home

ミステリの祭典

login
zusoさんの登録情報
平均点:6.09点 書評数:328件

プロフィール| 書評

No.328 6点 ダーク・ムーン
馳星周
(2026/09/30 21:11登録)
カナダのバンクーバーで、闇に堕ちた三人の男たちが欲望に身を任せ、金や名誉を求めて暴走する。
他人を出し抜き、這い上がろうと画策していた男たちが、次第に現実感を失い、絶望に浸りながらあがき苦しむ様は圧巻である。


No.327 4点 アリスの国の殺人
辻真先
(2026/09/30 21:07登録)
主人公の現実世界で起きた殺人事件と、夢の世界でのチェシャ猫密室殺害事件を並列した作品。
夢と現実両方に大きなトリックが仕掛けられているが、夢の中だからこそ可能なトリックに好き嫌いが分かれるでしょう。


No.326 4点 漣の王国
岩下悠子
(2026/09/15 21:12登録)
大学水泳部のエース・綾部はルックス、実力とも兼ね備えていたが、なぜか人に心を許さず自暴自棄の生活を続けている。
秘密の実験、校舎の落書き、昔の新聞記事。物語が進むにつれて分かってくる綾部の苦悩の正体が切ない。神から与えられた才能と肉体を持つ綾部はなぜ、自ら命を絶ったのか。本書は一人の早世の天才を巡る推理サスペンスである。


No.325 6点 コルドバの女豹
逢坂剛
(2026/09/15 21:06登録)
全てスペインが舞台となる5編からなる短編集。
内戦時代に残虐行為を行った者を殺していく謎の殺し屋エル・ガローテと、グラナダを訪れた日本人通信員を襲う右翼たちを絡ませたデビュー作や、理髪店の一室を舞台にした暗殺計画を一幕劇のようにサスペンスフルに描いた「グランビアの陰謀」、医療サスペンス風の物語が空中での活劇へと展開していく「赤い熱気球」など、バラエティに富んでいる。


No.324 5点 アルペジオ
新津きよみ
(2026/08/29 21:23登録)
夫の暴力に虐げられている主婦が、ふとしたことから拳銃を手に入れ、ほとんど行きずりにも近い関係の別の女性と逃避行する。
二人の女性は魂の深いところで結びついているのだが、ここには他の作品に見られるような相手に対する一方的な依存や過大な期待がない。女性の友情だけでなく、女性とバイオレンスという問題に深く踏み込んでいるところが特徴的な作品。


No.323 5点 東亰異聞
小野不由美
(2026/08/29 21:19登録)
明治維新の東京を舞台に「闇」の魑魅魍魎たちが暗躍する幻想ミステリ。
事件のひとつひとつにはミステリとしての仕掛けが凝らされているのだが、いつ「闇」の幻想側に引きずり込まれるかもしれないろいう危うさがこの作品の魅力といえる。


No.322 6点 なんで死体がスタジオに!?
森バジル
(2026/08/10 22:33登録)
バラエティ番組の生放送直前、若手プロデューサーの幸良涙花がスタジオで見つけたのは、出演予定だった大物俳優の死体。傍らには脅迫状があり、幸良は犯人の指示に従って死体の存在を伏せてオンエアに挑む。
幸良や複数の出演者の視点がテンポよく切り替わり、状況が二転三転していく。コミカルな内容だが、テレビの作り手や視聴者に対する皮肉も含んだスパイシーな作品。


No.321 7点 謀殺のチェス・ゲーム
山田正紀
(2026/08/10 22:29登録)
現代日本を舞台にした冒険小説で、秘密兵器をめぐり日本列島を縦断しての攻防戦が繰り広げられる。
対抗する二大勢力の頭脳を司る男二人の駆け引きの妙味、現場での迫真のアクションと、冒険小説のエッセンスに満ちた作品。


No.320 6点 閉鎖病棟
帚木蓬生
(2026/07/27 21:03登録)
様々な事情から精神に異常を来したり、社会生活からはみ出してしまった人々が紆余曲折の後、癒され再生していく物語。
クライマックスでは殺人事件も用意されているが、作者は特にミステリ的趣向を凝らそうとはしていないので、ミステリにこだわる人は肩透かしを食うかもしれない。


No.319 5点 フェニックスの弔鐘
阿部陽一
(2026/07/27 20:56登録)
国際謀略スリラー。
あまたの登場人物、頻繁な舞台変化と読みづらさはあるが、作者は不審な死を遂げたFBI捜査官の兄の死因を追う元兵士を主人公に据え、壮大なストーリーを巧みにまとめ上げることに成功している。


No.318 7点 忘却の船に流れは光
田中啓文
(2026/07/11 21:10登録)
壮大なスケールの宇宙冒険もの。五つの階層からなる閉鎖都市で聖職者としての修行を続けるブルーは、修学者ヘーゲルと出会って世界の成り立ちについての疑問を覚える。なぜこんな奇妙な世界が生まれたのか。
圧倒的な密度で神と悪魔の混在する異世界を構築しながら、最後にSFとしての大どんでん返しを仕掛ける手腕は瞠目に値する。


No.317 5点 少女探偵は帝都を駆ける
芦辺拓
(2026/07/11 21:06登録)
舞台は昭和10年頃の日本。探偵小説好きの女学生・平田鶴子と新聞記者・宇留木昌介のコンビが、都会で起きた事件の謎を解き明かす軽快な探偵活劇。
鶴子たちのキャラクターもさることながら、当時の都市情景も印象に残る。文化や風俗の丁寧な描写を積み重ねて、鶴子たちの物語が鮮やかに映える世界を作り上げている。


No.316 6点 慟哭
貫井徳郎
(2026/06/26 21:35登録)
幼女連続殺人を追う捜査陣の苦闘を、犯人らしき男の行状と交互に描いていくサイコスリラー風味の警察捜査活動小説。
物語性と各エピソードのキャラクター造形が見事にシンクロしており、新興宗教という素材の活かし方に筆力を感じる。惜しむらくは、真相に今ひとつ説得力がないところ。


No.315 6点 罪深き緑の夏
服部まゆみ
(2026/06/26 21:30登録)
蔦屋敷と呼ばれる森の古びた洋館を舞台に繰り広げられる白昼夢のような犯罪、それを彩る美しい兄と妹、ジル・ド・レ、近親相姦、同性愛とこれまた絢爛豪華な道具立てではあるが、その根底にあるのは天才の兄と凡人の弟との確執である。
ある一点をきっかけに、それまで見えていたものとは全く別の絵が浮かび上がってくるところが素晴らしい。


No.314 4点 凍える島
近藤史恵
(2026/06/11 22:00登録)
喫茶店を営む娘とその常連客一同が慰安旅行に瀬戸内海の孤島に行き、そこで連続殺人事件が起きる。
トリックはともかく、このオチからすると各キャラクターの造形と、それに基づく心理ドラマの演出が物足りなさを感じる。


No.313 4点 二の悲劇
法月綸太郎
(2026/06/11 21:57登録)
高校時代の同級生が再会し、恋が芽生えるところから始まるが、東京で彼女と同居していたOLが惨殺され、彼女も失踪してしまう。
物語では技巧と力業を駆使した「二」の仕掛けには感嘆したが、殺人の動機やその心の動きが今一つ納得できるものではなかった。


No.312 5点 校庭の迷える大人たち
大石大
(2026/05/28 21:29登録)
学校は、子供だけではなく教職員や保護者など大人も人間として成長していく場所である。
本書は教員、校長、事務職員、保護者、PTA委員と、それぞれの立場で学校に関わる五人の大人たちが、学校内で起こる奇妙な現象に巻き込まれる短編集。ストーリーの行方を追いつつ、彼ら大人たちが成長していく姿を味わえる子供の知らない学校の奇談。


No.311 5点 聖乳歯の迷宮
本岡類
(2026/05/28 21:23登録)
古代史・考古学サークル「昔ものがたり探究会」に属していた人々の視点から描かれる群像劇で、現生人類と異なるDNAを有する聖乳歯の正体や、青ヶ島で事故死した友人の死の真相に迫るサスペンス。
聖乳歯の発見により宗教が台頭した作中世界は、我々の社会を極めて近い位相に置かれ、不気味なリアリティーを投げかけている。


No.310 6点 カディスの赤い星
逢坂剛
(2026/05/15 20:55登録)
幻のギターを巡り、生き馬の目を抜く広告とPR業界の確執を描くハードボイルドタッチの前半と、独裁政権が支配するスペインでの官憲やテロリストとの凌ぎ合いを描く冒険小説風味の後半と両方の要素を融合させた作品。
プロットよし、キャラクターよし、会話よしとデビュー作とは思えない出来栄え。


No.309 7点 帆船軍艦の殺人
岡本好貴
(2026/05/15 20:51登録)
英国海軍は帆船軍艦ハルバート号の水夫不足を補うため、強制徴募隊を陸に派遣。靴職人のネビルは、同僚のジョージと共に連行されてしまう。
すると新月の晩、甲板で水平の一人が何者かに殺害されてしまう。さらに不可解な事件が。
ディテールに優れ、海洋冒険小説として読み応えがある。そこに本格ミステリも奇を衒ったものではなく、作り込まれた正統的な内容で好感を覚えた。

328中の書評を表示しています 1 - 20