蟷螂の斧さんの登録情報 | |
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平均点:6.10点 | 書評数:1696件 |
No.476 | 5点 | このミステリーを読め![海外編] 事典・ガイド |
(2013/08/25 19:42登録) 海外ミステリー100冊の解説本。内訳は、「本格物」30、「ハードボイルド」23、「警察小説」15、「法曹物」8、「サスペンス」9、「冒険・スパイ物」12、「その他」3となっています。好き嫌いの分野があるので、この分類は、役に立ちますね。特に苦手な分野は短編ですが、~「ブラウン神父の童心」を読まない読者はモグリ!~などの文句に釣られ読もうかな?という気にさせられます(笑)。また苦手のハードボイルド系~読まずに死ねない!現代の超一級品「さむけ」~等々に煽られています(苦笑)。あらすじと作者紹介のほか、4~5行の解説があるのですが、もう少し思い入れがあってもいいのかなと思いました。 |
No.475 | 7点 | 太陽がいっぱい パトリシア・ハイスミス |
(2013/08/25 08:33登録) 英米ベストランクイン作品(日本の東西ベストランク外)で映画化された主なものに、「太陽がいっぱい」(本作)「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「007/ロシアから愛をこめて」「第三の男」「見知らぬ乗客」「ナヴァロンの要塞」「「ゴッドファーザー」「レッド・オクトーバーを追え」「ローズマリーの赤ちゃん」などが挙げられます。英米と日本との嗜好の差が、かなりあることがわかりますね。特に日本で人気のエラリー・クイーン氏の作品が英米推理小説ベストに1冊もランクインしていないことは驚きでした。さて、本作は映画(アラン・ドロン主演)のラストシーンに強烈な印象が残っているため、若干物足りなさを感じました。しかし、前半の、富豪の息子ディッキーとその恋人マージの間に主人公リプリーが入り込み、奇妙な三角関係が生じていく様や、心理描写は読みごたえがありました。また、後半はサスペンスフルな仕上がりになっていました。 |
No.474 | 5点 | 九マイルは遠すぎる ハリイ・ケメルマン |
(2013/08/20 18:52登録) (東西ベスト68位)序文の抜粋「古典的推理小説は、本質的に短篇であると感じていた。~人物や設定は不随物~長編小説の長さに引きのばすことは、~長々しい退屈な描写~うんぬん」。この逆を望む者にとっては、あらすじを読んでいるようで味気ないと感じてしまいます。人物描写(たとえ人間が描かれていないと批判されても)や、伏線の提示、サスペンス感などを期待するので、どうしても短編は苦手となっています。ただし、好みの’奇妙な味’は短編に限ると思いますが。推理過程は楽しめましたが、好みの問題でこの評価としました。 |
No.473 | 5点 | グランドマンション 折原一 |
(2013/08/19 18:47登録) 2008~2013に発表された連作短編に、新たに書き下ろした「リセット」「エピローグ」を加えたもの。いつもの叙述ものが多い中で、ブラック的な要素の強いものもありました。高齢者の悪意・犯罪が、一つの読みどころかもしれません。 |
No.472 | 6点 | 誰の死体? ドロシー・L・セイヤーズ |
(2013/08/15 21:05登録) 初のドロシー・L・セイヤーズです。東西ベスト100の45位に「ナイン・テイラーズ」が入っているので、いつかは著者の作品は読もうとは思っていました。今回のきっかけは、英米の各ベスト100にアガサ・クリスティと並び5作品(英4、米5)が入っていたことです。お恥ずかしい話ですが、こんな人気作家とは知りませんでした。絶版後、1990年代に翻訳されたようなので止むを得ないか(言い訳・笑)。本作は、1923年の作品で著者の初長編ということです。犯人はすぐわかり、その点は物足りないかもしれませんが、ウィットに富む会話や、犯人との対決など読みどころはかなりありますね。 |
No.471 | 4点 | 七人の探偵のための事件 芦辺拓 |
(2013/08/13 17:59登録) 「○人の○」のパロディといえるのか?。著者の作品は3冊目なので、登場人物・七人の探偵については、なじみがありません。過去の事件名が出てきてもよくわかりませんでした。なんとなく取っ付きにくい文章(従前の印象も同様)です。あとがきに「名探偵勢ぞろいの物語。それも自分のオリジナル・キャラでありつつ、いろんなタイプの探偵をどっさりと網羅した長編を・・・。~七人の探偵たちのさっそうたる英姿と鮮やかな推理、あちらと思えばまたこちらとばかりに右往左往するようすを存分にお楽しみくださいますよう・・・」とありましたが・・・。 |
No.470 | 6点 | 時の娘 ジョセフィン・テイ |
(2013/08/11 20:59登録) (東西ミステリーベスト39位)歴史家の目ではなく、探偵の目で歴史を見る、つまり「誰が得をするのか(動機)」という視点で描かれていることが、新鮮に感じられました。本書を読む前に「薔薇戦争」の概要だけでもと思いましたが、複雑すぎてあきらめました(苦笑)。歴史ミステリーはほとんど読みませんが、きっかけは、「史上最高の推理小説100冊」(1990年英国推理作家協会選出)の第1位、「史上最高のミステリー小説100冊」(1995年アメリカ探偵作家クラブ選出)の第4位とのことで拝読。本書に限らず、本邦と英米との嗜好の差は、かなりありますね。この辺は、追々書評にあわせて書きたいと思います。(2013.2ニュース~2012.8発見された遺骨がDNA鑑定の結果リチャード3世のものと断定された。) |
No.469 | 6点 | 黒いカーテン ウィリアム・アイリッシュ |
(2013/08/09 16:50登録) 同じ筋を他の作者が書いたらどうなんだろうと、ふっと思いました。評価はかなり違ってくるのだろうと思います。やはり、サスペンス感の盛り上げ方、行間に溢れ出る雰囲気など、文章力・表現力が優れているということになるのでしょうか。著者の欠点?、よく言われるご都合主義を、前記が上回っているということになるのでしょう。しかし、ルス(女中)の扱い方は、こうするしかなかったのでしょうか?・・・。 |
No.468 | 4点 | 死のランデブー ピエール・ボアロー |
(2013/08/08 15:42登録) 「誰が?」でもなく、「なぜ?」でもなく、「いかにして?」でもない。にもかかわらず、ひとつの本格探偵小説なのである。~<著者>~に惹かれ拝読。結果は、見事に?裏切られました(苦笑)。救いは、美貌の未亡人を慕う従弟の心情が、うまく描かれていて楽しめたことですね。 |
No.467 | 6点 | そして誰かいなくなった 夏樹静子 |
(2013/08/07 13:12登録) 3つのプロットを組み合わせた努力は買いたいと思います。オマージュもとの作品が傑作であるので、面白くないわけはありませんが、現実味の観点から、この評価で。 |
No.466 | 6点 | 赤い森 折原一 |
(2013/08/06 12:31登録) 「樹海伝説」「鬼頭家の惨劇」に新たに書き下ろした「赤い森」を加え、加筆、訂正したもの。樹海の中の山荘にまつわる伝説は、10年前、スランプに陥った作家が、妻と子供を殺害し、その後行方不明になったというものである。さて、その真偽は?・・・・・。叙述よりも、樹海の中へ迷い込んだ感覚~小説の中に迷い込む~を楽しむほうがベターなような作品でした。オチは、ブラックで好みなものでした。 |
No.465 | 6点 | ひとりで歩く女 ヘレン・マクロイ |
(2013/08/04 19:53登録) (タイトル・女26)前半は、何が起こっているのかよくわからない状況で、混乱させられます。謎の提示の仕方はうまいと思いました。後半は、金の亡者が多数登場し、その中に犯人は?という展開です。解決篇は、どちらかというと動機、殺害方法、証拠等が簡単に片づけられていますので、本格色が強いサスペンスといえると思います。 |
No.464 | 6点 | 被害者を捜せ! パット・マガー |
(2013/08/02 15:21登録) 構成はユニークであるのですが、それ以外、特筆すべきものはないような気がしました。犯人の特定については、物語の性質上仕方ないのですが、やはり証拠に基づく推理ではないということなので、若干物足りなさを感じてしました。 |
No.463 | 7点 | 天使が消えていく 夏樹静子 |
(2013/07/31 09:32登録) 記者の亜紀子は、ゆみ子(心臓疾患の赤ん坊で手術代がない.)を知り心を痛めるが、篤志家が現れ手術は成功。しかし、母親はゆみ子を粗末に扱う。一方、ホテルでの殺人事件(客)とそのホテルの経営者の毒殺事件が発生。その二つの物語がやがて一つに結びついてゆく過程は、十分楽しめました。そして、ラストでの反転(トリック自体は既読感ありなのですが)は、女性心理を見事に描いていますし、その過程、仕掛けは非常にうまいと思いました。 |
No.462 | 8点 | さよならファントム 黒田研二 |
(2013/07/30 12:01登録) 妻を絞殺した、自殺願望のピアニストが主人公です。主人公には、熊のぬいぐるみの死神がつきまとうという、ちょっとファンタジーっぽい物語であるという感じもします。しかし著者の、これはファンタジーではないという断り書きがついています。死に場所を求め、謎の美少女との逃避行が始まり、連続爆破事件を絡め物語は進行します。ラストでは、元Jリーガーのエピソードを含め、ちょっとした感動が待ち受けていました。サッカー大好き人間のためか・・・(笑)。ラストの反転(トリック)は、同一前例はないと思いますので高評価をつけたいと思います。 |
No.461 | 8点 | 災厄の町 エラリイ・クイーン |
(2013/07/28 20:09登録) 前半は人間模様が描かれ、既読の氏の作品と雰囲気・趣が違っていました。動機の隠し方、手紙の扱い方が秀逸であり、人間ドラマとミステリーが融合した佳作であると思います。 |
No.460 | 6点 | 殺す者と殺される者 ヘレン・マクロイ |
(2013/07/22 20:48登録) 読者を不安定な気分にさせる一風変わったサスペンスといった感じです。主題はおおよそ予想がつくのですが、この手の題材で、10年間の空白の謎、および○○○と○○○の逆転の扱い方は見事だと思いました。ラストで題名に繋がってくるところも好印象です。 |
No.459 | 7点 | 暁の死線 ウィリアム・アイリッシュ |
(2013/07/19 11:47登録) 二人を朝6時の最終バスに乗せてあげたいと感情移入してしまいました(笑)。人生の岐路・転機・決断が6時の最終バスに象徴されていて充分納得できます。「煮ても焼いても食えないようなあばずれダンサーになり果てるだろう」と独白し、青年に賭けた22歳のダンサーのひたむきさが伝わってきました。著者のお得意な短編も挿入されているような感じで楽しめました。途中で何回かでてくる「チクタク、チクタク・・・」は余計か?(笑)。 |
No.458 | 7点 | 無実はさいなむ アガサ・クリスティー |
(2013/07/18 15:34登録) (クリスティ自薦10の一冊)犯人の設定がクリスティらしい。うまい、面白い。冤罪を晴らされた家族の疑心暗鬼の様子がうまく描かれている。ラストは、ほのぼのとする。「失敗作とは思いつつ、実は大のお気に入りでもある」というよく解らない解説つきです。 |
No.457 | 7点 | 仮面の情事―プラスティック・ナイトメア リチャード・ニーリィ |
(2013/07/17 12:46登録) 後発の類似モチーフの作品で衝撃を受けたことがあります。よって、免疫ができてしまっていましたね(笑)。どんでん返しのある作者(作品)は、身構えて読むので、評価で損をする?。また同様のモチーフの作品であれば、読んだ順で損をする?ということがありますね。そんな印象を持ちました。夫にも恋人にも愛されなかった女性が哀れでした。 |