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ミステリの祭典

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koo±さんの登録情報
平均点:6.00点 書評数:6件

プロフィール| 書評

No.6 4点 ビッグ4
アガサ・クリスティー
(2011/11/02 16:16登録)
国際犯罪組織ですか。コナンくんの黒の組織みたいですね。いやショッカーかな? 良く言えば古典的な冒険小説の風合。悪く言えば大昔の子供だましな漫画のノリ。ビッグ4の仰々しいイメージが先行するわりに、存在意義やリアリティが希薄でした。

どうやら短編を無理やりつなぎ合わせて長編に仕立てたのだとか。ネットでも「駄作」「黒歴史」とやたら酷評。

たしかに、いつものポアロシリーズっぽくないです。でも、ヘイスティングスの奥さんの存在が垣間見えたり、ポアロの●●の●が活躍(?)したり、そして2人の友情が、いつになくやたらアツかったり。サイドストーリーとしてはけっこう楽しめます。ちなみにエルキュールはヘラクレスの仏語読みなのだそうです。尊大な彼のイメージにピッタリですね。

レトロな漫画を読むような感覚で慈しめば、きっと腹も立たない・・・はず?


No.5 7点 なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?
アガサ・クリスティー
(2011/11/02 16:14登録)
表題。吸引力のある一言ですね。ちょっと中だるみはしますけど、この台詞のおかげで最後まで引っ張ってくれます。表題に「なぜ~」が入ると妙に興奮するのは僕だけ? 高木彬光さんの「人形はなぜ殺される」を読んだときの感情がよみがえります。

古き良き冒険小説の風合。そして恋愛小説としても逸品です。ボビイとフランキーのベタなコンビが微笑ましい。訳が古いので台詞回しが時代錯誤ですが、逆にそこが味になってます。

ミステリとしては地味な部類。フーダニットの意外性は弱いかも。でも冒頭の台詞のハウダニットが効いてます。結局エヴァンズとは誰か? 少々アンフェアながら、ユニークな発想と合理的な回答に感服しました。

愛着が沸きますね。キャラとプロットがよかったせいでしょうか。真相が分かった上で、もう一度読み返したい。そう思わせてくれる良作でした。


No.4 7点 死者のあやまち
アガサ・クリスティー
(2011/11/02 16:12登録)
これはよかった。久々に「おぉ」と唸りました。こういうのが読みたかったんです。まあ、ツッコミ所も多々ありますが。

全体的に地味な印象です。登場人物も無駄に多い。途中で何度もダルくなりました。ですが、解決編で一気に目が覚めました。愛憎渦巻く人間関係と、ひねりの効いたどんでん返し。クリスティらしい王道パターン、そして僕好みのトリックです。

スタップス夫人の設定に少々無理がある。というか、かなり荒っぽいですけどね。2つの殺人の動機が弱いのも気になりました。

真相と展開のバランスがちょっとちぐはく。読者に推理の条件を提示してくれないところは相変わらずですね。ポアロが解決に至る過程が唐突で、狐に摘まれたような感。女史の作品を読みなれた読者なら、おそらくカンで辿り付くのでしょうが。

ポアロも影が薄いです。年をとったせいでしょうか。全盛期の尊大さや精悍さがないですね。その反面、シリーズ後期の相棒であるオリヴァ夫人が弾けてます。常識人のヘイスティングスとは真逆の存在感。おそらく作者の投影でしょう。いいですね、こういう変人キャラ大好きです。

なんだかんだ言っても、トリックがいいと細かいことは帳消しになります。これが本格ミステリの醍醐味ですね。途中で投げ出さないでよかった。


No.3 7点 火の粉
雫井脩介
(2011/09/08 11:49登録)
じわりと滲むような恐怖が真に迫る。結構なページ数だったが、先が気になって一日でイッキ読みしてしまった。クライマックスから結末に掛けてが如何にもな2時間サスペンスで悔やまれる。これはこれでベタに分かりやすくていいんだけど、私的にはもう一捻りほしかった。


No.2 5点 顔 FACE
横山秀夫
(2011/09/08 11:45登録)
相変わらず口当たりはくどい。しかし脆弱さのなかに芯の通った強さを秘めたヒロイン瑞穂が等身大で魅力的。しなやかに頭を垂れながら強風でも倒れない瑞々しい稲穂。その名前に著者の密かな思いが込められている。


No.1 6点 Another
綾辻行人
(2011/09/08 11:24登録)
小説としては秀逸で構成も巧み。キャラも魅力的でストーリーも面白いのだが、肝心のゾクリとする恐怖感が希薄なのが悔やまれる。

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