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ミステリの祭典

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Tetchyさんの登録情報
平均点:6.73点 書評数:1626件

プロフィール| 書評

No.226 8点 魔術はささやく
宮部みゆき
(2008/04/19 22:36登録)
日本サスペンス大賞受賞作。
みなさんがおっしゃるように、この作品はかなり出来がいい。
そしてその後の活躍で知られるように、このレベルを軽々と超していくことからも、この作家が当時から並々ならぬ実力を持っていたことがわかる。

この作品は主人公の日下守少年に尽きる。
これほど魅力的な少年は現在まで、ほとんど数えるほどしか出てきていない。
それほど鮮烈だった。

あと新聞でほんの3行程度で語られる交通事故や自殺事件の裏側にはこんな真実が潜んでいたという着眼点も素晴らしい。

本格ミステリとして読んで・・・と述べている人がいるが、なぜ?
サスペンス大賞なんだからサスペンスでしょう?
単純に求める物が違っていただけだと思います。


No.225 6点 パーフェクト・ブルー
宮部みゆき
(2008/04/18 23:37登録)
いきなり犬の視点で語るという、デビューし立ての作家としてはいきなり高いハードルを設定している本書ですが、やはりムリが目立ちますね。
途中で三人称視点に切り替わってますし。

また文中に挿入される比喩とか描写とかも不自然さを感じさせます。特に比喩は大袈裟でチャンドラーを意識したのかと思いました。

内容はけっこう残酷だと思います。いきなり最初から焼死体ですからね。
このころ、私自身もミステリにこなれていなかったので、題名の設定に違和感を覚えました。
今読んでも、ちょっと納得しかねるでしょうけど。


No.224 7点 鳥人計画
東野圭吾
(2008/04/17 22:33登録)
本格スポーツミステリ『魔球』をさらに発展させたような内容。

この中に出てくる「サイバード・システム」を読んだとき、頭の中に映画『ロッキー4』が浮かんだ。

個人的にはこの中に出てくる天才ジャンパー楡井の造形が素晴らしいと思った。
実際、天才って云われる人たちってこんな感じなんだよね。
競技を離れると変に無邪気で、イメージ先行で物事を説明する。
だから凡人には理解できない。
こういうところが東野氏は上手いね。


No.223 10点 眠りの森
東野圭吾
(2008/04/16 13:58登録)
不意打ち食らいました。
ミステリとしては普通なんだけど、最後の方に出てくる

“君だけのために、俺はいくらでも語りかけるだろう―。”

この一文にガツーンと来ました。
ああ、なんて最近涙もろいのだろう。


No.222 7点 十字屋敷のピエロ
東野圭吾
(2008/04/13 14:42登録)
正直今回の内容は小粒だと思っていたが、ただでは終わりませんね、この作家。
ピエロの人形の一人称という奇抜な設定も、この企みがきちんと成功していると思う。


No.221 7点 浪花少年探偵団
東野圭吾
(2008/04/12 23:57登録)
大阪弁が軽快に飛び交うライトミステリだけど、扱われている事件はけっこう深刻な物もあるので、高校生以上になってから読む方がいいかも。
「しのぶセンセのクリスマス」が個人的にはベスト。
でも『浪花少年探偵団』といっても活躍する少年はせいぜい2人なんだよなぁ。


No.220 6点 香子の夢−コンパニオン殺人事件
東野圭吾
(2008/04/11 23:48登録)
軽めのミステリと思いながらも、密室殺人を扱っており、しかも犯行に至るプロセスはパズルのようなロジックで、しかも第2、第3の真相を用意しているのだから畏れ入る。
ただ題名がねぇ。
原題のコレもそうだけど、改題の『ウィンクに乾杯』もねぇ。
このセンスは如何なものか。


No.219 9点 魔球
東野圭吾
(2008/04/10 23:37登録)
この高校球児を中心に据えたミステリ。この作品の中心となる謎は、二つの殺人事件の謎でもなく、愉快犯とも云うべき東西電機での爆破未遂事件と社長誘拐事件の謎でもなく、題名となった“魔球”の謎、でもない。
天才投手と云われた須田武志そのものの謎である。

彼の死の真相を知ったとき、正にこの男は武士であると痛感した。
名前は須田武志。
東野氏はこの男に武士の魂を託し、“武士の心”という意味を込めて“武志”という名にしたに違いない。

本来ならば10点献上したいのだが、あまりに哀しすぎるので、その分、1点マイナスした。

そして本作でキーとなる題名にもなっているこの“魔球”の正体。
この“魔球”という二文字の意味がまた別の意味を持って立ち上がってくるのだ。
人が打てない悪魔のような変化を伴うから“魔球”と呼ばれるのが一般的だが、本作にはもう1つの意味が隠されている。
これはそれぞれこの本を読んで確認して欲しい。


No.218 5点 11文字の殺人
東野圭吾
(2008/04/09 22:55登録)
さらっと読めて、ある程度の満足は出来る「出張用ミステリ」かな。
題名はあまり意味がなかったなぁ、ガッカリ。


No.217 7点 学生街の殺人
東野圭吾
(2008/04/08 22:54登録)
主人公がモラトリアムなためか、全体のムードとしてはまったりとした感じがしている。これこそ東野氏が書きたかった青春の空白期間だったのだろう。

ページ数からいって、当時の青春ミステリ第1期の締めくくりともいえる作品なのだろうけど、結末はいただけない。
結婚を経験した身としてみれば、あの晴れ舞台で主人公の犯人に対する仕打ちはないだろう。
幸せの絶頂からいきなり奈落の底へ突き落とす仕打ちである。

あと主人公の親父!
もっと息子を気に掛けれよ!!
理解しているふりして、その実、現実を直視しない典型的なダメ親父だ。

こういう、ちょっと理不尽なところが、東野氏の欠点なんだな。


No.216 5点 白馬山荘殺人事件
東野圭吾
(2008/04/07 22:57登録)
こんな厚さで密室殺人の謎、「マザー・グース」の暗号の謎、遠隔殺人トリック、2年前の事故死の謎、ペンション「まざあ・ぐうす」の前の所有者である英国未亡人の自殺の謎と謎盛りだくさん。

この密室と暗号の謎は難解すぎる!
まず解ける奴はいないだろう!

相方の叙述トリックは作者が途中で投げ出したような気がしたんだけど。


No.215 10点 卒業−雪月花殺人ゲーム
東野圭吾
(2008/04/06 14:48登録)
みんなの評価は低いが、私はけっこう、いやかなり好きだ。

実は、私もみんなの感想同様、事件のトリック、雪月花之式のあの複雑怪奇な謎解きには全然面白みを感じていない。

でも加賀と沙都子を中心にした学生グループ全員が織成す青春群像劇、これが非常に心をくすぐった。
自分の学生時代の頃を思い出させてくれた。
これは単純に今の自分がそういう気分なのかも知れないが、読んだ感想としては、やはり自分の気持ちに嘘はつけない。

あと彼らの恩師である南沢雅子は名バイプレイヤーだ。


No.214 8点 放課後
東野圭吾
(2008/04/06 00:19登録)
東野圭吾作品に着手という事で出版順から読んでみる事に。
ということでオイラにとってこれは東野初体験。
だから全く先入観なく読めた。

で、感想は、確かにあの動機は弱いし、特に性の多様化した今では、納得の度合いはかなり低くなっている。

しかし、ミステリとは別の部分、特にもう取り戻せない高校時代に体験した体育祭の準備風景、体育祭の生徒たちの躍動感、放課後の部活の雰囲気などが妙に心に響いた。

で、この作品で大いに納得行かないのは、主人公が妻に堕胎を強制するところ。
子供を教える教師が子供を産むなというかぁ!?
もうあのラストシーンのために無理矢理こじつけたかのような布石だ。

こういうふつーでは考えられない心境を平気で書くところが東野の欠点なのかもしれん。


No.213 1点 湯布院の奇妙な下宿屋
司凍季
(2008/04/04 22:34登録)
ちょっと、これはムリがあり過ぎないか?
犯人の意外性を狙ったばかりに、これほど現実性を無視した作品も珍しい。
探偵役の一尺屋も自分の推理をコロコロ変えるし。
やっぱ合わんわ、この作家。


No.212 4点 悪魔の水槽密室 「金子みすヾ」殺人事件
司凍季
(2008/04/03 22:16登録)
水槽密室というトリックをやりたいがために、作者の好きな金子みすヾをモチーフにむりやり小説を書いた、そんな感じがするバランスの悪い作品。
せっかく穂波朱鷺絵という謎めいた女性を設定したのに、全く活かしきれていない。
他にもいいたいことあるが、このくらいで。


No.211 6点 屍蝶の沼
司凍季
(2008/04/02 15:04登録)
今まで読んだ司作品の中で、ベストの1冊。
文体も今までの作品に比べていい。

今まで推理ゲームのコマのように書かれていた登場人物もそれぞれにエピソードを含ませて、深みをもたらしている。
ホラーと推理小説の融合を目指したようだが、その試みはクリアしている。

ただ最後の結末は駆け足で過ぎていった。
ページ制限があったんだろうか?
なんとも呆気なかった。
勿体無い。


No.210 2点 さかさ髑髏は三度唄う
司凍季
(2008/04/01 22:52登録)
唄う髑髏、白秋の詩に秘められた暗号といったガジェット。衆人環視の中での毒殺事件という不可能犯罪。
今回も島田荘司氏ばりの幻想味を加えた舞台設定なのだが、全然物足りません。

この司凍季氏ならでは!というケレン味がないんだよね。
物語としてのコクも欲しい。


No.209 2点 蛇遣い座の殺人
司凍季
(2008/04/01 00:08登録)
オランジュ城館というフランスの城館を舞台にし、見取り図まで付け、しかも冒頭から壁を通り抜けて落下した死体、天を舞う蛇といった島田荘司ばりの奇想から幕開け、その後も白髪の狂った老女の登場、そして城主影平氏の、家電の買い込みと小型トラック1台分の殺虫剤を購入し、庭のあちこちに埋めるといった理解しがたい行動、等々、かなりミステリアスな導入部だったのだが、蓋を開けてみれば、アンフェアのオンパレード。
あんな見取り図で、このトリックが解るはずがない!

それ以外にも、なんか物語として面白くないんだな、これは。
題名もほとんど内容と関係ないし。


No.208 3点 首なし人魚伝説殺人事件
司凍季
(2008/04/01 00:02登録)
師匠島田荘司ばりの冒頭の幻想的(?)な謎の提示―首の無い死体が首の代わりに置かれていたマネキンからつかの間の瞬間、髑髏に変わる―、論理的解明、さらには犯人の手記で物語が終わるといった構成を取っているが、力量不足だと認めざるを得ない。

薄いのに謎だけはメチャメチャある。
なのに面白くない。

しかも最後は犯人の自白かよ!


No.207 3点 からくり人形は五度笑う
司凍季
(2008/03/29 14:13登録)
う~ん、一尺屋遙のキャラクターにはなんだかムリを感じる。
どうにか読者に印象付けようと苦心して作られた、そんな感じが拭えない。
あとトリックも大味だなぁ。
文庫で読んだが、文庫の表紙はなんか全然本編と関係ない。
最近新版が出た『占星術殺人事件』の表紙がこれに非常に似ている。

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