グラン・ギニョール城 森江春策シリーズ |
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作家 | 芦辺拓 |
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出版日 | 2001年11月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 11人 |
No.11 | 6点 | 八二一 | |
(2023/10/01 20:25登録) 「グラン・ギニョール城の謎を解いて」と、奇妙な言葉を残して列車内で男が怪死。弁護士の森江春策が謎に挑む。 過去、現在、虚実が交錯するメタミステリと見せて、結末は意外な一点に収束する。 |
No.10 | 6点 | ぷちレコード | |
(2020/11/06 19:27登録) 作者の凝り性ぶりが見事に結実した作品。事件そのものの行方は言うに及ばず「城」の世界と探偵森江春策の世界をどのように近づけていくのかという展開方法にも激しく興味を掻き立てられた。 |
No.9 | 6点 | nukkam | |
(2016/01/31 20:38登録) (ネタバレなしです) 2001年発表の森江春策シリーズ第10作の本格派推理小説で、何と名探偵レジナルド・ナイジェルソープが登場する海外古典本格派推理小説的な世界と森江の登場する現代世界が描かれる風変わりなプロットです。前者を単なるノスタルジーに留めていないのがこの作者ならではで、現実世界との意外な絡ませ方には驚きました。ただこの斬新な仕掛けの提示がやや性急過ぎて頭の回転の鈍い私は整理がなかなか追いつけませんでしたけど。トリックとしては中身が空っぽのはずの甲冑が被害者を抱きしめて墜落した事件のトリックが無茶苦茶ではあるけれど大変面白いアイデアだと思います。 |
No.8 | 4点 | 蟷螂の斧 | |
(2013/11/19 09:49登録) アイデアは面白かったが、作中作が全然つまらない。3つの事件の伏線は弱いし、真相はかなり無理がある。叙述部分は、アンフェア、また犯人が欧米人に理解できる?といった感想。そんな内容なので、オチは本人と、ファンに対し、失礼に当たるのではと思ってしまいました。 |
No.7 | 5点 | yoneppi | |
(2012/11/21 17:26登録) 作者の言うとおり「とんでもない」作品なのだろう。自分としてはあまりシックリとはこなかったけれど。 |
No.6 | 7点 | いけお | |
(2012/09/04 22:50登録) トリックはあまりに無理があったり、そもそも勝手に落下しただけだったりとかなりひどい。 また、犯人特定のロジックも強引すぎるので終盤が残念だった。 ミステリとして最重要な2点の完成度が低く非常にもったいない。 それでもトータルでは読まなくては損な名作と思わされるリーダビリティ抜群のプロット、アイディアは素晴らしい。 |
No.5 | 8点 | makomako | |
(2012/06/04 20:25登録) 作中作をうまく盛り込んであり、なかなか楽しめました。作者があとがきで書いているようにわたしもある程度のおあぞびは楽しむのですが、現実をあまり離れてしまったり、登場人物が非人間的であったりするようなものはどうもなじめません。その点この作品は適度の遊び心と推理と幻想がうまくミックスされて、私にとってちょうどよい。ただ二番目の事件ははなかなか大掛かりなトリックなのに、最初のはしょぼいなあ。こんなのあり?。 でもまあ全体としてはとても楽しめましたよ。 |
No.4 | 4点 | 江守森江 | |
(2010/07/02 18:48登録) パチンコ屋の開店前の並ぶ時間の暇つぶしに読んだのが間違いだった。 影の薄い名探偵・森江春策に対して、作者の作品は何でこうも脂っこいのだろう。 作中作やらメタな構成やら相変わらずの詰め込み過ぎに、理解する事(&パチンコの利益追求)に追われて楽しめなかったのが正直な感想だろう。 もう少しアッサリ風味なら普通に再読すれば良いだけなのだが・・・・それにも躊躇いがある。 パチンコを含めた賭博を控え目にし、読書体力も鍛えられた今なら理解に追われずに楽しめるのだろうか? ※ボヤキ 森江春策に愛着を持ってしまったのが、そもそも間違いの始まりだったのかもしれない。 |
No.3 | 5点 | touko | |
(2010/01/15 23:41登録) カーの作品を読んだのは中学生くらいの頃だから、よく覚えてないんですけど、いくらなんでもここまで紙芝居な世界だったかなあ……パスティーシュとして出来がいいのか悪いのか私にはよくわからないのですが、個人的にはノスタルジーを喚起させられて感涙に咽んだり、稚気や仕掛けに喝采したりは出来ませんでした。 |
No.2 | 9点 | シュウ | |
(2008/12/12 22:50登録) 海外の某大物作家のパスティーシュとなっている1930年代のヨーロッパを舞台にした作中作と、現代の森江春策の冒険が交差する 個人的にどストライクな作品です。作中作がクイーン編集の「ミステリー・リーグ」の廃刊によって解決編が幻となった作品という設定にもロマンを感じます。 自分のような古き良き探偵小説好きとしてはたまらない雰囲気を持った作品です。 ただ作中作の魅力的ではあるけど無理がありすぎるトリックにちょっと疑問が残ったのですが、これはその某作家のイメージに 合わせたものなのか、それとも強引なメタ構造の弊害によるものなのかがちょっと判別できませんでした。パスティーシュとして トリックの強引性まで再現したのなら文句なしの10点なのですがそうでないのなら8点といったところで、間をとって9点にしておきます。 |
No.1 | 6点 | しゃん | |
(2003/01/09 21:26登録) 作中作を上手く使っている。 文章は上手いとは思わなかったが、非常に丁寧で親切な印象を受けた。物語では作中作と作中現実が交互に語られる。だが、たいして混乱しなかったのは、文章の丁寧さによるのだろう。作中作と作中現実、双方に起こる事件には興味をひきつけられた。読んでいて飽きがこない。 だが、不満もある。丁寧な文章のためだろうか、森江春策が作中策に現実を忘れるほどのめりこむ感じが今ひとつぴんとこなかった。私が森江春策シリーズをほとんど読んでいないせいかもしれないだが。作中策、作中現実共に猟奇的で血みどろなグラン・ギニョールな感じを受けなかったことも残念だった。それから、ラストで明かされる真相も私には、ぴんとこない。 作中のグランギニョール城の作者がカーだからといって、カーを読んだことのない私にはだからどうしたという感じである。カーであることを示す伏線などひょっとしたらあったのだろうか? |