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ミステリの祭典

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風桜青紫さんの登録情報
平均点:5.62点 書評数:290件

プロフィール| 書評

No.270 4点 成吉思汗の秘密
高木彬光
(2016/07/13 19:03登録)
クリスティ再読さんが噛み砕いて説明しておられるが、作者が思いついた説をカミーに代弁させているようにしか見えなかった。こじつけ臭さ全開の推理がでるたびに、さすおに状態になって「すごいわ神津さん!」と騒ぎまくる登場人物一同には唖然。しかしまあ、中盤には「もしや」と思わせる展開もあったし、カミーのLOVEストーリーもなんか面白かったので4点。本作の最大の功績は、『占星術殺人事件』を生み出したことだろう。


No.269 4点 呪縛の家
高木彬光
(2016/07/13 18:56登録)
衝動的に高木彬光が読みたくなったので、目を通してみたが、もうひとつの出来だった。犯人はうまくミスリードがなされているが、驚くほど意外な人物でもないし、密室トリックについても「ああ、彬光ってこういうの好きそう」って感じで、なんだかしっくり来ない。この時代の本格ミステリを愛好する人向けだろう。


No.268 6点 刺青殺人事件
高木彬光
(2016/07/13 18:51登録)
最近、高木彬光は自分に合ってないんじゃないかと思い始めているんだが、最初に手に取ったこの作品はなかなか楽しめた。胴体のない死体、和風密室、読者への挑戦状となかなか魅力的なモチーフで惹きつけてくれる。超天才スペックなのにどこか抜けてるカミーのキャラもいい。とまあ、アイデアは充実してるんだが、同時代の横溝正史と比べると、話の演出で一歩及ばず、といったところか。


No.267 7点 異邦の騎士
島田荘司
(2016/07/13 00:47登録)
トリックについては、最近では珍しくもないタイプのバカミスで、『占星術』と『斜め屋敷』には遠く及ばない。現実味うんぬんで騒ぐほどのものでもないし、多く語る必要もないだろう。本作の魅力といえば、やはり御手洗潔のかっこよさに尽きる。変人で、はちゃめちゃをやらかすが、いざというときは頼りになるいい男。作者の願望つめあわせだろうが、ここまで演出してしまえばいいではないか。御手洗潔という名探偵を確立させた作品として、やはり、『占星術』と『斜め屋敷』に並ぶ資格のある作品なのだと思う。


No.266 5点 ビッグ4
アガサ・クリスティー
(2016/07/13 00:40登録)
なにやら評判の悪さばかり目立つ作品だが、読んでみると結構面白かった。高水準の作品が多いクリスティーとしては明らかな失敗作なんだが、ポアロとヘイスティングスくんの冒険物語として十分に楽しめる。「あれは日本の柔術というやつでしょう」みたいなやりとりにはなんか笑った。


No.265 6点 スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティー
(2016/07/13 00:33登録)
これが最初に読んだクリスティーだったので、中学生の私はよくできたミスリードと意外な犯人像に驚かされたんだが、再読してみると、そこまで優れた作品とは思えなかった。というのも、クリスティーには、これよりも面白い作品がいくらでもあるからだ。しかし、ポアロの初陣を印象づけた作品として、初読時とは違った形で楽しめたのも確か。シリーズを楽しむなら、やはり外せない作品だろう。


No.264 5点 暗いところで待ち合わせ
乙一
(2016/07/13 00:16登録)
なにやら高得点だったので目を通してみた。想像以上に上手い作りになっていて驚いたが、その上手さに釣り合うほど楽しむことはできなかった。というのも、このいかにも若者が書いたようなあまっちょろいテイストが、私にはどうにも辛かったのである。善人臭さただよう盲人ってそれだけで胡散臭さを感じちゃうんだもの。乙一の実力を感じさせる作品ではあったが、氏は暗黒小説のほうがずっと面白いと思った。


No.263 7点 ウロボロスの基礎論
竹本健治
(2016/07/13 00:08登録)
どうもあちこちで叩かれている作品なんだが、普通に面白く読めてしまった。単純にこのシリーズのテイストが好きだということもあるし、まともな解決にはならないことを覚悟していたからかもしれない。いや、うんこを巡るやりとりはくだらないけど笑うしかないでしょ。麻耶うんこ採集シーンとか。笠井潔や田中幸一、山口雅也や法月綸太郎といった面々の絡みも面白いし、660ページも苦にならなかった。とても人には勧められない作品ではあるが、読む人間によっては十分に楽しめる作品ではあることは留意してもらいたい。


No.262 7点 ジャンピング・ジェニイ
アントニイ・バークリー
(2016/07/12 23:58登録)
素直に楽しめる馬鹿話だった。ロジャー・シェリンガムのなんともいえない投げやりぶりがいい。バークリーが面白いのは、新本格での麻耶雄嵩と同じく、正当派からひねったところをどう面白がらせるかという術を心得ていたからではないかと思う。アンチ・ミステリがどうとかいう意見もあるが、そもそもこれが書かれた時分には『虚無への供物』はおろか『黒死館殺人事件』と『ドグラ・マグラ』すらなかったことを頭に入れておいてほしいものだ。


No.261 8点 煙の殺意
泡坂妻夫
(2016/07/12 23:45登録)
泡坂妻夫の最高傑作であり、泡坂的逆説が最大限に研ぎ澄まされた一作。まあ、多くの方々が噛み砕いた感想を述べているから、改まった説明は不要だろう。とりあえず、ラストの衝撃で「紳士の園」。真相の奇妙さで「閏の花嫁」が気に入ったと言っておく。この作品に関して「時の試練を耐え抜いてない〜」などと書いている採点者もいるが、それは単に泡坂妻夫を楽しめるセンスがないというだけの話である。


No.260 7点 びいどろの筆
泡坂妻夫
(2016/07/12 23:36登録)
時代物ということで敬遠している読者も多いだろうが、まごうことなき泡坂妻夫のミステリ短編集である。現代人の感覚ではありえないことでも、もしかしたらこの時代の人間にはありえるんじゃないか、と納得してしまうという点で時代物の形式は泡坂ミステリとマッチングしているのかもしれない。「経師屋橋之助」と「芸者の首」のゾクリとするような逆説。「南蛮うどん」のシュールな光景が印象を残すマジックトリック。存分に楽しませてもらった。


No.259 7点 奇跡の男
泡坂妻夫
(2016/07/12 23:26登録)
なんだこの低評価は。泡坂妻夫の作品としてはマイナーな短編集だが、作者らしい逆説推理は十分楽しめる。とくに「狐の香典」は、誰もが一度はふと思うような心理をうまくついた傑作。トリックの妙では「妖異蛸男」も捨てがたい。「奇跡の男」も苦い結末に笑みが浮かんでしまうこと間違いなしだ。さっさと復刊しろ。


No.258 5点 ブラックペアン1988
海堂尊
(2016/07/11 18:59登録)
バチスタシリーズの外伝作品としてそれなりに楽しめるが、いかんせん軽い。他の方も指摘しておられるようにキャラクター小説として読むのがいいのだろう。『となりのトトロ』のほうがずっと上。


No.257 8点 Yの悲劇
エラリイ・クイーン
(2016/07/10 23:46登録)
館ミステリ好きの日本人の感性にあってるからか知らんが、過大評価されすぎてないか?……とは思うものの、やっぱり面白い。強固なロジックと意外な犯人像、そしてなんとも薄気味悪い後味。本格ミステリと称した作品が乱造されるこのご時世でも、クイーンが神聖視されるのも納得というものだろう。三島由紀夫がなんと言おうが、クイーンは純粋に面白いのである。


No.256 9点 アクロイド殺し
アガサ・クリスティー
(2016/07/10 23:39登録)
クリスティーのミスリード力が最大限に発揮された一作。同じトリックを使った横溝正史や高木彬光の某作とは比べ物にならないぐらい面白い。もっぱら読み比べてみればわかるんだが、あちらは単に事件の犯人の立ち位置が同じというだけで大した工夫がないのに対し、こちらは真相解明にいたるまでの疑問点を逐一説明して読者をどんどんミスリードにかけていくという仕組みになっているのでラストシーンの衝撃が段違いなのである。最後のなんともいえない後味も良し。ポアロがなんともかっこいい。


No.255 10点 ブラウン神父の童心
G・K・チェスタトン
(2016/07/10 23:27登録)
落ち着きのある筆致。人間心理の奥をつくトリック。20世紀初頭でここまでやられてしまえば、逆説トリックが泡坂妻夫のような異様な方向での進化をせざるを得なかったのも仕方のないことだろう。ただ意外な結末があるというだけではミステリは面白くならない、ということを実感させてくれる一冊。歴史的価値なんぞ関係なく10点である。


No.254 6点 そして誰もいなくなった
アガサ・クリスティー
(2016/07/10 23:17登録)
『アクロイド殺し』や『オリエント急行の殺人』については、そのジャンルの先駆的作品でありながら破格の完成度だと思っているが、『そして誰もいなくなった』については過大評価すぎやしないかと思う。クローズドサークル&クリスティー流ミスリードなんて最高のお膳立てだし、普通に面白い作品だと思うけど、「本格マニア」を自称してる人がどうしてこれに10点をつけているのか不思議でたまらない。


No.253 3点 リロ・グラ・シスタ
詠坂雄二
(2016/07/10 23:06登録)
作者なりの工夫は伝わったが、どれもこれも空回りして単なるパクリ詰め合わせに終わってしまった印象。なにか面白い作品を書いてくれるかもしれないと思わせる作者ではあるけども、この作品については失敗作だろう。文章についてはもっと酷いのをメフィストで見てきたので大して気になはらなかった。


No.252 5点 ビッグ・ボウの殺人
イズレイル・ザングウィル
(2016/07/06 13:01登録)
ミスリードがうまくて結末はけっこうビックリした。……ぐらいか。本格ミステリの中編として今でも十分楽しめる出来だが、平均8.36点はいくらなんでも高すぎた。


No.251 9点 斜め屋敷の犯罪
島田荘司
(2016/05/22 12:48登録)
日本の本格ミステリが生み出した最強のバカミス。賛否両論を呼ぶのは当然のことだが、日本のミステリ作家で、こんな発想をするのは島田荘司だけだし、こんなふざけた話をここまで盛り上げてしまうのも島田荘司だけだろう。一撃の衝撃に関して本作を越える作品に私はまだ出会っていない。

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