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ミステリの祭典

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龍の墓

作家 貫井徳郎
出版日2023年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 nukkam
(2024/07/09 06:46登録)
(ネタバレなしです) 2023年発表の本格派推理小説です。2つの謎解きプロットが交差する展開ですが、本書の場合は片方がゲーム世界の連続殺人事件の謎解きなのが作品個性になっています。そして現実世界の殺人の方は捜査が進むにつれてこのゲーム殺人の見立て殺人である可能性が高まります。ゲームの謎解きでは何と「読者への挑戦状」が挿入されますが、魔法ありのファンタジー世界なので説得力ある解決かというと微妙なところです。そして現実世界の事件を見立て殺人風にした理由は某国内作家の1950年代の有名本格派推理小説を連想させますが、先人の作品に比べると本書の犯人の計画がどこか短絡的に感じられてしまいます。

No.1 6点 文生
(2023/11/25 09:46登録)
メガネ型のVRゴーグルが現代のスマホ並みに普及した近未来が舞台。そこで人気VRゲームのイベントを真似た見立て連続殺人が起きるという話です。

仮想現実が身近になりつつも、あくまでも現代と地続きの世界観が魅力的で読んでいてワクワクしました。また、地に足のついた警察小説でありながら、VRゲーム見立て殺人というSFミステリーじみた趣向を盛り込んでいくのも面白かったです。ただ、事件が解決してみると、こうしたSF設定にあまり意味がなかったのにはがっかり。トリック自体はごくごく古典的なもですし、別にVRを駆使して事件を解決するわけでもありません。現代のネットゲームの見立て、なんなら漫画や小説の見立て殺人でも成立する話で、舞台を近未来にする必要があったのかな?という疑問は拭いきれないところです。

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