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ミステリの祭典

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びいどろの筆
夢裡庵先生捕物帳

作家 泡坂妻夫
出版日1989年02月
平均点6.80点
書評数5人

No.5 7点 虫暮部
(2023/05/02 13:18登録)
 “宝引きの辰” と比べるとかなりミステリ度が高く、イメージだけで偏見を持って読まずにいたのは損だったと反省。

 表題作はおかしい。絵馬を持って逃げれば済む話である。また、事後工作が却って絵馬に注目を集め、その結果身許が割れているのだから本末転倒だ。しなくていいトリックを使わせてしまう作者の欠点もちゃんと出ているんだな~。
 「南蛮うどん」の “蠟燭” に拍手。実在の秘伝書に載っているネタなのだろうか。私にも作れる?
 現代物の登場人物の御先祖様らしき名前がチラホラ。芥子之助なんて『喜劇悲奇劇』とまるで同一人物で、と言うことは実は時間テーマのSFなのであった。

No.4 6点 ボナンザ
(2018/07/08 13:48登録)
江戸の情緒を絡めた傑作ぞろい。
物理トリックもさることながら、心情の移り変わりも見事。

No.3 7点 風桜青紫
(2016/07/12 23:36登録)
時代物ということで敬遠している読者も多いだろうが、まごうことなき泡坂妻夫のミステリ短編集である。現代人の感覚ではありえないことでも、もしかしたらこの時代の人間にはありえるんじゃないか、と納得してしまうという点で時代物の形式は泡坂ミステリとマッチングしているのかもしれない。「経師屋橋之助」と「芸者の首」のゾクリとするような逆説。「南蛮うどん」のシュールな光景が印象を残すマジックトリック。存分に楽しませてもらった。

No.2 6点 kanamori
(2010/08/19 17:31登録)
八丁堀同心・夢裡庵先生捕物帳シリーズの第1短編集。
当シリーズの特徴は、各話で視点人物と探偵役がリレー方式で変転していくところ。宝引の辰シリーズの視点人物の変転という趣向を、さらに一段階凝らしたということだろうか。
収録作の中では、表題作の「びいどろの筆」がよく出来ていると思います。絵馬に描かれた人物が弓で殺したように見えるという状況は、「なめくじ長屋」シリーズで多用された不可解趣向を連想させます。

No.1 8点 Tetchy
(2007/10/17 17:18登録)
いやぁ、やっぱり泡坂妻夫氏はこういった江戸物、とりわけ職人物を書かせると上手いなぁと思いますね。
各エピソードの主役は各々変わっていくのがまた実にいい。

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