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ミステリの祭典

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スモールボーン氏は不在
ヘイズルリッグ主任警部

作家 マイケル・ギルバート
出版日2003年09月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2015/08/22 07:27登録)
(ネタバレなしです)  1950年発表のヘイズルリッグシリーズ第4作の本書はギルバートの本格派推理小説の代表作とされています。デビュー作の「大聖堂の殺人」(1947年)と比べると筆がなめらかになったのか控え目なユーモアが混じった文章は読みやすく、地味な展開の物語ながら退屈しないで読めました。「クリスティーに匹敵する」と絶賛したキーティングはやや過大評価かなとも思いますが、水準点レベルは余裕でクリアしていると思います。弁護士や秘書が大勢登場するので最初は人間関係の整理でちょっと大変でしたけど。

No.2 5点 蟷螂の斧
(2013/11/26 13:32登録)
英米の各ベスト100ランクイン作品。物語の筋は面白いのですが、著者の作風なのでしょうか、淡々とし過ぎという印象です。また、主人公が新米弁護士・ブーンなのか、スコットランドヤードの警部なのか、よくわからない点が不満点として残ります。もっと、ブーン(頭脳明晰、不眠の男)の活躍を期待したのですが・・・(苦笑)。弁護士業界なので、不動産担保設定の話が取り扱われています。日英の法律の違いなのか、よく分かりませんが、日本では考えられないような杜撰な一件ですね。

No.1 7点 mini
(2008/10/13 15:37登録)
チャンドラーの法律顧問でもあったマイケル・ギルバートは海外での高い評価に比して、細々と翻訳されてた頃の日本での知名度は決して高いとはいえなかった
ところがこの作家が脚光を浴びた年が有ったのである、それが2003年で「スモールボーン氏は不在」と「捕虜収容所の死」の2作品がこの年に相次いで訳され、後者は”このミス”でも堂々の2位にランキング入りしたのである
しかし「スモールボーン氏」の方は「捕虜収容所の死」と同じ年に翻訳されているのに、「捕虜収容所」だけしか読まれていない風潮なのは残念だ
仕方ない事情もあって、「捕虜収容所」は文庫だが、「スモールボーン氏」は四六版ソフトカバーという中途半端な装丁で、しかも版元がミステリーではややマイナーな小学館
さらに「捕虜収容所」が本格では異色の舞台なのに対して、「スモールボーン氏」の舞台は法律事務所内とちょっと地味
でも作者の勝手知った業界を活かし、セイヤーズの「広告」の雰囲気を再現したかのような趣は魅力だ
海外での評価だが、「スモールボーン氏」は各種ベスト表や里程標などに載っているが、「捕虜収容所」がその手の名作リスト一覧などに載っているのを殆ど見た記憶が無い、これは森英俊氏の発掘の賜物である
でもやはりマイケル・ギルバートの代表作と言えば「スモールボーン氏は不在」でしょう

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