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ミステリの祭典

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夢野久作 ちくま日本文学

作家 夢野久作
出版日2009年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 みりん
(2024/05/14 20:12登録)
私はあまり再読をしません。未知の衝撃を求めて、未読の作品に手を出してしまいます。しかし夢野久作は例外です。昨日読んだとしても、今日また読むと新たな印象を受けたり、新たな解釈が生まれたりします。読めば読むほど味が出るスルメ作家ですね。一読では私の理解が及ばないだけという説もあります(苦笑)

夢野久作の実の父親にして、政界の黒幕・杉山茂丸について語る実話が面白かった。まさにこの親にしてこの子ありですね。父親は「息子の小説は最初の一二行読むうちに、何のことやらわからなくなる」と評していたそうです笑 
著者は能や歌舞伎に精通しているので、謡曲のすゝめエッセイ『謡曲黒白談』もついていますが、しっかり夢Qらしいオチがあります(実話かは不明)。
『猟奇歌』とは雑誌『猟奇』の編集者が立ち上げた短歌のジャンルで、色々な作家が投稿していたそうですが、いずれもレベルは低く、夢野久作の独壇場となっていたそうです(笑) 童話や怪奇小説だけでなく、詩や短歌まで軽くこなす多才さに驚きます。

おそらく本書は、自由闊達に趣味を楽しんできた夢野久作だからこそ書けたような個性あふれる作品をあえてチョイスしていると思われます。『いなか、の、じけん』『瓶詰地獄』『押絵の奇蹟』『氷の涯』『人間腸詰』『猟奇歌』『謡曲黒白談』『杉山茂丸』の8編。
前半6作はメジャー作品が並びますが、『死後の恋』はさすがに入れて欲しかったかなあ…

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