home

ミステリの祭典

login
ユリ迷宮
二階堂蘭子シリーズ

作家 二階堂黎人
出版日1995年04月
平均点5.75点
書評数12人

No.12 6点 ミステリ初心者
(2024/10/12 19:12登録)
ネタバレをしています。

 全く関係ない話ですが、この作品の前に2冊の本を読み、しかし解決編前で止めておいて考えるということをしていますw 結構長期で悩んでおりますw
 私にとって久しぶりの二階堂蘭子シリーズです。中短編集ですが全体的に本格色が強く、それでいて非常に読みやすく満足しました。


○ロシア館の謎
 壮大なトリックでした。また、推理小説らしからぬ展開と秘宝伝説は蘭子シリーズらしかったですねw このトリックを考えてから物語の舞台と背景と設定を考えたのか、はたまた逆なのか気になるところですw

○密室のユリ
 意外な犯人には驚きましたが、やはり私は糸とかそういう道具を使っていろいろ密室を作る系は苦手です;

○劇薬
 中編であり、内容が濃く楽しめました。多重解決の趣があり、後半の二転三転する展開はわくわくさせられます。
 全然関係ないことですが、コントラクト・ブリッジのルールをさっぱり理解できませんでしたw 文中に何度も"簡単に理解できると思う"旨の文章があり、自分の頭の悪さに絶望しました;; 結局、youtubeにある簡単ルール解説動画を見て、何となく理解しました。ただ、まあまるきりわからなくてもこの小説は楽しめると思いますw
 私は、"善蔵が脅迫状を書いた主をあぶりだす為に狂言自殺未遂をして失敗して死んでしまった"という展開を考えておりました。それに近いものがダミー推理として部分的に使われていましたねw
 真の解決ですが、現実的ではありますがやや拍子抜けした感があります。善蔵への恨みつらみが語られる前半は丸々ミスリードに近いと思いますし、犯人の行動を予想するのも難しい気がしますw 善蔵を殺したかったのに気分でターゲット変更→偶然の不運で善蔵が死んじゃった…なんて推理が難しすぎますねw

 本格度が高く、読みやすいよい中短編でした。劇薬のラストの展開にはやや不満がありますが、長編ではないですし、満足です。

No.11 6点 レッドキング
(2022/10/12 21:35登録)
二階堂蘭子シリーズ第一短編集。と、言っても「劇薬」は、長に近い中編。
   「ロシア館の謎」 雪上館の完全消失物。が、錯視トリックの類ではなく、麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」並みの
           啞然超絶トリック 6点。
   「密室のユリ」 完全な密室物。わお、敢えてそのトリック使うか! 「皇帝のかぎ煙草入れ」風味の犯人指摘
          のロジックが良い。7点。
   「劇薬」 トランプゲームスコアからの毒殺事件の犯人指摘。4点。

No.10 7点
(2018/10/19 09:52登録)
ロシア館の謎・・・7点。館消失モノ。壮大で滅茶苦茶なトリックが良い。島田氏の「ロシア幽霊軍艦事件」みたいに長編にしてもらいたかった。でもそうなるとぼろが出るから、このぐらいがちょうどいいところか。想い出語りスタイルも良い。

密室のユリ・・・6点。普通の密室モノ。「ロシア・・・」の後だから、どんな凄いのが出てくるかと思っていたら、意外にフツー。でも短編本格としては十分に満足した。

劇薬・・・7点。毒薬ブリッジ中編モノ。いやこういうのを読むとワクワク感がたまらんな。二転三転も良い。気合が入っていると思われるのに、さらっと書いてあるのがとても良い。

No.9 5点 斎藤警部
(2016/12/06 22:06登録)
「ロシア館の謎」・・物語は悪くない。ミステリ要素は。。壮大だが何故か感動しない館消失トリック。やっぱ舞台が舞台だし真相は「そっちの方向」なんだろうな。。となんとなく予想できちゃうのが半分以上当たっちゃう感覚で、意外性が足りないんだろうかな。勿体無い!(5点)
「密室のユリ」・・こりゃ詰まらん。(2点)でも本全体の評価には大きく響かず。
「劇薬」・・物語、特に前半はなかなか良い。真相は、ブリッジ中継とココアの機微に絡めて奥行きあり気な予感をこんだけふりまいといてからに。。なかなかに凡庸。(5点)

割と独特の硬質な文章は記憶に残る。探偵役の個性などは特に感じん。

No.8 6点 メルカトル
(2014/01/24 22:29登録)
再読です。
二階堂蘭子シリーズは、出来不出来にかかわらず、なんというかそこはかとない本格の芳ばしい香りが漂っていて、個人的に好感が持てるんだよね。時代背景もなんとなく雰囲気が伝わってくるし。
探偵の二階堂蘭子は確かに気が強そうだけど、そんなに個性的に描かれているとは思えないので、もう少しディテールに拘ったほうがより一層作品が際立って見えると思うけどね。
本作は二編の短編と、一編の中編からなる作品集で、どれが頭抜けて素晴らしいというわけでもなく、まずまず面白い作品が並んでいる。
『ロシア館の謎』はいわゆる家屋消失もので、一見とんでもない不可能現象を、いとも簡単に蘭子が解き明かしている。アイディアはそれなりに納得できるが、驚きは控えめな感じ。
『密室のユリ』は単純な密室もの。蘭子は事件の概要を聞いただけで密室の謎を解いてしまうが、この作品には大きな欠陥がある。それは読んでいただければお分かりになるかと思う。トリックもごくごく簡単なもので、評価は低くならざるを得ない。ただしストーリーの流れ的にはスムースで分かりやすい。
『劇薬』はトランプゲームの、コントラクト・ブリッジのルールが詳しく紹介されているが、正直わけが分からない。まあ、そんなことは横へ置いて、本格ミステリとして面白い。大体殺人事件でも毒殺は地味な印象で、なんとなくモヤモヤするのが一般的だが、本作は解決編が二転三転し、捻りが結構効いているので飽きずに最後まで読める。登場人物もそれなりの人数だが、うまく描き分けられていて混乱することなく読み進められる。さすがの描写力ではないだろうか。

No.7 6点 nukkam
(2010/04/22 11:55登録)
(ネタバレなしです) 1つの大きな城館がたった半日の間に建っていた場所から跡形もなく消え失せる「ロシア館の謎」、三重の密室で起こった殺人事件の「密室のユリ」、そして死を予告する手紙が次々と舞い込む「劇薬」、二階堂蘭子の活躍する3つの中短編を収めた1995年出版の第1短編集です。200ページを超すので長編といってもよさそうな「劇薬」(講談社文庫版では中編と紹介されています)はどうやって毒を飲ませたのかというハウダニット要素の強い作品で、丁寧に謎解き伏線を張っていますが小粒で地味な作品です。デビュー作の「地獄の奇術師」(1992年)やそれより先に完成された「吸血の家」(1992年)よりも更に早く書かれたらしいのでまだ作風に余裕がないとも言えそうです。「ロシア館の謎」はロマンの香りと大トリックの絡ませ方が素晴らしい逸品で、これだけなら8点評価に値します。「密室のユリ」は自信満々の犯人が案外と他愛もなく逮捕されているのが拍子抜けでした(それだけ名探偵が優秀といえますが)。

No.6 5点 E-BANKER
(2009/09/26 23:56登録)
二階堂蘭子シリーズの短編集。
3つとも、氏の作品としてはあまり大仕掛けのない普通の作品という印象。
「ロシア館・・・」はたとえそういう理由で消失したとしても、何らかの痕跡くらいは十分残っているはずだと思うんですが・・・
「劇薬」はブリッジのルールがよく分からずに苦戦しました。ヴァン=ダインの「カナリア殺人事件」ばりの心理的解決方法は成功しているとはいえません。

No.5 6点 vivi
(2009/01/20 00:43登録)
二階堂蘭子シリーズの本を読むのは初めてなのですが、
かなり気の強いキャラクターだと思われます。
義兄の黎人は、よく一緒にいられるな~・・・

「ロシア館の謎」(国名シリーズ!?)はロマン溢れる大掛かりな作品で、
トリックの分かりやすさは置いても、楽しく読めました。
「密室のユリ」は、いかにも新本格!な事件で堪能しました☆
「劇薬」は、ちょっとどんでんがえり過ぎかな(笑)

No.4 6点 如月雪也
(2005/06/05 06:51登録)
普通に面白かった。二階堂蘭子・・確かに癖のあるキャラクターですね。

No.3 5点 Platonic Pimp
(2004/10/15 13:54登録)
ブリッジ訳わかりません、てか殺人!?とあまりと関係ないし…
我孫子さんの0の殺人ですなあ
二階堂蘭子実在してたら、御手洗とタメぐらい性格悪そう

No.2 4点 Dain
(2004/08/24 23:40登録)
ごくごくごく普通の短編集。「ロシア館」も「密室のユリ」もオチ読めちゃいましたね。「劇薬」はブリッジのルールを聞いても、何のこっちゃ分かりませんでした。よくできた話だとは思いますが。

No.1 7点 ギザじゅう
(2003/11/23 21:53登録)
短編「ロシア館の謎」「ユリ密室」中篇「劇薬」の三篇
ユリ密室はトリックも機械的なものだし、浮いている気が否めない。
劇薬はクリスティーの『ひらいたトランプ』を髣髴とさせる作品。よくできているがごちゃごちゃしてよくわからなかった。
本書の白眉はロシア館の謎の家屋消失トリック。
泡坂妻夫の名短編「砂蛾家の消失」の如き大胆なトリックで城を消失してみせる。
物語の幻想性と相俟って最大の効果を与えている。

12レコード表示中です 書評