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ミステリの祭典

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ビッグ4
エルキュール・ポアロ/別題『謎のビッグ・フォア』

作家 アガサ・クリスティー
出版日1956年01月
平均点3.80点
書評数15人

No.15 2点 レッドキング
(2021/01/14 15:00登録)
世界征服を企む秘密結社の四大幹部:ビッグ4・・米国大富豪のナンバー2、恐怖の女科学者のナンバー3、ナンバー4の「怪人二十面相」、そしてナンバー1の謎の中国人。対するは、変装、アクション、果ては飛び道具プレイまで行うアグレッシブ・ポワロ。ビッグ4フー?ネタを連載少年漫画の様につなぎ、ハラハラドキドキ感なかなかに良い。たーだ、ナンバー4、それ以上にナンバー1のラストが肩透かしで残念。ラスボスフー?に期待したのに・・・

No.14 4点 HORNET
(2020/09/06 19:16登録)
 本サイトでも分かるように、クリスティ作品ではすこぶる評価が低い。世界的な巨悪組織との戦いというスケールの大きな活劇は、目の前で起きた事件を精緻に推理していくという読者が期待するモノとは大きくかけ離れているからだろう。ましてや、ポアロシリーズであればなおさら。
 事件はたくさん起きて、殺人もたくさんあるのだが、一つ一つの事件の推理が一足飛びの大味で、悪の組織「ビッグ4」との壮大な裏のかきあいの活劇に軸足が置かれている。クリスティもこういうのを書くのだなぁという興味深さは逆にあったが、ファンの評価が低くなりがちなのもうなずける。
 そんないろんな意味を含めて、一読の価値はあったかな。

No.13 5点 虫暮部
(2019/11/01 11:47登録)
 登場人物も殺人もざっくりと記号化されていて、妙に効率良く事件をこなすさまはゲームのよう。そのテンポのおかげで、出来が悪い割につまらなくはない。

No.12 5点 弾十六
(2019/01/19 12:54登録)
単行本1927年出版。週刊誌連載に手を加えた、とありますが、そんなに手を加えてないのでは?早川クリスティ文庫(2004)の電子本で読了。
週刊誌Sketch1924-1-2〜3-19(12回)連載。連載時のタイトルはThe Man Who Was Number Four: Further Adventures of Hercule Poirot。(この連載前にThe Grey Cells of M. Poirotというタイトルでポアロの短篇12作×2を同誌に発表しているのでFurther) クリスティの短篇デビューもこの雑誌。次の作品はチムニーズ(単行本1925年6月)、アクロイド(新聞連載1925年7月開始)で、そのあと例の事件(1926年12月)という流れです。
ところでFictionMags Indexを眺めていて気づいたのですが『オリエント急行』の初出はSaturday Evening Post の6回連載1933-9-30〜11-4“Murder in the Calais Coach”だったんですね… 最初から米国読者を当て込んでいたわけです。そして『誰もいなくなった』の初出もポスト誌(1939-5-20〜7-1、7回連載、タイトルはAnd There Were None)です! 全く知りませんでした… Wiki日本版は初出を英新聞Daily Express1939-6-1から連載としています。(実は英Wikiを注意深く読めば初出がポスト誌だとわかるのですが…)
この作品は皆さんの評価があまりに低すぎて、逆に読みたくなりました。(45年前の初読書の記憶では結構面白かったような…でも何も具体的なイメージは残っていません) クリスティ作品を読むのもほぼ30年ぶりくらいです。
私はクリスティで大人の活字本の世界に入りました(最初の100冊中60冊)ので、アガサ姐さんは大恩人なのですが、他の世界を知った上で30年前に未読作品を片付けようとしたら、全く興味が続かない文章なので驚いた記憶があります。(多分その時は背伸びしてた若さゆえの過ちです)
今回ビッグ4を読んでみたところ、文章は平明でわかりやすいほどわかりやすく、すぐに作品世界に入り込めます。つい最近ウォーレス『正義の4人』(1905)やチェスタトン『木曜日の男』(1908)を読んだので、それらとの関連性も気になっています。(当然「踏まえている」とは思いますが…)
作品世界はトミタペ風、スリラー小説の軽いパロディのつもりでしょう。まー真面目に受け取るべき要素はありません。頭脳を自慢する小男と正直で間抜けな助手がスリラーに登場するミスマッチを狙った作品?でも笑える要素不足で中途半端な感じです。
肩のこらない軽さを味わうべき作品。スリラー小説の定番やご都合主義が次々と出てくるので、結構楽しめました。
以下トリビア。原文参照してません。ページ数は全体の項数も表示しました。
p38/242 レーニンやトロツキーは操り人形: 書いた時点ではレーニンも存命中。
p41/242 二百ポンド: 消費者物価指数基準1924/2019で60.36倍、現在価値170万円。
p59/242 日本をおそった大地震の後: 意外なところで関東大震災1923-9-1が登場。
p81/242 一万フラン: 金基準で1924年の1フラン=0.0118ポンド。上述の換算で1万フランは現在価値100万円。
p83/242 日本のジュウジュツ: 原文はJiu-JitsuかJu-Jitsu?(wikiによると20世紀前半はこの綴りが多いらしい)
p96/242 国会議員の私設秘書: 意外なヘイスティングスの職業経験。
p101/242 自動拳銃: 早川ではrevolverを「自動拳銃」と訳しても編集が直さない例多数あり、なので(セミ)オートマチック拳銃なのかリボルバーなのかはこれだけではわかりません。
p126/242 チェス: ロシアのチャンピオンが当たり前なのは戦後(1948-1972、1975-1999)ボビー フィッシャーがロシア人チャンピオンを破ったのは1972年。
p160/242 駄賃に半クラウン、はずんで: 上述の換算で半クラウン(=2シリング6ペンス)は1061円。「はずむ」というような額ではない。
p202/242 見知らぬ人に塩を回すことは悲しみをあたえること: Pass the salt, pass the sorrowという古い文句があるらしい。塩を直に手渡しするのはマナー違反?(手近なところに置くのが正解なのかな) Why do older people say: 'Don't exchange salt directly hand to hand. It may result in a quarrel.'やWHY IS IT BAD LUCK TO PASS SALT IN SPAIN?などがWeb検索で出てきました。いずれもWhyなので英米でも廃れかけた習慣のようですね。
p204/242 あなたっていつでも、ちょっとお馬鹿さん: ヘイスティングスのこの属性に夫(アーチー)への幻滅を読み取るのは、もちろん裏読みしすぎです…
p219/242 ロシアで起こったこと: 1917年のロシア革命は衝撃的で、英国でも戦間期には革命が起こるのでは?というムードがあったらしい。
p225/242 ポケットの中身(ポアロの自動拳銃をふくめて): もちろんベルギー愛に溢れたポアロなら小型自動拳銃の傑作FN M1910で間違いのないところです!(なんの証拠もありません)
p235/242 生涯最大の事件: 引退を口にするポアロ。「ベルギーのことなんてほとんど知らない」アガサ姐さんもここいらが潮時と思っていたのか。

No.11 5点 nukkam
(2016/08/07 07:57登録)
(ネタバレなしです) 1927年発表のポアロシリーズ第4作ですがポアロが国際的な犯罪組織ビッグ4と対決するというスパイ・スリラー小説系統の作品でシリーズ最大の異色作です。アリンガムの「ミステリー・マイル」(1930年)とかマイケル・イネスの「アララテのアプルビイ」(1941年)とかパトリシア・モイーズの「第三の犬」(1973年)とか、英国では名探偵が犯罪組織やスパイ組織と対峙するミステリーは決して珍しくはないんですね。組織との直接対決はかなり後半になってからで、それまではいくつかの事件を(それぞれは独立した事件ですがどれもビッグ4が絡んでいます)ポアロが本格派の探偵風に推理で解決し、同時にビッグ4の情報を少しずつ集めていくという連作単短編風な展開になっています。最後は派手なシーンで壮大に締め括られます。気軽に読める作品ですがシリーズのイメージにそぐわないためか人気が低いのは仕方ないところでしょう。

No.10 4点 青い車
(2016/07/17 18:49登録)
 アヴェレージの高いアガサ・クリスティーの中では非常に珍しい、ほぼ誰もが認める失敗作とされている作品。今回冷静に読んでみると、明らかに作者の本領でないスパイ小説で、他の作品群で見られるポアロの推理の冴えは完全に影を潜めています。間違ってもこれをアガサのベストに挙げる人は少ないであろう出来ですが、あらかた名作を読んだ後に、「こんな変なのも書いてたんだな」と思いながら番外篇として読むのが正しいかもしれません。

No.9 5点 風桜青紫
(2016/07/13 00:40登録)
なにやら評判の悪さばかり目立つ作品だが、読んでみると結構面白かった。高水準の作品が多いクリスティーとしては明らかな失敗作なんだが、ポアロとヘイスティングスくんの冒険物語として十分に楽しめる。「あれは日本の柔術というやつでしょう」みたいなやりとりにはなんか笑った。

No.8 1点 クリスティ再読
(2015/11/17 22:33登録)
読み終わってみると、殺人7件、誘拐2件、仕掛けられた罠に飛び込むこと3回..と目まぐるしく事件が起きてたんだが、読んでいくうちにどんどんシラけていくのがツラい。ホントウに事件がおきりゃあいいってものではないよ。感覚が麻痺してしまって、惰性でページを繰ってた...

まあ最初のうちは、ホームズのオマージュみたいな感じで進んでいくから、「若い頃のクリスティのファン気質」みたいなものが見えて若干ほほえましくもあったんだが、ポアロが吹き矢でナンバー3を狙ったりとか、ガス弾を投げたりとかした日には、「アンタ誰だ?」という疑問が浮かんでくることになる。
というわけで、本作はSDキャラ満載の公式薄い本、くらいで読めば腹は立たないだろうね。評者の趣味だとポアロがデレすぎ。ツン属性がもう少し欲しいところ。

No.7 3点 sophia
(2014/05/30 22:45登録)
これはギャグ。

No.6 5点 あびびび
(2014/05/07 15:49登録)
クリスティーの作品としては評価が低いのでずっと本棚でほこりをかぶっていたが、読む本がなくなったので手に取った。クリスティーが好きなせいか、他の作者の駄作よりはずっとマシな気がした。

確かにアニメの中のような物語だが、見どころはヘィスティングの挙動だと思う。相変わらず読みが甘く、ポアロに舌打ちされるが、愛すべきキャラクターであり、話を大いに盛り上げてくれる。

No.5 4点 アイス・コーヒー
(2013/08/11 21:20登録)
ビッグ4という国際的な犯罪組織とポアロが対決する話だが、短編を組み合わせて一つの長編にしているので、少し難ありな作品だと思った。
内容から考えると、短編集にして一つ一つの話に工夫をすればかなり面白い話になったはずだと思ったが…ただ、これをばねにしてその後、名作が生まれたのだと考えれば、これはクリスティーにとって、通過点に過ぎない作品なのかもしれない。

No.4 4点 koo±
(2011/11/02 16:16登録)
国際犯罪組織ですか。コナンくんの黒の組織みたいですね。いやショッカーかな? 良く言えば古典的な冒険小説の風合。悪く言えば大昔の子供だましな漫画のノリ。ビッグ4の仰々しいイメージが先行するわりに、存在意義やリアリティが希薄でした。

どうやら短編を無理やりつなぎ合わせて長編に仕立てたのだとか。ネットでも「駄作」「黒歴史」とやたら酷評。

たしかに、いつものポアロシリーズっぽくないです。でも、ヘイスティングスの奥さんの存在が垣間見えたり、ポアロの●●の●が活躍(?)したり、そして2人の友情が、いつになくやたらアツかったり。サイドストーリーとしてはけっこう楽しめます。ちなみにエルキュールはヘラクレスの仏語読みなのだそうです。尊大な彼のイメージにピッタリですね。

レトロな漫画を読むような感覚で慈しめば、きっと腹も立たない・・・はず?

No.3 4点 seiryuu
(2010/11/28 17:04登録)
テンポがよくてハラハラもするけど、まとまりに欠ける気がしました。
後半はスケールが大きすぎて苦笑。

No.2 4点
(2009/01/27 22:34登録)
このポアロが登場する唯一のスパイ小説は、クリスティーの中でもたぶん最も評判が悪い作品のようですが、佳作とは言えないにしても、そんなにひどいというほどではないと思います。連作短編集的な構成になっていて、そこだけ独立させてもそれなりに楽しめる章(挿話)もありました。
映画の007並に非現実的な4人の悪役に加え、クライマックスでは、ご自慢の口ひげが重要な役割を果たしたりもする荒唐無稽さは、謎解きに頭を使ったりせず、気楽に読んでいけばいいのではないでしょうか。

No.1 2点 こう
(2008/05/17 22:05登録)
 クリスティーは本格以外の作品も書いていますがこれは唯一ポアロ物で書いたスリラーです。スリラーとしては大したことなく読者がポアロ物に期待する小説では全くありません。初期作のため仕方ないのかもしれませんがポアロ物にすべきではなかったと思います。

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