
飛鳥部勝則
(2003/12/06 22:39登録)
視点が途中で移りながら事件がおきて、解決して最後にどんでん返しという所は『殉教カテリナ車輪』を踏襲しているのだが、全体としてのバランスはあまり良くないように感じた。前半部は読んでいて退屈で殉教〜のように読者をぐいぐいと引っ張る力が無かった。作者のタブローもあまり意味をなしていないような・・・。
前作がとても良かったから厳しいことを言ってしまうけれども、最後のどんでん返しと終わり方は良かった。


No.125 7点 ユリ迷宮
二階堂黎人
(2003/11/23 21:53登録)
短編「ロシア館の謎」「ユリ密室」中篇「劇薬」の三篇
ユリ密室はトリックも機械的なものだし、浮いている気が否めない。
劇薬はクリスティーの『ひらいたトランプ』を髣髴とさせる作品。よくできているがごちゃごちゃしてよくわからなかった。
本書の白眉はロシア館の謎の家屋消失トリック。
泡坂妻夫の名短編「砂蛾家の消失」の如き大胆なトリックで城を消失してみせる。
物語の幻想性と相俟って最大の効果を与えている。


No.124 6点 鬼面村の殺人
折原一
(2003/11/23 21:42登録)
家屋消失は難しいからかあまり多くないので、これに挑戦したというので満足。
消失トリックも密室トリックも小粒(パロディ)だけど、多くの伏線をはっての最後のどんでん返しの連続はなかなか上手い。


No.123 6点 覆面作家は二人いる
北村薫
(2003/11/19 13:23登録)
キャラクターや設定はギャグっぽいけど、中味はしっかりした本格。
(円紫師匠と私)シリーズにみられる人情味やちょっとした悪意など北村薫の味もあり、さくさく読めるので(円〜)シリーズがあわない人でも安心して読める。


No.122 6点 解体諸因
西澤保彦
(2003/11/13 13:38登録)
バラバラ殺人だけでこれだけのパターンを作ったのは見事
ただし、題材が難しいだけに設定に無理があったり、力押しだったり・・・。それが気にならなければ楽しめるかな。
超傑作短編「赤い密室」を超えるようなものは無かった。


No.121 6点 眠りの森
東野圭吾
(2003/11/10 13:28登録)
最近この手の話に食傷気味のせいかあまり印象に残っていない。しかしプロットも良くできているし、加賀の一生懸命さも伝わってきた。


No.120 7点 あした天気にしておくれ
岡嶋二人
(2003/11/09 23:29登録)
 (江戸川乱歩賞最終候補作!)
馬の誘拐を犯人側から描く倒叙形式なのだが、途中から謎の脅迫者も加わって次はどうなるのか、次はどうなるのかと気になって一気に読んでしまう。
乱歩賞受賞作の『焦茶色のパステル』よりも、こちらの方が楽しめた。


No.119 5点 ダリの繭
有栖川有栖
(2003/10/30 02:05登録)
扱っているテーマやモチーフは好きなのだが、ダリの髭などの論理展開はすぐにわかってしまう。
容疑者を転々とさせる手腕は見事だが、これだけの内容でこの長さだとだれてしまうのでは。

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