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ミステリの祭典

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TON2さんの登録情報
平均点:5.65点 書評数:330件

プロフィール| 書評

No.190 6点 なみだ研究所へようこそ!
鯨統一郎
(2012/12/10 17:21登録)
祥伝社文庫
 全くとんちんかんな感性を持った女性が主人公という点では、北村薫のお嬢様探偵と似ています。(しかし、こちらのほうは容姿は地味ですが・・・)語り口に嫌みがなく、ライトな感じで、中学生の娘も読んでいました。


No.189 5点 スウェーデン館の謎
有栖川有栖
(2012/12/10 17:18登録)
講談社文庫
 裏磐梯、五色沼が舞台。
 雪の中の離れで死体が見つかるが、足跡は片道だけというののは、本格王道の謎でしょう。
 犯人は、最もそれらしくない者というこれまた王道に従えば、分かります。


No.188 5点 魔神の遊戯
島田荘司
(2012/12/10 17:14登録)
文春文庫
 ミタライは御手洗ではないでしょう。
 無茶苦茶に思える証拠から、悩まずに真相にたどり着く、まさにIQ300の「神」のなせる技でしょう。


No.187 8点 塗仏の宴
京極夏彦
(2012/12/10 17:10登録)
講談社NOVELS
 宗教や心霊現象などが題として描かれ、妖怪とからまり、多方面の現象や事件が、最後に一つに収斂していくという構造は、いつもながらのことですが、百鬼夜行シリーズの一つの到達点だと思います。


No.186 7点 キマイラの新しい城
殊能将之
(2012/12/10 17:05登録)
講談社NOVELS
 このシリーズは、オカルト・伝奇・SF的要素があり、名探偵というよりも迷探偵石動のとんちんかんな行動の面白さがたまりません。


No.185 6点 赤い館の秘密
A・A・ミルン
(2012/12/10 17:00登録)
集英社文庫「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10⑧」
 「クマのプーさん」の作者が、生涯ただ1冊書いた長編ミステリーです。
 ホームズがまだ書き継がれていた頃の作品で、トリックは途中で分かりましたが、全編にユーモアがあり、軽い気持ちで読める作品です。


No.184 6点 鏡の中は日曜日
殊能将之
(2012/12/10 16:56登録)
講談社NOVELS
 石動戯作は狂言回しで、真の名探偵として水城優臣が登場します。てっきり男と思っていたら女性でした。
 題名は食指をそそるものではありませんが、面白かったです。


No.183 6点 黒い仏
殊能将之
(2012/12/09 19:26登録)
講談社NOVELS
 「美濃牛」に続く、名探偵石動戯作の2作目です。
 前作のイメージのままだと、作品の最後の3分の1でとまどってしまいます。法力を操る妖魔と天台僧の戦いなんて話で、ホラー、SF、伝奇してます。
 特にラストはミステリーに対するアンチテーゼで、評価が分かれるところですが、私は意外と好きです。


No.182 6点 女王蜂
横溝正史
(2012/12/09 19:20登録)
角川文庫「金田一耕介ファイル9」
 昭和20年代後半の、伊豆半島下田沖の小島(通称月琴島)の親子2代にわたる絶世の美女をとりまく事件です。
 いつもどおり金田一は殺人を防ぐことはできません。
 大がかりで不可能なトリックはないですが、人の心の動きや思いによって謎が作られていきます。この点、奇矯さがなく、物語に没頭できます。


No.181 7点 半落ち
横山秀夫
(2012/12/09 19:15登録)
集英社文庫
 県警幹部の警部が、アルツハイマー病の妻を殺したと自首した。しかし、殺害後2日経過しており、殺害の事実は認めるが、空白の1日をどこでどのように過ごしたかについては沈黙したまま何も語らない。
 空白の1日をめぐって、取り調べをする県警の警視、地検の検事、全国紙の中途採用記者、バブル崩壊で落ちぶれた弁護士、痴呆の父親をかかえる裁判官、拘置所の看守といった、彼と接触を持った人たちの思いが章ごとに描かれています。
 社会的地位があっても、だれもが組織内における圧力や保身、家族問題で苦しんでいます。皆警部がなぜ空白の1日を語らないのか知りたいと願い、その物語が自分にとっての空白を埋める何かだと感じているようです。
 テーマは「あなたにとって命にかえても守りたい人はいますか」です。


No.180 5点 トレント最後の事件
E・C・ベントリー
(2012/12/09 19:06登録)
集英社文庫「乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10 ⑤」
(ネタバレ)
 恋愛とミステリーの有機的結合が成功した作品として、近代ミステリーの開祖ともされる作品です。
 早い段階での謎解きが、最後に見事に覆され、あらたな真実が提示されます。
 アメリカの大富豪が、自分を愛さない妻への復讐として自殺という手段をとろうとするでしょうか?あまりにピュアすぎる。


No.179 4点 龍臥亭幻想
島田荘司
(2012/12/09 19:00登録)
KAPPANOVELS
 「龍臥亭事件」の後日談です。「事件」の方は津山36人殺しがベースになって面白かったですが、今度は「森孝(しんこう)伝説」なるものが語られます。しかし、この伝説がとってつけたような感じで、よく分かりませんでした。
 この作品は、作者の生んだ二大探偵、御手洗潔と吉敷竹史がクロスオーバーする部分がウリですが、これしか見せ場がないのかと感じました。


No.178 6点 カノン
篠田節子
(2012/12/05 10:43登録)
文春文庫
 学生時代の恋人が自殺する瞬間までバイオリンで弾いていたバッハのカノン。そのテープを手にした夜から奇怪な事件が繰り返し起こり、日常生活がきしみ始める。「音」が紡ぎだすホラーです。
 自分よりも3~4歳上の昭和28・9年生まれの者が、大学時代と40歳直前の現実の生活を比較して、大人になったのか、夢や純粋さを捨ててきたのか、今が幸せなのは妥協の産物なのかといった迷いの物語です。
 時代が重なるせいで、大学時代の話などは、懐かしく感じました。


No.177 5点 ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
(2012/12/05 10:35登録)
角川書店
(ネタバレ)
 トム・ハンクス主演映画の原作であり、全世界で単行本・文庫本合わせて1000万部以上売れたという大ベストセラー。
 読後感じたのは、なぜこれほどまでに大騒ぎする必要があるのだろうかということでした。
 イエスが磔で死なずに、子どもをもうけていたという話は、相当一般的なのではないでしょうか。「レンヌ・ル・シャトーの謎」などで、しばらく前にも話題になっていました。これにシオン修道会やテンプル騎士団といった秘密結社がからむところが、少々おどろおどろしい感じがするだけです。
 カトリック教会(バチカン)は、イエスに子がいたということになると、教義が崩壊するため、女性を不当に差別してきた歴史があります。
 現代では、死海文書の発見・解読による、共観福音書以外のユダの福音書などの研究により、新約聖書の語る内容が現実か否かの問題が提起されています。
 こうした時代の流れにのった話といえますが、本文の前に「この内容はすべて事実に基づいている」とあるのは、いかがなものでしょうか。トンデモ本すれすれの内容だと思います。


No.176 2点 千葉千波の事件日記 試験に出るパズル
高田崇史
(2012/12/05 10:24登録)
講談社NOVELS
 本を寝ながら読む派の自分としては、論理パズルを寝ながら考える気分にはなれなくて、十分楽しめませんでした。


No.175 3点 QED  神器封殺
高田崇史
(2012/12/05 10:21登録)
講談社NOVELS
 古の神と三種の神器についていろいろと語っていますが、正直よく分かりませんでした。
 このシリーズも、よく切れる論理の明快さがなくなってきたように思います。


No.174 7点 美濃牛
殊能将之
(2012/12/05 10:19登録)
講談社NOVELS
 ミステリーの謎解きとしてはさほど新しいものはありませんが、山間の寒村での資産家一族の連続殺人、鍾乳洞の秘密、わらべ歌の見立て殺人と、横溝正史へのオマージュにあふれています。
 題名は読者の食指をそそりませんが、文章が平易で読みやすいものでした。
 また、思わず口元がゆるむような軽いユーモエに満ち溢れていて、特に句会の様子には笑ってしまいました。


No.173 6点 法月綸太郎の功績
法月綸太郎
(2012/12/05 10:12登録)
講談社NOVELS
 ダイイングメッセージや密室殺人など、現実には起こりえない、物語のための犯罪状況のパズル。頭の体操として、知的好奇心をくすぐられるものとして楽しめました。


No.172 4点 迷路荘の惨劇
横溝正史
(2012/12/04 20:42登録)
角川文庫
 設定は昭和26年で、金田一は名探偵として知られ、警察にも知人が多く、先生と呼ばれています。
 富士山麓に建つ、抜け道やどんでん返しを駆使していることから「迷路荘」と呼ばれる建物で起こる連続殺人事件。合計5人もの死人が出ますが、金田一はあいかわらず最初から現場にいながら事件を止めることができません。むしろ金田一が捜査を始めた頃から、事件の進行が加速された感があります。
 そつなくトリックを使い、人間関係も描いていますが、「犬神家」や「獄門島」のような血の怨念が背後にあるというようなおどろおどろしさに欠けます。金田一ものは、この点が背筋をぞくぞくさせてくれるのに・・・。 


No.171 8点 凍える牙
乃南アサ
(2012/12/04 20:34登録)
新潮文庫
 後半の超絶なオオカミ犬の活躍は、現実離れしているとの評価もありますが、緊張感があり、こころ踊るものがありました。
 女性が主人公のハードボイルドです。
 男の世界に生きる男を描く高村薫、女性のハードボイルドを描く桐野夏生、情念のあやしさを描く坂東真砂子、宗教がかった不思議な世界を描く篠田節子、イタリアの壮大な叙事詩を描く塩野七生などと並ぶ、へたな男性作家よりも骨太なストーリーで筆力のある作家だと思います。

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