バードさんの登録情報 | |
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平均点:6.17点 | 書評数:332件 |
No.332 | 6点 | 十戒 夕木春央 |
(2025/08/11 13:43登録) (ネタバレあり) 残念ながらノックスの十戒を意識させるタイトルから感じられるワクワク感を超えられなかった。 個人的に構成面に問題があったと思う。以下にしっくりこなかった点を示す。 <しっくりこなかった点> 1犯人ではない里英視点で進むのに、不自然に心情が隠されている点 >手記形式や犯人視点でないのだから、心情描写であのことに触れない理由が無い。単に読者を欺くための手法になってしまっている。 2十戒のせいで捜査を出来ない状況が、ミステリ小説の形式とかみ合っていない >ミステリ読者は、謎を楽しみながら読むものだが、例の十戒のせいで読者も事件の手がかりをほとんど得られないのがよろしくない。読者への撒き餌となる謎が少なすぎて、一般的なミステリの楽しみ方が難しい不親切な構成となっている。 3探偵役不在 >本作には探偵役がおらず、犯人に抗える人物が不在であった。その結果、犯人の優秀さが伝わりづらい書き方になってしまっていた。『方舟』の翔大郎って必要だったんだなあと。相変わらずロジカルなthe犯人さんは素晴らしいの一言ですが。 (余談) 極力『方舟』とは比較しないように、読んでたつもりだが、どうしても 「勝手に作品を好きになって、期待して、それでがっかりすることが多いんだよね。」 となってしまいますね。勝手にハードル上げるのが悪いのですが。。。 |
No.331 | 5点 | 大当たりの死 リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク |
(2025/08/10 08:37登録) 『刑事コロンボ』シリーズ3冊目。 早い段階で事件が発生し、以降はほぼ全てコロンボと犯人組との会話劇のみなので、途中で少し飽きてしまった。もう少しストーリーの起伏は欲しかった。例えば犯人組で内ゲバして、二人目の犠牲者が出るとかね。 ただ、劇中で繰り広げられるコロンボの揺さぶりとラマールのディフェンスは中々に見もの。そして最後には反論の余地の無い決め手が見つかり終幕と、最低限のつぼは押さえている。 まとめると、本作は及第点クラスである。犯人との攻防は悪くないが、ストーリーの単調さが足を引っ張った。 |
No.330 | 10点 | 方舟 夕木春央 |
(2025/08/06 07:24登録) (ネタバレあり) 非常に評判が良い本作。前評判が良い作品はハードルが高くなり、結果肩透かしな印象を受ける事も多いですが、本作は国内本で過去一レベルでした。 衝撃のラストで売り出している作品では、ロジックが弱く減点となる作品が多い傾向にあると思っていますが、本書は分かりやすい強みであるラストの反転の他に、ロジック面でも強固な強みを持つというのが、私の感想です。衝撃の反転と優秀なロジック面を両立した本作には、出し惜しみせず満点を贈呈いたします。(国内ミステリでは2作目の10点。) ///以下この作品の持つ強みについて/// <強み1:衝撃の反転> 本作は散々衝撃のラストと謡われているので、叙述トリックを警戒しながら読む人が多いのではないか。その警戒網は破れた網だといわんばかりに、叙述トリックに頼らず件の反転を実現した点がとにかく素晴らしい。 また、本作の反転は理不尽なものではなく、非常にシンプルなある一つの技だけで達成されているのも高評価ポイント。だから、無茶とは思わずに、純粋に仕掛けに感嘆できた。これが一つ目の強みである。 <強み2:作品を魅せるロジック面の工夫> 上記で述べた反転の美しさだけであれば、本書は10点には到達しなかっただろう。加えてロジック面の工夫が作品をより魅力的にしていると私は感じた。本書のロジック面の工夫は、探偵の脆弱なロジックで物語を破綻させないための守りの工夫と、犯人の類を見ない強烈なロジックで作品の個性を強める攻めの工夫の二本柱からなる。 ■守りの工夫(探偵の脆弱なロジックに対して) 本書の探偵役が犯人を同定するロジックは一見鋭いようで、冷静に考えると相当に穴があり、後述の例のようにいくらでも別解を考えられてしまう。 別解をつぶしきれていないロジックは本書に限らず他の作品でもよく散見されるが、別解から目をそらさせる工夫がなされるのが普通で、この工夫の出来で物語の説得力が大きく変わる。 本書では命がけの時間制限が存在する舞台設定とすることで、完璧なロジックを作る余裕を登場人物と読者から奪う事に成功している。探偵のロジックが脆弱でも問題ない状況を設定する事で、それが作品の欠点となることを防げているのである。 (探偵の脆弱なロジック例) 容疑者二人から犯人を絞るのにスマホの耐水性に関するロジックを用いたが、たとえ耐水性のスマホを持っていたとしても人によっては水に濡らしたくないという心理が働きうることを考えれば、論理として穴があると言える。 ■攻めの工夫(犯人の類を見ない強烈なロジック) 面白いミステリが持つ要素の一つに、その小説特有の強烈な個性がある。衝撃の反転と並ぶ本書の個性は、ロジック(以下合理性)以外の要素を極限までそぎ落とした犯人像ではないだろうか。ロジカルなキャラは本作に限らず相当数挙げる事ができるが、それらキャラのほとんどは、合理性以外の要素とセットで魅力を作るキャラか、感情や偶然を軽視して足元をすくわれる負けキャラ、のどちらかのタイプと思う。つまり本書犯人のような、合理性オンリーで完勝するキャラは結構特異なキャラと感じた。この特異な犯人像が個性となり、作品の魅力upに大きく貢献しただろう。 ちなみに私は読み終わって下記で震えました。↓ エピローグの通信は、犯人が生き残るための行動と関係なく、一見すると行う必要の無い非合理的な行動である。しかし私はこの描写も合理性オンリーな犯人像の描写と捉えた。というのもこのタイミングでは、犯人が生き残るためにやれることは全て終わっており、彼女の中には既に次の問題が設定されている。その問題とは「好きになりかけていた柊一君が私を愛してくれなくてムカつくから、仕返しをするにはどうするのが最も効果的か?」である。この問題に対する解として最後の絶望の通信を始めたのである。 |
No.329 | 8点 | 陰の季節 横山秀夫 |
(2025/08/03 10:17登録) 警察組織の間接部門(人事, 内部監査, 婦警の管理職, 秘書)を舞台とするオムニバスである。 少ないページながら濃厚な横山節がさく裂する秀逸な短編集で、著者の書評済み作品の中で最高点更新。彼の作品が好きな人にはぜひ読んでいただきたい一冊。特に前半2話がお勧めです。 <個別書評(ネタバレあり)> ・陰の季節(7.5点) 決着のつけ方とオチがトリッキーで好み。後の話でも二渡がキレ者として絡んでくることを踏まえると、彼の有能描写がもう少しあるとなお良かった。 ・地の声(8点) 新堂もつぶされるオチが好き。柳に切り捨てられるシーンは、新堂の組織内での行く末を暗示する伏線である。 本作は意外性のあるオチ、すなわち彼が最後に冷や飯を食うという流れに向けた準備が丁寧である。その準備とは、主役を落とすオチで読者がもやもやしないために、新堂に反感を持たせる描写を仕込むことである。基本的にはお人よしの善側としつつ、当然自分は出世する側というある種傲慢な自己評価を、わずかに感じられる文体になっているのが素晴らしい。 ・黒い線(6点) 悪くはないが本短編集の中では唯一及第作レベルかな。 『クライマーズ・ハイ』でも感じたが、横山作品ってメッセージ性が強い話になると、その主張が押しつけがましい文体になり、しらける傾向にある。本話に関しても、描写が文章での婦警上げに追いついていないと感じた。高々報道向けの偽装に加担させられた程度で病むようだから婦警の扱いが低いんじゃないかと思ってしまった。 ・鞄(6.5点) オチが一ひねりあるので、+0.5点。他は「黒い線」と同レベルで、前半二つよりは面白さが落ちたと感じた。特に2話目の「地の声」と比べると、完成度が低いのが分かりやすい。主役が落とされるオチは「地の声」と同じだが、「地の声」の新堂と比べると柘植は露骨に嫌味な感じが出ていたせいで、オチで意外性が生まれずイマイチ。 |
No.328 | 6点 | 第二の銃声 アントニイ・バークリー |
(2025/07/21 18:39登録) (ネタバレあり) 他の書評でも書いたことあるが、手記形式という時点で身構えてしまう。書き手を信用できないと。本書も当然警戒しながら読んだので、どんでん返しで驚けなかった。そのため最終評価はまずまずといったところ。 読み物としてもピンカートンの語りはまどろっこしく、シナリオも単調でそこまで褒める点はない。ただ、アーモレルの偽証のところは意表をつかれ、読んでいて楽しかったです。 最後に、クリスティの某作品と比べるが、私はあちらの方が好きである。クリスティの某作もストーリーは単調たが、軸となる仕掛けは例の一本で、筋が分かりやすいため読みやすい。それに比べると、本作は多重解釈やかませ探偵の要素まで組み込んでいるせいで一読み物として若干とっ散らかっており、スマートさに欠けると感じた。 |
No.327 | 7点 | ななつのこ 加納朋子 |
(2025/07/21 15:59登録) 読んでから時間が経っているので簡単に。 日常の謎を扱う書籍として完成度が高い。特筆すべき加点要素こそ少ないが、これといった不満点が挙がらない手堅さが本書の強み。 日常の謎に対し苦手意識の有る人以外には安心して勧められるだろう。 |
No.326 | 9点 | ダンガンロンパ霧切2 北山猛邦 |
(2025/01/05 10:35登録) (軽いネタバレあり) 4巻まで読んだ状態だが、圧倒的に面白かった巻。 この巻(とそのために1巻)はダンロンファンは当然としてそうでない人にも勧めたい。点数はダンロンファン補正で+1点している。 <特に好きな点> *本家ダンロンさながらのゲーム要素と推理小説でおなじみの連続殺人がいい塩梅に調和している点 *オークションでの駆け引き(味方同士で争うことになるこの点も本家さながらですね) *殺害方法, 犯人をある程度推理可能で、それでいて簡単すぎない難易度 *単純な犯人当てで終わらず、その後にもお楽しみが控えている点 |
No.325 | 6点 | ダンガンロンパ霧切1 北山猛邦 |
(2025/01/05 10:32登録) ダンガンロンパのヒロイン霧切さんのスピンオフ。第一巻では結構ユニークなトリックが使われており、ダンロンファン以外でも楽しめそうなレベル。この巻だけでは解決しない謎も多く、一度読み始めると続きを読む手が止まらなくなるのは本家ダンロンリスペクトか。 語り手の五月雨結お姉さまも好きなキャラなので、生き残ってほしい。ダンロン原作をふまえると嫌な予感しかしない。 霧切さんの雰囲気に違和感はほとんどないかな?原作と年齢も違うしね。 |
No.324 | 7点 | 鍵のかかった部屋 貴志祐介 |
(2024/11/10 22:47登録) 密室のコンセプト短編集で、「密室劇場」以外はwhoダニットを完全に排除したいさぎ良さ。本短編集はHow and Whyに焦点が集められており、初心者も楽しみやすいgoodな構成である。 <個別書評(ネタバレあり)> ・佇む男(7点) 本短編集のマイベスト。密室の作り方も納得でき、犯人の決め手も美しい。うじからの真相到達も良いヒントだった。 ・鍵のかかった部屋(7点) 全体的にギミックが凝っており、面白かった。実際はドアが壊れてしまいそうな気もするが、たまたま頑丈なドアだったということで。 ・歪んだ箱(6点) 図もあったので情景はイメージしやすいが、前話に続き実現性という点は厳しいような。それともテニスボールをあの速度で連射すれば意外といけるのか?本人視点なので、同情的に書かれているが、犯人は普通に悪人ですね。 ・密室劇場(6点) 密室か?という内容だが、4作の中で一番トリックの成功率が高そうな気もした。少しギャグが滑り気味なのはご愛嬌。 |
No.323 | 7点 | 倒錯のロンド 折原一 |
(2024/11/10 22:29登録) (ネタバレあり) 初めて折原さんの本を読んだが、こういうスタイルなのね。因果応報的な結末や乱歩賞での皮肉も面白かった。折角なので他にも評判の良い作品を読んでみよう。 ただ、本作の叙述は正直微妙だと思う。メインのカラクリは分からなかったが、白鳥≠永井なことは書き方が露骨すぎで、簡単に察せてしまった。 |
No.322 | 6点 | 眩暈 島田荘司 |
(2024/11/10 21:58登録) (ネタバレあり) 本作の一番の見所は序盤の精神病患者が書いたかのような文章が紐解かれていく点。良くも悪くも島田さんらしい無茶苦茶さは多々あるが、物語として面白かったので悪く言うつもりはない。ただし階数が一階多い事に誰も気づかない点はええ・・・、と思った。 また、各所あらすじでは『占星術』の名前を出していることが多いが、単にファンを釣る以上の意味は無かったのはちと残念。 今回6点としているが実際は6.5点くらいの感覚。あと150ページ短くまとまっていたら7点にしていたかな。『暗闇坂』に一歩及ばずだが、『水晶』よりは面白かった。 |
No.321 | 5点 | サマー・アポカリプス 笠井潔 |
(2024/09/29 20:19登録) 濃厚な歴史探求とミステリが混ざった意欲作。と褒めるファンも多そうだが、私には合わなかった。 まず歴史パートが退屈すぎる。カケルはカタリ派の謎を解くことを重視していたが、このパートは興味持てないと非常に厳しい。 一方事件パートは結構好き。見立ての意味も明確な点が好印象で、フーダニットやホワイダニットが十分楽しめる。ラストのどんでん返しはそれ程だったが。 配点は物語3点にミステリ的な良さで+2。 |
No.320 | 5点 | 邪悪の家 アガサ・クリスティー |
(2024/08/05 05:56登録) (ネタバレあり) 良かった点と、イマイチな点がはっきりしていた。もう少し驚きのあるギミックが増えるor大技が仕込まれていれば6点も見えていた。 無難に面白いがそれ以上でもないという評価。 <良かった点> ・手紙宛先の誤認ネタ ・電報の伏線 ・探偵(真相を口にする役)を利用する事で読者を自然に騙せている点 <イマイチ点> ・フーダニット(結構似た構成の本を読んだことあり、ネタを読めてしまった。) ・キャラの人物像(クリスティにしては印象薄めなキャラ多数) |
No.319 | 7点 | GOTH リストカット事件 乙一 |
(2024/05/14 07:26登録) <軽くネタバレあり> 夜の章、僕の章で全6話。 ホラー味もある本作だが、僕視点で犯人達を俯瞰する立場で読めるため、猟奇犯人達へ恐怖することはない。むしろ、僕や、僕とも差別化されている森野にぞくっとする人が多いだろう。ただ、彼らも単純な恐怖の対象とは書かれておらず、むしろ等身大の学生描写も多い。ホラー雰囲気と読後感の爽やかさを両立している点が本作の魅力の一つだ。 個人的には僕に関する伏線の撒き方とそれを利用した「声」のギミックは非常に上手いと感じた。一見アンフェアな仕掛けがあるが、前までの話をベースにするとフェアな仕掛けへと化けるのが素晴らしい。 キャラクター造形:8点 ストーリー:6.5点(単話のマイベストは「リストカット事件」。「声」も、一冊の締めには不可欠なお話。) ミステリ的ギミック:6.5点(各話の小ネタ(4点)正直レベルは高くない+僕の使い方(2.5点)) 総合:7点 *以前に夜の章だけ読んだ際は、ミステリ要素のチープさが気になり今一つの評価だったが、本作の魅力は別にあると気づき評価が大幅に上方修正された。やはり最後まで読まないとまともに評価出来ない&乙一さんは構成が上手い作家だと改めて思い知らされました。 |
No.318 | 9点 | medium 霊媒探偵城塚翡翠 相沢沙呼 |
(2024/05/06 15:09登録) <ネタバレあり> 主人公のキャラ設定にエッジが効きすぎており、いわゆる色物キャラ短編と決めつけて読んでいた。霊能で犯人が即分かる設定はミステリ的には禁忌なわけで。 そんな尖ったキャラを使いこなしてはいたので7点くらいかなーと何も考えずに読み進めていたら・・・。最終話でまんまとやられた。お見事です。9点以上です。 ちなみに先生の正体は察していた。連続殺人犯のフルネームを明かしているのはあからさまで、ミスリード狙いと分かる。加えて職業的に偽名(ペンネーム)が許されるキャラだったので。ただ、彼の正体なんて本作の肝でも何でもないのよね。それこそ読者の意識をそらすためのデコイ。 ストーリー上で先生は翡翠の噛ませなんだが、仕掛けのレベルでも同様に上下関係にあるので、カタルシスを得やすい構成となっている。衝撃度を上手く伝えられる構成も本作の出来をぐっと引き上げている。 |
No.317 | 5点 | 名探偵のコーヒーのいれ方 クレオ・コイル |
(2024/05/06 15:08登録) まったり感を醸すタイトルに反し最序盤に事件が発生する。意外と煎りの早い作品なのかと身構えたが、その後は事件も起きず割と展開が煮詰まっている印象。道中の捜査方針がほぼ直感頼みでどうにも説得力が薄いのも今一つ。 このようにミステリとして楽しもうとすると苦々しい評価となってしまう。 コーヒーについての蘊蓄や元夫婦とマダムが作る微妙なフレーバーが心地よいので、そういった部分を楽しみたい一品。 |
No.316 | 4点 | 変な家 雨穴 |
(2024/05/06 15:07登録) 最近広告で見かける本作。映画の脚本のような読み心地で、一小説としては力不足感あり。 特殊建築物ものは既に世に沢山ある。事件の動機も古臭く微妙。どんでん返しも過去の良作と比べて突出していない。 上記のように既視感のある要素が多く、ミステリ好きには勧め難い。普段活字を読まない層や、ミステリに慣れていない読者なら楽しめそう。 |
No.315 | 5点 | 時をかける少女 筒井康隆 |
(2023/09/06 19:36登録) 自分が読んだのは短編集で、表題作以外に「悪夢の真相」と「果てしなき多元宇宙」が収録されていた。表題作のみだと6点で、採点は短編集としてである。全体的にひと昔前のSF感が漂っており、私にははまらず。温かみのある文体は好き。 <個別書評> ・時をかける少女(6点) 和子の身に起きた不思議な現象と淡い青春がかみ合っている。後の2編よりも完成度は高く、中~高水準の青春ものを堪能できた。 ・悪夢の真相(4点) ・果てしなき多元宇宙(4点) 現代のSF価値観で言うと両話とも古臭い&オチを見透かせる。表題作と違い、優れた他要素も見当たらなかった。 |
No.314 | 6点 | 乱鴉の島 有栖川有栖 |
(2023/08/30 16:16登録) 火村シリーズ長編への期待値くらいの出来。犯人特定のロジックも、島のメンバーの目的も、全体的にパンチは弱いが、それなりにまとまっている。 積極的に人に勧めるほどの作品ではないが、気軽に安定感のあるミステリを提供してくれる点が有栖川さんの強みとすると、6点にはぎりぎり到達。 |
No.313 | 5点 | 緋色の囁き 綾辻行人 |
(2023/07/05 06:44登録) (ネタバレあり) 綾辻さんの本はある程度読んでいるが、囁きシリーズは初。残念ながら期待よりは下だった。(本音は5.5点です。) 冴子と校長を殺人者のミスリードに使う所は、雰囲気だしに機能している。肝心の殺人者の正体も落としどころとしては最適だろう。ただし、正体の人が○○ということの伏線は足りないと思う。矛盾はなくとも、上手さを見出せなかった。 他に細かいところで、全体的にキャラメイクが雑と感じた。綾様も結局小物であり、終盤までバックボーンを引っ張る必要を特段感じず。彼女もミスリード要因なのかしら。 |