レッドキングさんの登録情報 | |
---|---|
平均点:5.28点 | 書評数:943件 |
No.383 | 3点 | かくして殺人へ カーター・ディクスン |
(2020/10/05 20:40登録) 撮影所のシナリオライターに採用された牧師の娘。通話管からの硫酸浴びせ掛け、窓越しの銃弾、毒入りタバコ混入と様々な手段で命を狙われる羽目に。フー・ホワイというより、いわばフーム・ダニットのミステリ。フー自体のひねりも効いてはいるが、別にカーがこんなの書かんでもなあ。 |
No.382 | 5点 | 九つの答 ジョン・ディクスン・カー |
(2020/10/03 19:49登録) フェル博士は出演せず、長い・・でも結構サクサク読めるミステリ。オカルトホラーではないがソフトにグロテスクで、爆笑ドタバタて程ではないが微笑くらいはさせてくれる。メインのなりすましトリックには騙された。読み返したら・・まあ確かに「ふぇあ」かな、あの叙述。すさまじくチープな不可能トリックも付いてる。で、タイトルの「九つの誤ったカイシャク」だが・・ほぼ、そんな疑い持たんかったわ。 |
No.381 | 5点 | 第八の日 エラリイ・クイーン |
(2020/09/25 19:33登録) 米国アーミッシュに中国桃源郷を加えたような共同体に偶然迷い込んだエラリィ・クイーン。半世紀間、犯罪一つなかった外界に閉ざされたコミュニティに起きた殺人事件に関わる羽目に・・。事件解決より失われた旧約聖典「MKh(ミカ書)」を巡る謎(オチがマインカンプ!て)の方に興味がわく。事件そのものはたわいないが、有栖川有栖ともかく何で麻耶雄嵩までがクイーンに拘るのか、この作品で分かった気がした。 |
No.380 | 3点 | 盤面の敵 エラリイ・クイーン |
(2020/09/24 20:44登録) 奇怪な遺書により4つの同型の五角形屋敷に住む、4人のイトコ達に降りかかる連続殺人。その都度、屋敷同様の五角形カードが送られ、それぞれに「J」「H」「W」「H」の文字。 4文字の謎の解明は・・ダイイングメッセージ「face」や「ホー〇」なみに脱力・ズッコケ「つ、つまらん」オチ。んなもん分るわけないし、分かったところで正直どうでもよい、われら非聖書民族としては。 で、肝心な、操り・多重人格ネタは・・まあ、ミエミエだった。 |
No.379 | 5点 | 雲をつかむ死 アガサ・クリスティー |
(2020/09/18 22:00登録) 「黄色い毒蜂」とか「二匹のハチ」てなタイトルの方が良いのでは。 「家ついて行ってイイですか」に出てきそうな、半ばゴミ部屋に住んでる、あのエキセントリックなミステリ作家が実にいい。事件推理の「とんでもトリック」には大爆笑。ミステリはこうありたい。フェル博士メリヴェール卿ではよくある事だが、ポアロはあまり笑かしてはくれんな。 「人殺しは・・たいてい女性にもてる・・」って、そうなのか? |
No.378 | 6点 | 復讐の女神 アガサ・クリスティー |
(2020/09/16 18:25登録) この犯人を「愛しすぎたが故の悲劇」の主役として、もっともっと美的劇的に描くことができたかもしれない。だが、クリスティは老女探偵を、「美」を「悪」として冷眼視するネメシスとして描き、主役の座を犯人に明け渡させることを拒否した。 |
No.377 | 5点 | カリブ海の秘密 アガサ・クリスティー |
(2020/09/13 20:58登録) 二人の女を殺した男の噂を喋る老人が、ふと前方の「何か」に眼を留め、驚愕の表情で口を閉ざす。老人の視線の先には、曰くありげな二組の夫婦が。そして老人はその翌日急死する・・。カリブ海西インド諸島のリゾートホテルを舞台にした連続殺人事件。義眼をキーにした左右のロジックが事件を解き明かす。 |
No.376 | 4点 | 緋文字 エラリイ・クイーン |
(2020/09/10 22:57登録) 売れない小説家の夫と富豪で演出家の妻、そして名うてのジゴロ。夫の異常な嫉妬心と妻の不貞疑惑が、恐るべき結末を迎えるのを防ごうと奮闘する探偵にしてミステリ作家のクイーンと女秘書。目次で、ん?「ABC・・Z事件」?て振っといて、結局、クリスティ十八番の人間関係トリックものだったが、半ひねりツイストのオマケつけて終結する。 |
No.375 | 5点 | スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー |
(2020/09/08 21:35登録) 理想の新居を求めた新婚の女が心惹かれた家は、はるか幼少期に家族と暮らしたことのある海沿いの屋敷だった。追想の断片に閃くおぞましい殺人の情景。行方不明になったはずの継母は、実は殺されていたのか。BGMなしホラー映画にしたら、かなり怖いサスペンスミステリになりそう。筆跡鑑定のロジックからのフーダニットもストンと決まり・・あとは、あの「猿の前肢」ネタが、も少しホラーなオチだったらなおよく。 |
No.374 | 4点 | ハロウィーン・パーティ アガサ・クリスティー |
(2020/09/07 22:45登録) パーティーで、「むかし人殺しを見た」と自慢して殺された虚言癖の少女。容疑者はパーティー参加者数十人プラスα。「○○に○○ていた唯一の人物が犯人」てなロジックが、クイーン並みに極まっていれば見事に本格してたかもしれない。終盤までは「鏡は横に~」並みに退屈だが、真相解明ラストの味わいと犯人造形は悪くない。 ※クリスティ自身のパロディの様な女流作家の他、さり気なく出てくるワキ役の若者二人・・「一人は肩まで髪を長く伸ばしフクロウのような眼鏡をかけ」「一人は頬ヒゲをはやしスペイン人風に」・・これ、69年のジョン・レノンとポール・マッカートニーのパロディではないか。 |
No.373 | 4点 | ゴースト・スナイパー ジェフリー・ディーヴァー |
(2020/09/01 21:36登録) ライムシリーズ第十弾。証拠と科学分析の四肢(実際は三肢)麻痺探偵と膝関節症の元モデル女刑事コンビが、曰くありげな地方検事の女と組み、挑むのは国家諜報組織とスナイパー。 反米主義活動家、メンヘラ右翼風組織ボス、猟奇的にしてグルメな暗殺者、怪しげな兵器産業経営者などが複雑に絡み合い、当初の見え透いたフー・ホワイダニットテーマが、別のフー・ホワイダニットのハウ=手段にツイストして、おまけに当初のテーマ自体が半ひねりして終わる。 ※シリーズ読み慣れちゃうと、「ああ!○○がピンチ!」てな倒述描写も、どうせカットバックで「大丈夫だったんだよーん」になるの見え透いてしまい・・さすがにチビっと飽きてきた。 |
No.372 | 3点 | 蒼ざめた馬 アガサ・クリスティー |
(2020/08/25 21:45登録) 歴史学者が偶然に耳にした「殺し屋プロ集団」の噂話。にわか素人探偵コンビが挑むのは、怪しげな三人の「魔女」、怪しげな富豪、怪しげな元弁護士・・そこにクレイジーな薬剤師やクリスティ自身のパロディのようなミステリ作家が絡み、最後にフーダニット一捻りのオマケが付いて決着。 |
No.371 | 5点 | テニスコートの謎 ジョン・ディクスン・カー |
(2020/08/22 21:56登録) テニスコートの中央に横たわる絞殺死体。現場は被害者以外の侵入痕跡なき「密室」状態だった。衝動的に死体に接近して足跡を残してしまった女。女の窮地を助けるために偽装工作を練る男。恒例のフェル博士と警視庁警視、怪しげな杖男や軽業師などを交えて、ブラックなシュールギャグのようなサスペンスドタバタ劇が展開する。不可能トリック解明のダミー解釈・・「ロングジャンプ」「手に靴はいての倒立接近」「ネット綱渡り」・・が実にファンキーで、真相解明など、もうどうでもいいような気にさえなった。 |
No.370 | 7点 | 魔眼の匣の殺人 今村昌弘 |
(2020/08/19 21:40登録) ① フーダニットのロジック:何故に室内は荒らされていたのか? 室内にあった物品aが破損されたことを隠すため。 何故に物品aは破損されたのか? 物品aの現況が犯人Aを指し示す充分条件証拠であったため・・・クイーン有栖川有栖に劣らない見事なるロジック:9.5点。 ② ユニークなホワイダニット:乱歩「幽鬼の塔」横溝「獄門島」(後者はチトずれるが)思わせるユニーク世界設定の動機:5点。 ③ トリック:室内外二種の足跡トリック:4点・・で、(9.5+5+4)÷3=6.166…今後の期待込めておまけして、7点。 ※この人、小説文体チト頂けないが、ミステリ根幹は「ホンモノ」だな。「クイーンばりロジック」よいが、麻耶雄嵩みたいな「とんでもロジック」には走らないでほしいなあ。 |
No.369 | 4点 | 三角形の第四辺 エラリイ・クイーン |
(2020/08/18 22:19登録) あれ?今クイーン読んでんだよな?ってな位に、こじゃれたフランスミステリ風味サスペンスで話が進み、お!クイーンで久しぶりの7・いや8点?て期待させといて、終盤で、おい!ミステリ十戒の「爺やはイカン」に触れるだろが!3点まで急降下か・・と思わせて、アガサの二大十八番の一つにダミー返しして、結果4点。 アガサの「女の恨みって怖いわよ」に、クイーンは「いやあ、実際に手を出しちゃうのは圧倒的に男だし」と返歌。ま、女は心の底にため込んじゃうってことね。 |
No.368 | 5点 | 殺人は容易だ アガサ・クリスティー |
(2020/08/17 21:50登録) 車内に居合わせた老女から「連続殺人」の逸話を聞いた元警官。単なる偶然の事故と眉に唾つけて聞き流した話だったが、後日、老女の予言した人物が死に、さらに老女自身も死んだことを知る。好奇心から探求に乗り出すのだが・・・ なんか気だるくピリっとしないフー・ホワイダニットミステリが、終盤でグッとミステリアスに盛り上がり、サイコなサスペンスにひと捻りし・・操りネタをおまけに付けて決着する。 「自尊心を傷つけられた女の復讐心ほど怖いものはありません」「好きだということは、愛しているということよりもずっと大切・・」相変わらずミステリ小説で人生を教えてくれるアガサさん。 |
No.367 | 4点 | 牧師館の殺人 アガサ・クリスティー |
(2020/08/05 07:40登録) ユーモラスだか、そこはかとなくダークな匂いのする第一人称叙述。「ん?アクロイド?」と疑いつつ注意して読み進めたが、いつもの十八番トリックが待っていた。医師はともかく牧師に人殺し役はさせられないか。 ※にしても、せっかく完全犯罪を達成しかけた美男美女カップルを絞死刑(当然そうなったろう)にするために、芝居うって罠にかけるミス・マープル、容赦ねえなあ・・でも大好きよ。 |
No.366 | 6点 | 冬のフロスト R・D・ウィングフィールド |
(2020/08/04 05:16登録) カンと見込みの「天才」警部:フロストシリーズ第五弾。回を重ねるごとに頁数は増えるが、ボルテージは全く下がらない。今回も、少女連続誘拐殺人、娼婦連続殺人事件にコンビニ強盗事件、さらに枕カバー盗難事件、おまけに数十年前の白骨まで出て来る多重事件の百花繚乱。勘で見込みを立てては外れ、見込みし直し、また外れ・・・点数稼ぎと人件費節減が第一の署長方針による人員不足のあおりを受け、ドジな相棒部下に足を引っ張られながら、複数事件の並列解決に東奔西走七転八倒するフロスト。おとり捜査を巡るサスペンスフル展開の果てに、最後の数行で全事件に見事なカタがつく。ちと出来過ぎだが実におもしろい。 |
No.365 | 4点 | パディントン発4時50分 アガサ・クリスティー |
(2020/07/26 18:29登録) 並行して走る列車越しの窓から、偶然に目撃した車内殺人。トラベル時刻表もの?と思わせておいて、安楽椅子老女探偵とスーパー家政婦探偵が活躍する一族連続殺人の屋敷ものへ転じて、意外な真犯人のフーダニットが見事に決着。 ※あの魅力的なスーパー家政婦、どっちの男に決めたんだろな。 |
No.364 | 3点 | 死の館の謎 ジョン・ディクスン・カー |
(2020/07/24 11:07登録) 曰くのある館。怪死事件から十数年の後、侵入不可能状態の二階部屋から転落怪死した女。状況は「密室」にして、関係者には皆アリバイがあった。肝心の密室トリックは小学生向け探偵ものレベル。せっかくターゲットが心臓病持ち設定なんだからそれ利用するトリックがほしかった。 ※あの手すりの一部に隠しスイッチが接続されていて、ベランダの箱から「オバケ」のびっくり風船が飛び出して被害者をショック死させ、風船は空に飛んでってしまうての考案した。(やはり小学生向けだな) |