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ミステリの祭典

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zusoさんの登録情報
平均点:6.15点 書評数:298件

プロフィール| 書評

No.298 5点 女優
春口裕子
(2026/02/13 21:19登録)
人もうらやむキャリアを持つ平川佳乃は、突然の人事異動で運命が大きく狂い始める。
完璧を期する女性の心に生まれる隙間、嫉妬や虚栄が生み出す人間模様。女心の嫌らしさ全開で、女同士の見栄の張り合いが事件へと繋がっていく。見えない悪意によって追い詰められていく破滅の物語。


No.297 5点 骨灰
冲方丁
(2026/02/13 21:12登録)
渋谷の再開発を背景に、東京という都市の「地下水脈」を描き出す。駅再開発事業を手掛ける大手デベロッパーの危機管理チームに属する松永は、不穏な噂に対処するため潜った地下の現場で不気味な祭祀場に鎖でつながれた男を発見する。
伝奇的なテーマを、ミニマムな実話系怪談的心理描写によって鬱々と描き出す奇妙な作品。


No.296 6点 剣の道殺人事件
鳥羽亮
(2026/01/24 21:17登録)
剣道の試合中に対戦相手の一人が刺されて殺された事件をきっかけに起きる連続殺人事件を描いた謎解きサスペンス。
トリック自体はかなり綱渡り的ではあるが、不可能犯罪に挑んだ意気込みは買う。青春小説としても一読の価値あり。


No.295 5点 眠りの森
東野圭吾
(2026/01/24 21:15登録)
バレエ団の稽古場で起きた殺人。正当防衛事件を端緒にその打つ幕が暴かれていく謎解きサスペンスものだが、オーソドックスな謎解きサスペンスの衣装をまとってはいても、その実、切々と純愛を謳い上げたボーイ・ミーツ・ガールもの。


No.294 8点 生ける屍の死
山口雅也
(2026/01/09 21:08登録)
死人が続々と生き返る中、「墓の町の葬儀屋一族」で連続殺人が巻き起こるという状況設定といい、ブラックでスラプスティックな物語展開といい、まさにマニアックの極致、異色ずくめと呼ぶに相応しい作品。
死や葬儀にまつわるペダンチックな叙述ひとつとっても、いかに手間暇かけた労作であるかが分かる。


No.293 5点 鳥人計画
東野圭吾
(2026/01/09 21:04登録)
スキーのジャンプ競技会の内部で発生した殺人事件の謎を巡るスポーツミステリ。
内幕ものでスター選手の死の謎から、やがて思いも寄らぬ内情が浮かび上がってくる。フーダニットからホワイダニットへと謎の仕掛けが鮮やかに転換する謎解きサスペンス。


No.292 5点 時のアラベスク
服部まゆみ
(2025/12/21 22:52登録)
幻想作家の澤井慶とその作品をめぐる見立て殺人が扱われているが、その背景を彩るヨーロッパ世紀末幻想芸術の強い香りにもかかわらず、根底をなしているのは激しい悪意である。にもかかわらず、どこか夢の中を彷徨っているような冷たさが残る。


No.291 6点 冷えきった街
仁木悦子
(2025/12/21 22:49登録)
作者には珍しい私立探偵が活躍するハードボイルド小説。
テーマは父と子、家庭内の犯罪、利己的な親に傷つく子供たちと重いが、作者独特の爽やかさとミックスして独特の余韻を醸し出している。最後の美しい樹玉のような一行とともに記憶に残る作品。


No.290 8点 刺青殺人事件
高木彬光
(2025/12/02 21:04登録)
密室と切り離された死体という大きな謎。
それぞれのトリックの根幹に、刺青のエピソードが深くかかわっており、しかもトリックの成立を助ける作用も読者に及ぼしている構成は見事。


No.289 5点 姑獲鳥の夏
京極夏彦
(2025/12/02 21:01登録)
個性的な登場人物に、産院を舞台にした不思議な事件。全編を覆おう重苦しい雰囲気など、物語として魅力的である。
しかし、トリックは反則すれすれであり、真犯人が追い込まれた動機も唐突。


No.288 5点 クリスマス黙示録
多島斗志之
(2025/11/18 21:12登録)
命を狙う側と狙われる側の物語。枠組み自体はオーソドックスなサスペンスだが、異色なのは主要登場人物全員が女性という点。特に子を喪った母親の執念が凄まじく、強い印象を残す。
このような敵味方がはっきりした物語でも逆転劇は仕込まれており、最後まで気が抜けない。映画化もされている。


No.287 7点 折れた竜骨
米澤穂信
(2025/11/18 21:08登録)
魔術が存在しているという世界観でありながら、論理によって答えを導き出すスタイルを貫いている作品。
必要のなさそうなシーンも伏線となっていて完成度が高い。正統的な消去法に要る解決編に引き込まれた。


No.286 6点 すみせごの贄
澤村伊智
(2025/11/02 21:07登録)
恐怖と謎とスリルが交差する比嘉姉妹シリーズの第三短編集。
古典的な怪談である子育て幽霊を現代的かつ尖鋭的な形で描いた「火曜夕方の客」や、失踪した料理教室の講師を巡る不穏な出来事を綴る表題作など、時にミステリの技法を用いながら、読者の仄暗い感情をかき立てる。


No.285 6点 お梅は呪いたい
藤崎翔
(2025/11/02 21:02登録)
解体中の古民家から謎の日本人形が見つかった。その名は「お梅」。かつて戦国大名を滅ぼした恐ろしい呪いの人形だった。
500年ぶりに復活したお梅は早速、人を呪い殺そうとするが、現代は勝手が違う事ばかり。呪えば呪うほど、なぜか相手が幸せになってしまうという少し変わったオカルトハートフルコメディ。作者は元お笑い芸人だけに、人を笑わせるツボが分かっている。


No.284 6点 パンドラ’Sボックス
北森鴻
(2025/10/14 21:07登録)
小学生向けのジュブナイルから久生十蘭野パスティーシュまで、芸の多彩なことこのうえない。
まだ作家に至る経緯やペンネームの由来が綴られたエッセイが収録されており、作者の内面が垣間見えて面白い。


No.283 6点 木製の王子
麻耶雄嵩
(2025/10/14 21:03登録)
閉鎖的な一族の間で起こる奇怪な殺人を描いた本作は、巧みなアリバイ崩しを経て、とてつもないカタストロフィへとなだれ込んでいく。
「夏と冬の奏鳴曲」で主役を務め途方もない経験をした如月烏月が、どのような役割を演じるのかも読みどころ。


No.282 6点 スイス時計の謎
有栖川有栖
(2025/09/26 21:24登録)
表題作は、撲殺された被害者の高級時計が盗まれていた点に着目した火村が消去法で犯人を暴く。この精緻な論理展開は美しく傑作と言えるのではないか。
その他の三編は、ダイイングメッセージ、首のない死体、密室とバラエティに富んでいるが、表題作に比べるとかなり落ちる。


No.281 6点 猫は知っていた
仁木悦子
(2025/09/26 21:20登録)
ありふれた日常の舞台を用いながら、あちこちに伏線を張り奇抜なトリックと意外な犯行動機を上手く絡ませている。
作者と同名の主人公と、兄・雄太郎のコンビが謎を解きほぐしていくやり方も見事。


No.280 6点 日曜の夜は出たくない
倉知淳
(2025/09/09 21:30登録)
鳥人、河童、幽霊などのオカルト趣味な題材を扱った7つの短編がそれぞれに全く別の個性を備えている。
それは個々の作品の内容だけにとどまらず、文体においてもそれぞれに違いがみられる。そして物語のラストにおいて、こういった個性がまとまりを見ることになる。


No.279 6点 メイン・ディッシュ
北森鴻
(2025/09/09 21:28登録)
物語は劇団「紅神楽」の団員が遭遇する様々な謎を主演女優の家に居候しているミケさんが解き明かしていくパートと、ある男の人生の足跡が語られるパートで構成される。
一見全く関係ないかのように見える二つの話が一本の線に繋がる様相は圧巻。調理師免許を持つ作者ならではの料理描写も目を引く。

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