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ミステリの祭典

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みりんさんの登録情報
平均点:6.66点 書評数:385件

プロフィール| 書評

No.145 6点 逢魔宿り
三津田信三
(2023/07/13 13:13登録)
三津田作品を刊行順に読んでいこうと思っていたけど、評判良いので一足先に読んでみた

4つの独立した怪談短編集とラストに総括した「逢魔宿り」という構成 一番面白かったのは「予告画」
「蛇棺葬」「百蛇堂」での舞台「百々山」が出てくるのは嬉しいな
実話からどこまで脚色されているのかや全て作り物なのか気になるところ

刀城言耶シリーズでは「首無の如き祟るもの」くらいしか該当しないけど、三津田先生ってちょっとメタ構造好きすぎ。作家シリーズでは主人公が三津田信三でこの「逢魔宿り」も語り手は同じ僕=三津田信三なんだけど、この「僕」は作家シリーズの時よりメタ的に上位の存在な気がする。


No.144 7点 月館の殺人
綾辻行人
(2023/07/12 18:39登録)
絵が可愛いし終始コミカルな雰囲気なんだけど、6人も死ぬ連続殺人事件の舞台には合ってないと思う。
本格ミステリとしてはなかなか楽しめた 上巻の最後に明かされる1つ目の仕掛けは特に


No.143 6点 クリムゾンの迷宮
貴志祐介
(2023/07/11 22:44登録)
すごい評価だ 
デスゲーム系パニックサバイバルホラーかな 主催者の目的や裏側まで明かされないとモヤモヤしてしまうタチなので今すごいモヤモヤしてます。とはいえ水や食糧まで制限されたサバイバルものはハラハラするし、ラストの迷宮追いかけっこはゾクゾクします。 アボリジニのおじさんかわいそう…

「天使の囀り」と「黒い家」も楽しみだ

ネタバレ




やっぱり未知の化け物より人間ベースの化け物の方が怖いよね 


No.142 6点 世界でいちばん透きとおった物語
杉井光
(2023/07/11 20:03登録)
暫定で今年1番の話題作ですね。たぶん。非常に凝られた力作であると思います。
前評判、前情報、なんなら帯すら目を通さずに読んだ方が良いです。


No.141 6点 スラッシャー廃園の殺人
三津田信三
(2023/07/10 23:35登録)
面白かったけど怖かった。
スプラッターホラーというジャンルを初めて小説で読んだのですが、もう殺害シーンがグロくてグロくて少し痛みが紙面を貫通して伝わってきましたよ笑
そして「シェルター終末の殺人」と同様に三津田先生のホラー映画愛が止まらない(見たことある作品1つもなしw)
ただし、本作はただのスプラッタホラーでは終わらず仕掛けがたっぷり… 珍しくダミー犯人+真犯人共に的中したと思ったら見事に騙された。一通り読み終えてからプロローグを読み返すとおおおおそういうことだったのかと感心。


No.140 5点 シェルター終末の殺人
三津田信三
(2023/07/09 22:21登録)
ホラー映画オタクの方は読んだ方が良い ホラー映画談義でめちゃくちゃ楽しめると思う。itとかミストみたいな超有名映画しか見たことない自分にはほとんどわからんかった。

核爆発によりシェルターに逃げ込んだ6人の男女間でなぜか密室+装飾の施された連続殺人が起こるというコテコテの本格ミステリ。状況設定は去年話題だった「方舟」に似ているし、ひとりまたひとりと殺されていく過程はホラーの名手三津田先生ならではのゾクゾク感でめちゃくちゃ楽しめてたんだよね。
でもごめんなさいオチがなあ…


No.139 6点 夏と冬の奏鳴曲
麻耶雄嵩
(2023/07/09 05:33登録)
今読み終わったがダメだこれ面白すぎて笑いが止まらんw
「虚無への供物」を外して三大奇書に入れるべきだろう。
クローズドサークルの定番で始まり、20年前の事件のミステリアスさや首無死体+密室に興奮度は高まる。更にキュビズムを中心に"展開"だの"摂動"だのわけのわからん用語が出てくると、神秘的で純文学的な動機が潜んでいる予感がしてここで傑作だと確信する。9時間半の読書の末にはとんでもない真相が待っていた。

こんなに解説や他の方のレビューを見るのが楽しみな作品は始めてだ
解説サイト読んでだいぶ満足できたので+5 でも最悪のミステリ作品だと思うw


No.138 7点 陰獣
江戸川乱歩
(2023/07/07 21:26登録)
三津田信三氏の「忌館 ホラー作家の棲む家」という作品の中でこの「陰獣」が絶賛されていたので気になって読んでみました。昔の作品だからか?120ページ読むのに2時間程かかってしまいました笑

【ネタバレがあります】


連城作品の耽美性を薄めて陰湿さを強化したような感じで、作品の雰囲気が独特で読み味がありますね。
そんな陰獣、派手なトリックはないもののラストの2転3転する多重解決と答えの出ない推理に悩み悶える主人公が印象に残りました。

もう一つの中編「蟲」では異常者の犯罪心理をたっぷり読ませられる。ここまで徹底されてるのは「殺戮に至る病」以来だ。これはまさに陰獣に登場した探偵作家、大江春泥の得意とする内容だろうか。

こりゃ乱歩作品他のも読まないとなあ。


No.137 6点 復讐は合法的に
三日市零
(2023/07/07 00:43登録)
第21回「このミステリーがすごい」は「名探偵のままでいて」や「レモンと殺人鬼」が受賞したそうで(両方とも未読…)それらの作品には及ばなかったものの隠し玉として書籍化されることになったのが本作。

主人公の仕事や依頼の内容などがスピーディに展開される全体的に無駄がない構成。
【ネタバレします】


「女神と負け犬」では2年間彼氏に騙されたOLが依頼人。エリスの違法スレスレでどこかユーモアのある数々の嫌がらせを楽しめる。ラストのやりとりは痛快。
「副業」では"法律では問えない小悪党"相手にどうやって復讐するのか。そして小悪党の行なっている副業とは何か。ラストのエリスのセリフに痺れます。
「潜入」では小学四年生にしてエリスの秘書メープルの活躍が見れます。真相はなかなかアクロバティック。しかしこのアリスとメープルもなかなか複雑な関係そうだ…
「同類」ではいわゆる暴露系インフルエンサーの正体を推理する内容である。"同類"を追いつめる中でエリスなりの復讐への捉え方や仕事の流儀などが最後にわかる良い構成となっている。

シリーズならないかな。短編集ということでプロットはちょっと小粒なので、ぜひ長編を読んでみたい。
エリスとメープルの関係性とかも明かされるといいな
そしてエリスが好き。××だけど…いや××の方が良いか…


No.136 7点 百蛇堂―怪談作家の語る話
三津田信三
(2023/07/06 20:20登録)
久しぶりに1000ページを超える超大作を読んで疲れました。
上巻ともいえる「蛇棺葬」は純然たるホラーで「百蛇堂」はミステリ的解釈も楽しめるホラーといった感じでした。名探偵ジャパンさんのおっしゃる「ホラー対ミステリ」が言い得て妙。
旧家の因襲が生んだ怪奇小説としても面白かったし、ラストに謎が解かれてから現れる恐怖が一番ゾッとしました。

作家シリーズはこれでおしまいか。まだまだあのキャラ達を読みたかった。


No.135 6点 蛇棺葬
三津田信三
(2023/07/05 13:46登録)
百蛇堂で行われる百巳家の葬送儀礼が怪異を引き起こす和風ホラー作品
本作『蛇棺葬』では全くと言っていいほどその謎が明かされない。ホラーはホラーのまま終わるのかそれとも『百蛇堂』ではその謎が明かされるのかを楽しみに読みます。

百蛇堂を読みましたがここに多くの伏線が貼ってあります。


No.134 9点 作者不詳 ミステリ作家の読む本
三津田信三
(2023/07/03 03:20登録)
めちゃくちゃ楽しめた
『迷宮草子』という妖しげな雑誌を読んだ者は、そこに収録された7つの短編の謎を解かないと怪奇現象に見舞われるという奇抜な設定。
つまり作中作(更に作中作中作もあったりする)が7つもあるのですが、続きを読む手が止まらない面白いものしかなくて、作者のアイデアの豊富さとこの作品に対する熱量が少し怖くなったくらいです。

ということで需要があるかわからない私的『迷宮草子』ランキング発表
1位 首の館 
完全な<テン・リトル・インディアン型ミステリ>と作中では定義され、たった100ページ足らずで『そして誰もいなくなった』のようなハラハラ感が味わえます。トリック・フェアさ共に見事。チャットが殺害動機かつ1人だけ別の場所で既に死んでいるという点で名探偵コナンの「奇術愛好家殺人事件」を思い出しました。

2位 子喰鬼縁起
不可解な赤子消失事件。 登場人物達の錯綜した思惑に解決編で一番唸らされました

3位 朱雀の化物
<テン・リトル・インディアン型ミステリ>その2なんだけど、これそして誰もいなくなったへのもうひとつの解答(短編だから許される!?)と言えるのではないでしょうか。そのくらい発明的だと思うんだけど、何如せん読書量が少ないもんでこれが初出なのか使い古された既出のネタなのかはわかりません。似たようなのはあったような…

ちなみに解決編を考慮しない場合、作中作として純粋に1番楽しめたのはちょっとお茶目な主人公が活躍する「娯楽としての殺人」 動機がないのが動機。それが『ゴラクトシテノサツジン』


No.133 6点 ホラー作家の棲む家
三津田信三
(2023/07/02 02:50登録)
夏といえばホラー!ホラーといえば三津田信三ということで氏の幻のデビュー作
ホラー映画って映像媒体だから怖いけどさあ、ホラー小説なんて怖いって言っても所詮文字でしょ?wと侮っていた自分、これを読んでもうビビりまくりである(特に作中作)。
小説という虚構の世界にさらに虚構を作り上げるややこしいメタ構造のなかでどちらが真の虚構なのか内側と外側が途中から縺れ合っていく過程が恐ろしく、あの粘着質な文体は恐怖を更に加速させる。真相は複雑で難解。自分の頭では多分3割くらいしか読み取れてないので誰か解説して。作中作は最後まで読みたかったなあ…


三津田先生乱歩好きだったんだ
作中の楽しいミステリ談義を引用 
「乱歩の中にある作家としての資質(怪奇幻想小説)と志向(探偵小説)がせめぎ合ったからこそ、一連の名作が生まれたわけです。そしてついに『陰獣』では、それらが融合してしまった。だからこそ、あの作品はあそこまでの圧倒的な面白さがあるのだと思います。」
「探偵小説の歴史を見ても、こんな作品は滅多に見当たりません。実際日本ミステリの創始者であるはずの乱歩作品の模倣者が出ていないことからもそれがよく分かります。」
「ようやくそれに匹敵する作家が現れるのは、『陰獣』の発表から五十年以上が過ぎてからです」
「連城三紀彦  (中略) 同じ耽美でもその方向は違いますが、花葬シリーズをはじめとする初期短編には見事なまでに理知と耽美の融合があります」

『陰獣』即図書館で予約しました笑


No.132 7点 すべてはエマのために
月原渉
(2023/06/30 22:35登録)
あらすじ
第一次大戦末期のルーマニアを舞台に描く愛と献身の悲劇ミステリー
黒い玄昌石の邸で、異様な一夜が開けた……。
黒衣の令嬢、仮面死体、尖塔、墓。
わたしの手を離さないで 


こういうタイトルに弱いもんでつい買ってしまった。
戦時中のルーマニアを舞台にしたことで登場人物の行動理念に説得力が増し、何とも美しい動機に繋がっている。フェアかアンフェアかはよくわかりませんがもうそんな事は素晴らしいエピローグを読んでからもうどうでもよくなりました。
前評判を見ずにタイトル買いしましたが、読み終わった後に良い買い物をしたなと得心しております。ところで、作品追加をする時に初めて気付いたのですがシリーズものだったんですね。シリーズ読者にはもっと楽しめる要素があったりしたのかな?


No.131 7点 グラスバードは還らない
市川憂人
(2023/06/30 01:39登録)
不評なアレが気にならないほど良かったです。
【ネタバレがあります】



燃え盛る摩天楼に取り残されたマリア救出劇も見所が多いし、屈折率可変や透過率可変という土台を元に構成された動機やトリックにも関わってくる緻密なプロット、利益を最大化したような犯人の当初の計画などなどたくさんあるが、やはり一番驚嘆したのはグラスバードをめぐるドラマですね。

「ジェリーフィッシュ」「ブルーローズ」そして「グラスバード」 このシリーズは理知的なトリックと動機のバランスが素晴らしいと思います。


No.130 7点 星くずの殺人
桃野雑派
(2023/06/29 02:37登録)
3時間ちょいでパニック宇宙旅行サスペンスを存分に楽しめましたね〜
呼吸困難の心肺停止になってからAEDで蘇生するまでわずか2ページですよ!なんとスピード感の良い作品だろう。一番ラストのセリフで笑ったので+1点

私の思い描いたオチ
卒業式で校歌じゃなくBohemian Rhapsodyかましたった。本当はDon't stop me now弾きたかったけどみたいなことを周が言うシーンで爆笑した。いや待て!これはコミカルなシーンに見せかけて、こいつが犯人&殲滅後に宇宙船でKiller Queenを弾き語り配信して終わるのではないか また当ててしまった…なんてそんな心配はいつものように杞憂に終わりました。

本編のオチ
これは当てるの難しいなあ。犯人の動機とトリックがリンクしてるの良いですね


No.129 5点 凍りのくじら
辻村深月
(2023/06/28 18:27登録)
私賢すぎて他の人が馬鹿に見えちゃう〜という冷笑系の痛い主人公でなかなかキツかったですが、別所や郁人と出会ってから色々変わっていく過程を楽しめました。個人的に好きなキャラの立川の出番がSukoshi Fuguu

ドラえもんは子供の頃にコミックス5周くらいはしたので、理帆子のドラえもん愛を語るシーンを読むと楽しい記憶が甦ってきました。そうか人生で一番初めに出会ったミステリはドラえもんの「天の川鉄道の夜」だったんだ


No.128 6点 人間動物園
連城三紀彦
(2023/06/27 22:30登録)
誘拐ものの面白さって個人的に犯人の難解な指示を遂行し、子供を助けることができるかどうかのハラハラ感だと思ってるんですが、本作は犯人との攻防がほぼなくて退屈でした。
その代わりに解決編は痛快も痛快。 
同作者の「造花の蜜」のオリジナルかそれとも発展形かはわからないがまさかそんな誘拐があったとは やはり連城三紀彦は人攫いのプロフェッショナルです。

「造花の蜜」の方が途中楽しめたのでこの点数で…


No.127 7点 invert 城塚翡翠倒叙集
相沢沙呼
(2023/06/26 22:37登録)
本作p297より
「推理小説は、推理を楽しむよりも、驚くことが目的となって読まれているんじゃないでしょうか。意外な犯人に意外な結末。推理小説といいながら、驚きの犯人や意外な結末さえ示せれば探偵の論理なんてどうでもいいのです。そんなのに夢中なのは作者と一部のマニアだけ。(中略)」
「ミステリとは、すなわち謎、そして推理小説とは、つまり推理をする小説……。だというのに、普通の人たちが求めているのは、びっくり小説、驚き小説、予測不可能小説なんですよ」

うーむなかなかグサグサ刺さるなあ 私もミステリはロジックよりトリックの方を重視してしまいますね。トリックを覚えている作品は幾つもあるけどロジックを覚えている作品はほとんどありません笑
そして「意外な結末」「驚き小説」と言えばmediumで一番評価された部分であり、作者はそこばかり評価されたのを少し不貞腐れてたり?そしてこの部分を読んで「ああ…今回のinvertではどんでん返しはないからその弁解を作中で挟んでるんだな」と邪推していたらなんとラストにちゃんとサプライズで反転してくれましたよ。素晴らしい!


No.126 6点 ツナグ
辻村深月
(2023/06/25 19:27登録)
死者と一度だけ再開できるというシンプルな設定をもとにあらゆる境遇の登場人物達が願いを叶えていく連作短編集。
本当に死者と出会って喋るだけのお話が4編収録されているのですが、マンネリしない。
中でも「親友の心得」がお気に入り。 嵐の御園に対する嫉妬心や羨望は決して大袈裟に描かれているわけではなく、思春期の親友に対する想いはこんな風に繊細で脆いものだったなあと感慨深くなった。嵐が御園に嫉妬するシーン「ああ…わかるわかる」である。辻村先生はこういう思春期の不安定な心情を描くのが本当に上手いと思う。
そしてラストは使者側から舞台裏が明かされるわけだがこれまた重い。死者の役割がテーマだから仕方ないが。

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