顔 エラリイ・クイーン |
---|
作家 | エラリイ・クイーン |
---|---|
出版日 | 1968年01月 |
平均点 | 5.17点 |
書評数 | 6人 |
No.6 | 5点 | 虫暮部 | |
(2020/12/11 12:06登録) 天才的な女たらしが、引っ掛けた女を共犯にする、との設定なら、共犯者は幾らでもどこからでも調達出来る筈なのに、閉じられた人間関係・限られた容疑者の中だけで話が進行する不自然さにイライラした。出来が良いとは言えないが、テンポ良く進むのが救い。 ハヤカワ文庫版の表紙はなかなかやってくれるぜ。大胆なネタバレでグッジョブ。 |
No.5 | 3点 | レッドキング | |
(2020/07/06 20:28登録) 殺された女の書き残したダイイングメッセージは「顔:face」だった。トリックはアガサ・クリスティーの十八番のあれだが、「不連続殺人事件」ラストの犯人セリフが連想・・あんな風にカッコよくないが・・された。 で、肝心のダイイングメッセージ種明かしだが・・・面白くない。 ※クイーンにビートルズが出て来るとは思わなかった。息子の方はともかく親爺の警視って何歳設定なんだ? |
No.4 | 5点 | ことは | |
(2019/08/12 15:08登録) ン十年ぶりの再読。 (展開のネタバレあり) 「三角形の第四辺」とつづけて読んでみて、共通点が多いなと感じました。状況証拠だけで法廷まですすんで、最終的に無罪判決になる展開。犯人の立ち位置など。(発表順もつづいているので)「三角形の第四辺」のリベンジ? 確かに「三角形の第四辺」よりはいいけど、積極的に評価する気にはならないなぁ。 第2の事件をよく考えると、犯人も見えてきてしまうし、だいたい登場人物が少なくて、展開の可能性が少なくて思いついてしまう。 「最後の一撃」より後のクイーン長編では、平均よりは上だけど。 |
No.3 | 6点 | クリスティ再読 | |
(2017/03/13 22:28登録) 評者、最近読んでたクイーンは代作物が多かったのだが、今回この作品はリーの復帰作である。特殊な容貌を持つセルマ・ピルターの描写など、リーらしい凝ったもので「あ、リーの文章!」と感じられるあたりが何かいい。まあ「三角形の第四辺」とか読むと「大丈夫かダネイ?」と評者なぞでも思うくらいだから、さぞかしリーは気がもめたことだろう...というわけで、本作は若干持ち直す。小ぶりだけど最終期のクイーンでは結構いい作品だと思う。 ダイイングメッセージもの、と紹介されることが多いけど、中盤でこのメッセージは解読されるので、あまりポイントが大きいという印象はない。とはいえ、オ●●●ヴを考えると「こういうメッセージ」と一義的に決めることができないので、無理筋だと評者は思う。ダイイングメッセージってよく考えると、暗号じゃなくてその本質は「明号」だね。一見わからないけど、見方をちょっと変えれば「誰にでもわかる」ものじゃないといけない...難しいよね(明号的性格は本作とつながる「最後の女」の方が明白)。 本作がイイのは、最終盤で真相が解ったエラリイがウジウジと悩みに悩むあたり。エラリイのある意味誤解した告発が、犯人による心情の告白もあって「告発が正しいのか?」とエラリイも自身を省みて落ち込む...というドラマが最後に待っている。一応これが後期クイーン的問題の、最終的な作家的な決着みたいな内容があるように思う。「偉くない名探偵」という独自な造形になっているんじゃないかな。 7点でもいいか...とも思わなくもなかったけど、ダイイングメッセージが疑問なので1点落として6点、とします。 |
No.2 | 7点 | Tetchy | |
(2012/06/03 20:31登録) 本書はいつもと趣向が変わっている。主犯が明らかになっているのだが、実行犯である共犯者を探し出すという物語なのだ。しかしこの趣向は物語が終わってから気付かされるのであり、今までのクイーン作品を読んだ読者ならば犯人捜しがメインだと思わされるのだ。 例えば『災厄の町』などの諸作に見られる価値観の転換という手法をクイーンはよく取る。従って今回も早々に判明する夫の妻殺害計画もまたこの価値観の転換により覆るのではないかと思わされるからだ。往年の読者でさえも自らの作品傾向を利用してミスディレクションする、というのは穿ちすぎだろうか? しかし今回の真相には首を傾げざるを得ない。 (以下ネタバレ) 私は本格ミステリで依頼者=犯人という趣向がどうしても納得いかない。なぜ自ら墓穴を掘るようなことをするのだろうか、理解が出来ないのである。どうしてもサプライズのための物語の歪みを感じざるを得ないのだが。 |
No.1 | 5点 | 空 | |
(2009/02/20 21:43登録) クイーンと言えばダイイング・メッセージというイメージが強いですが、ほとんどはショート・ショートであり、長編で使っているのはたぶん5冊だけです。さらにメッセージの重要度が高いものとなると、数はさらに少なくなります。 本作はその少数のうちの1冊なのですが、書き残された"face"という文字の謎は途中で解決されてしまい、それでも犯人を特定することができないという展開になります。真相は大したことはないのですが、すっきりとまとまっていて悪くありません。ただ、メッセージは死に際のとっさの思い付きではなかったとは言え、ちょっと凝りすぎかな。 |