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ミステリの祭典

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レッドキングさんの登録情報
平均点:5.28点 書評数:943件

プロフィール| 書評

No.363 5点 むかし僕が死んだ家
東野圭吾
(2020/07/15 19:47登録)
幼少期の記憶のない女に、父親から残された遺品の鍵と地図。元恋人とともに訪れた山間の屋敷は、人が住んだ形跡のないままに古び始めていた。部屋に残された手記を手掛かりに、徐々に甦る女の記憶と明らかになる屋敷の「正体」。女の人生に、語り手の男の生い立ちが重ね絵のように投影されて、哀しき個々の物語が交わることの無いままに完結を見る。


No.362 4点 水晶のピラミッド
島田荘司
(2020/07/14 08:29登録)
これ読んだこと忘れてた。この人、90年代から話がくどいんだよ。それでも「眩暈」とかは面白く読めたが・・


No.361 4点 龍臥亭事件
島田荘司
(2020/07/14 08:10登録)
トリック作家:島田荘司礼賛やぶさかではないが、小説作家:島田荘司は退屈である。


No.360 7点 血みどろ砂絵
都筑道夫
(2020/07/13 21:58登録)
江戸の異形者達の本格ミステリ(魅筋点理)
・「よろいの渡し」 岡っ引きの注視と衆視の小舟。容疑者遊び人の渡川中消失のハウダニット。8点。 
・「ろくろっ首」 女の首無し死体と男の生首が相次いで見つかった事件のホワイダニット。5点。 
・「春暁八幡鐘」 奇妙な犯罪仕事依頼のホワイダニット。「赤毛連盟」連想の横を行った。7点。 
・「三番倉」 商人蔵からの刺殺犯人消失のハウホワイダニット。7点。
・「本所七不思議」 江戸の怪異伝説と見立て連続事件のフーホワイダニット。7点。
・「いのしし屋敷」 さらわれた女を取り返す仕事が、別の筋書きの役割にすり替えられて・・6点。
・「心中不忍池」 密室状態の待合部屋での心中事件。女の死体が老婆に入代わったハウホワイダニット。8点。 (8+5+7+7+7+6+8)÷7=6.85・・で、四捨五入して7点。


No.359 7点 戻り川心中
連城三紀彦
(2020/07/13 21:50登録)
・「藤の香」 寂れた湊町の色街を舞台にした連続殺人の哀しくも「美しい」ホワイダニット。5点。
・「桔梗の宿」 極貧遊郭街で起きた連続殺人の「何故に(美しすぎてホワイなんて言葉じゃ足りない)」の物語。9点つけざるを得ない。
・「桐の柩」 殺意と区別できない程に強い執着心で結ばれた男女情念の道具となった男。5点。
・「白蓮の寺」 少年の記憶に明滅する殺人と火炎と白蓮の映像断片が、驚くべきホワットダニットに収束。7点。
・「戻り川心中」 いわば究極の見立てミステリ。8点。
  (5+9+5+7+8)÷5=6.8 で、平均して7点。
※他の4編は「花」題なのに、タイトル作のみ「菖蒲の歌」とか花がつかないのね。


No.358 3点 盲目の理髪師
ジョン・ディクスン・カー
(2020/07/10 07:25登録)
航海中の客船で起きた、外交上支障のあるフィルム盗難や宝石紛失事件、さらに殺害された女の死体消失事件。連続事件のフーダニットミステリが、コミカルに誇張された人物達によって演じられるドタバタ劇だが、カーにあるまじき事に不可能事件がなく残念!
※犯人指摘の脚注付きロジックは見事だが、フィル博士には安楽椅子にではなく、ドタバタ渦中にいてほしかったな。


No.357 8点 マツリカ・マトリョシカ
相沢沙呼
(2020/07/08 22:20登録)
9点はつけられないが、困ったことに・・8点未満に下げる欠点が見つからない・・・。


No.356 3点
エラリイ・クイーン
(2020/07/06 20:28登録)
殺された女の書き残したダイイングメッセージは「顔:face」だった。トリックはアガサ・クリスティーの十八番のあれだが、「不連続殺人事件」ラストの犯人セリフが連想・・あんな風にカッコよくないが・・された。
で、肝心のダイイングメッセージ種明かしだが・・・面白くない。
※クイーンにビートルズが出て来るとは思わなかった。息子の方はともかく親爺の警視って何歳設定なんだ?


No.355 6点 マツリカ・マハリタ
相沢沙呼
(2020/07/05 19:41登録)
廃墟ビルに一人暮らす謎の美女:マツリカシリーズ第二弾。ヒロインの非現実度=メルヘン度はさらに高まり・・高まり過ぎて、逆に、前作でワトスン役少年を包んでいた不思議なオーラの方はすっかり溶けてしまい・・不思議事象解明のミステリ度は前作より高いにしても・・小説としては、うーん劣化かな・・と思わせておいて、最終編で見事なメルヘンに盛り上げ(不覚にも感動した)、さらにそれを長編ミステリへと収束させた。見事。


No.354 5点 マツリカ・マジョルカ
相沢沙呼
(2020/07/05 19:40登録)
廃墟ビルに一人で暮らす謎の美少女安楽椅子探偵と、ワトスン役のシスコンうじうじ少年。不思議事象解釈の4連作短編が、最後に少年の姉を巡る長編ミステリに収束する。女高生マジシャンシリーズよりも、ヒロインの非現実性=メルヘン性が高いのが魅力的なのと、よりメンヘラ重度のワトスン役男子高校生が、最後に主役へと転身するミステリ展開が鮮やかなので、点数オマケ加算。


No.353 7点 仮面劇場の殺人
ジョン・ディクスン・カー
(2020/07/03 20:46登録)
劇場の鍵のかかったボックス席で、背中に矢を射られて殺された女。「密室」ではない。舞台に向かって大きく「窓」が開いていたのだから。殺害状況とアリバイの二つの「不可能性」解決がテーマの作品。
※これ、もちっとで「くたばれ健康法」とんでもトリックになれた(かな?) ただ、あのやり方で本当に背中から刺し殺せるのか?(ま、よいとしよう)
※同様な「半密室」不可能トリックを扱った「第三の銃弾」に比べて、トリック自体は見劣りするが、「第三の銃弾」が余剰部分を極力削った作品だったのに対して、こちらは約2倍の分量の、トリックテーマ外の「物語」たっぷりの作品で、そこが魅力的なので点数はオマケ加算。


No.352 7点 第三の銃弾<完全版>
カーター・ディクスン
(2020/07/01 18:18登録)
「密室状態」の室内に射殺された被害者と銃弾を発射した容疑者の二人。だが、被害者を殺した弾丸は、容疑者が撃った銃Aの銃弾aでも、室内で発見された別の銃Bの銃弾bでもなく、第三の銃弾cであり、銃Cは室内のどこにも無かった。トリックテーマ以外の余剰部分を極力そぎ落とした無駄のない長編ミステリ。
おそろしく手の込んだ、無意味で非現実的な「密室のための密室」「トリックのためのトリック」・・・素晴らしい!


No.351 4点 邪悪の家
アガサ・クリスティー
(2020/06/29 00:28登録)
探偵の現前で起きたヒロインの殺人未遂と人違い殺人。彼女には狙われるべき財産も、生じるべき感情的軋轢も乏しかった。探偵の丁寧な覚書付きフーダニットミステリ。容疑者はA~I、そこにJを加え、さらにKが・・
※1932年頃の中産階級「淑女」にとって、コカインだの麻薬パーティーだのって、結構普通の「文化」だったのね。


No.350 3点 最後の女
エラリイ・クイーン
(2020/06/25 18:21登録)
撲殺された大富豪のダイイングメッセージは「ホーム」(あほらしいが個人的に大受けした。ホー〇!) 容疑者は三人の元妻・・歌手、女優、看護婦・・二人の美女と一人の地味女。莫大な遺産の遺書を巡る殺人と見せかけて、意外なフー・ホワイダニット真相の結末は・・。書かれたの1970年か。このテーマ、60年代以前のピューリタニズム米国では書けなかったろうな。
※ところで、あのネタ、チャイコフスキーは有名だがベートーヴェンての初耳だぞ。


No.349 5点 帝王死す
エラリイ・クイーン
(2020/06/23 18:54登録)
なんと予告密室殺人。「密室」出すとポイント高いよ。二部屋の完璧な密室。一部屋には自称犯人と凶器の銃、別の部屋に撃たれた男と気絶した妻、いったい銃はどうやって移動し・・・でも種明かしには何の外連味もなく、「アメリカ銃の秘密」「孤島の鬼」の方がマシな位のレベルのトリックで・・・クイーンにカーを期待してもなあ。


No.348 6点 多々良島ふたたび ウルトラ怪獣アンソロジー
アンソロジー(出版社編)
(2020/06/22 17:26登録)
「タタラじま!」「怪獣無法地帯!」 その二単語あるだけで満足


No.347 6点 ホロー荘の殺人
アガサ・クリスティー
(2020/06/19 21:56登録)
ハンサムで仕事もできる開業医。不器用で地味な妻と、魅力的な二人の・・才能ある美術家と有名女優の・・二人の「愛人」。読者の誰もが予想する通りに医者が射殺され、傍らには拳銃を手にして茫然自失の妻。人間関係トリックでなければ、キャラ一捻りトリック・・プロット上、一番疑わしい立場の人物を一旦裏に隠すアガサ・クリスティー常套のトリック・・だが、今回は他の容疑者達もそれぞれのキャラが奥深く反転される。
「絶望とは、冷たい孤独の中に自分を閉じ込めること・・」
「私、何処へ行けばいいんでしょう? 何をすればいいんでしょう?」「さあ、お帰りなさい。あなたは生きている人の所へ行くのです・・」  不覚にも「感動」してしまった。


No.346 4点 死が最後にやってくる
アガサ・クリスティー
(2020/06/16 21:06登録)
なんと四千年(400年でなく)昔の古代エジプトが舞台。そこまで昔むかし大昔なら、もうSFレベルの異次元コード設定もありだろうに、そこはアガサ・クリスティー、遺産相続も絡んだ家族連続殺人ミステリに仕上げてる。「被害者候補=憎まれ役」濃度の高い順に家族が殺されて行き、犯人は現代「古典」ミステリの極めて分かりやすい王道だった。


No.345 5点 ロートケプシェン、こっちにおいで
相沢沙呼
(2020/06/14 01:04登録)
女子高生マジシャンシリーズ第二弾。前作同様に「日常の謎」短編集が、最終話で長編ミステリに収束する。今回は各短編の頭に別人物の一人称叙述が連なり、当然、叙述トリックに備えたが、主語トリックに見事引っ掛かった。
読むに耐えないセンチメンタリズムの過剰さは、前作を大きく上回っているが・・・


No.344 5点 午前零時のサンドリヨン
相沢沙呼
(2020/06/14 01:04登録)
女子高生マジシャンが探偵役の「日常の謎」短編集。第二話で「ん?青春説教もの?」と若干危惧させるが、第三話で苦い味わいに盛り返し、最終話で一本の長編ミステリへ収束する。ただ、あのワトスン役男子高校生のキャラは・・ま、目をつぶろうかな・・いくら未熟な少年とは言え、あんな感傷垂れ流しはちと耐えがたいのだが。

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