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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1701件

プロフィール| 書評

No.521 4点 曲った蝶番
ジョン・ディクスン・カー
(2013/12/10 19:59登録)
導入部分は非常に惹かれ期待が高まりましたが、読むうちに、だんだん中だるみの感が強くなってしまいました。1年前の殺人事件が、何回も中途半端に語られるのでメインの事件に集中できませんでした。人形の登場も今一つピンときませんでしたし、オカルトチックな雰囲気もあまり伝わってきませんでした。犯人像の伏線もほとんどないし、証言は?????。要は肌に合わなかったということです。


No.520 5点 時を盗む者
トニイ・ヒラーマン
(2013/12/07 08:49登録)
英米ベスト100・ランクイン作品。インディアン遺跡の発掘現場から行方不明になった女性人類学者を探すリープホーン警部。掘削機盗難事件を追うチー巡査。その後、殺人事件が起こり、二人は共同で捜査にあたる。リープホーン警部は妻を亡くしており、その回想シーンや、チー巡査の恋を絡めて物語は進行します。心象風景や、広大な自然の描写、インディアン文化の紹介などが評価されているのか?


No.519 6点 騙し絵の檻
ジル・マゴーン
(2013/12/05 11:23登録)
ビルは、幼馴染の人妻・アリソン、およびその浮気調査をしていた私立探偵を殺害したとして服役する。釈放後、女性記者・ジャンが現れ行動をともにする。ビルは復讐のためにはジャンが邪魔であるが、ジャンはビルを慕う。この辺のやり取りは楽しめました。男冥利に尽きる?(笑)。アリソン殺しをメインに物語は進行するが、容疑者全員にアリバイがあり、動機も見つからない。さて・・・。解説で法月綸太郎氏が、最後10頁の解決篇、、下手に説明しすぎると、あまりにもあくどすぎる印象を与えかねないと誉めていますが、逆にもう少しアリバイや目撃した情景を詳細に描いて欲しかった。さらりと読む私にとっては、本作の良さが判らない。(作者からは、伏線があるじゃないか言われそうですが・・・)。過去と現在が読みにくい点については、時間軸の不明さ(混乱)と、真相の不明さ(メインである逆転)を掛け、あえてそうしているのでは?と深読みしてしまいました(笑)。


No.518 6点 子供たちはどこにいる
メアリ・H・クラーク
(2013/12/04 09:20登録)
米ベスト100の50位(サスペンス部門4位)裏表紙より「夫の声がきこえる―ナンシー、どうしたんだ?子供たちはどこにいる?七年前の実子殺害容疑は、証人が姿を消したため、かろうじて有罪を免れた。頼もしい男と出会い、二人の子供に恵まれ、忌まわしい過去を振り捨てて、新しい生活が始まった。しかし、またもや子供たちは、いなくなった。」・・・警察はナンシーを疑い、物語は進行するのですが、誘拐犯(ロリコン)が当初から登場しますので、ナンシーの容疑の有無については読者にとって問題となりません。従って、どこに犯人が潜んでいるのか、子供たちの運命は?ということを中心に物語は進行します。登場人物の心象もよく描かれていますし、風景も頭に入ってきます。非常に読みやすいし、テンポもいいですね。また、ちょっとしたサプライズも用意されています。アメリカではサスペンスの女王と呼ばれているそうですが、日本での知名度は?。


No.517 8点 永遠の館の殺人
黒田研二
(2013/12/01 18:15登録)
ラスト(キラーXの生い立ち、題名の意味が判明)で久しぶりにゾッとしましたね。シリーズ完結編ということで黒田氏、二階堂氏の意気込みが伝わってきました。サイコ+館ものの夫々いいとこどり(雰囲気)、倒叙形式でスタート、その後叙述へ、殺人者が視点主人公であり、犯人が真相を推理するといった異例展開のオンパレードでした。真相は、前年度発表されたある作品と被ってしまったらしいのですが、サイコ系としては秀逸だと思います。


No.516 5点 千年岳の殺人鬼
黒田研二
(2013/11/30 19:49登録)
仕掛け(殺人方法)が犯人にとって危険すぎる(特に雪崩を誘引しかねない)。というよりリアリティに欠けるきらいがある。第1作と同様、○○像が好みでない。完結編の永遠の館殺人に期待。


No.515 6点 黄色館の秘密
折原一
(2013/11/26 22:33登録)
他サイトでは、好意的な書評が多いような気がしました。ドタバタ・オチャラケ系が好みな結果?。10冊に1冊は、ユーモア系が読みたくなります。そういう意味では、黒星警部シリーズは打ってつけかも。まともなパロディを期待してはいけません(笑)。おおいに笑ったのは、島荘氏の「暗闇坂」のパロディあたりですね。米探偵作家クラブ・アンケートでの一番好きな凶器では、骨付きラム肉(ロアルド・ダール)が第1位となっています。本作は、秘宝館が舞台だけに、それに劣らないような珍凶器が登場します。それに+1点(笑)。


No.514 5点 スモールボーン氏は不在
マイケル・ギルバート
(2013/11/26 13:32登録)
英米の各ベスト100ランクイン作品。物語の筋は面白いのですが、著者の作風なのでしょうか、淡々とし過ぎという印象です。また、主人公が新米弁護士・ブーンなのか、スコットランドヤードの警部なのか、よくわからない点が不満点として残ります。もっと、ブーン(頭脳明晰、不眠の男)の活躍を期待したのですが・・・(苦笑)。弁護士業界なので、不動産担保設定の話が取り扱われています。日英の法律の違いなのか、よく分かりませんが、日本では考えられないような杜撰な一件ですね。


No.513 6点
麻耶雄嵩
(2013/11/24 14:38登録)
プロローグの2月17日朝刊「26日遺体発見」が矛盾しているで、どういうトリックを使うのか?で頭を使ってしまいました。本文で26日は16日の単なる誤植だったことが判明(苦笑、この時点でかなり興ざめ)。女性の存在(目次には載っているのですが・・・)は、物語の流れ・雰囲気を変えてしまったように思え、第2弾の興ざめとなってしまいました。ただ、2つの叙述は面白い試みであると思いました。エピローグでの一人とは、2つの事件が相似形であることより、○名(所在地)より判断すると○○であり、かつ○人であると推測しましたが、さてどうでしょうか・・・。


No.512 7点 海を見ないで陸を見よう
梶龍雄
(2013/11/21 20:07登録)
終戦直後の青春群像を描いた秀作。ミステリー的には、伏線の妙のお手本。


No.511 4点 グラン・ギニョール城
芦辺拓
(2013/11/19 09:49登録)
アイデアは面白かったが、作中作が全然つまらない。3つの事件の伏線は弱いし、真相はかなり無理がある。叙述部分は、アンフェア、また犯人が欧米人に理解できる?といった感想。そんな内容なので、オチは本人と、ファンに対し、失礼に当たるのではと思ってしまいました。


No.510 7点 Killer X
クイーン兄弟
(2013/11/18 12:01登録)
黒田研二氏と二階堂黎人氏のお得意なところ(前者・叙述もの、後者・フェアな伏線の提示・回収)をマッチさせた佳作だと思います。真相は複雑な展開で、少し混乱しますが楽しめました。「口絵代わりの抜粋シーン」ということで、殺人事件?が最初に提示されます。その後、無関係と思われる突き落とし事件が時々挿入され、後半は事件が次から次へと起き、目まぐるしい展開となります。雪山山荘、サプライズの仕掛けなど好みで高評価なのですが、一つだけ駄目な点(○○像)がありマイナス1となりました。


No.509 6点 オイディプスの報酬
リチャード・ニーリィ
(2013/11/15 20:57登録)
サスペンスとしては楽しめましたが、「ニーリィ節」炸裂とまでは言い難い作品でした。刑事が登場し、真相が明らかになるのですが、本格物ではないので推測にしか過ぎない点(刑事も同様に発言)が物足りなさを感じてしまいます。しかし、どこか崩れた人間を描くのがうまい作家ですね。これで翻訳7作品を読了。


No.508 6点 丹波家の殺人
折原一
(2013/11/13 14:34登録)
評価がそれほどでもないので、あまり期待はしていなかったのですが、予想以上に楽しめました。遺産相続に絡む人間模様の醜さ、何通かある遺言書の存在(中身の滑稽さ)、惨劇が最後には喜劇になってしまうあたりですね。雪密室を期待すると拍子抜けかもしれません(本作の方が1991年で先例ですが、1992年の「N」氏の作品を先に読んでいたため感動なし(苦笑))。密室より、大仕掛けなミスディレクションを楽しむほうがよいと思います。ラスト、二転三転するあたりは折原ワールドを楽しめました。特にエピローグ「ねえ、○○、何がおかしいの?」に思わずニヤリとしてしまいました。黒星警部の活躍はほとんどありません。「第一発見者、または使用人が犯人であってはならないルールがある」には笑えましたが・・・。


No.507 6点 レアンダの英雄
アンドリュウ・ガーヴ
(2013/11/12 16:38登録)
原題は「A HERO FOR LEANDA」、邦題より原題の方がしっくりしています。サスペンスより、冒険色の方が色濃い作品でした。主人公マイク(ヨットマン)とレアンダ(独立運動の英雄カステラを崇拝する女性・・・マイクの妻役(偽装))との関係(心理)をもう少し描いてくれたら、もっと楽しめたかな?。


No.506 7点 緑のカプセルの謎
ジョン・ディクスン・カー
(2013/11/08 17:22登録)
「心理学的手法による純粋推理小説」と銘打った本作。物語の展開、心理実験、警部の恋心など申し分なし。容疑者も4人と少なく、アリバイがある。さて・・・といったところですが・・・。減点要因は、子供の犠牲者が出た毒入り事件のトリックと、心理実験のカラクリの一部に好きでない部分があったことです。心理試験は本当に盲点でした(苦笑)。


No.505 7点 天啓の殺意
中町信
(2013/11/07 15:45登録)
作中で、「アクロイド殺し」や「Yの悲劇」に触れていたことに納得。本作のプロットの妙については、折原一氏の作品群よりも年代的に先行している点で評価したいと思います。


No.504 6点 完全犯罪に猫は何匹必要か?
東川篤哉
(2013/11/06 10:48登録)
450Pはちょっと長かった。もう少しコンパクトにならなかったのか?という印象。トリック、凶器のアイデアは十分楽しめたのでOK。ユーモア(ドタバタ調)は前2作からみると控えめな感じ?。しかし、葬儀での滑稽場面が伏線になる辺りは、さすが氏の本領発揮といったところですね。


No.503 6点 殺人方程式
グレゴリー・マクドナルド
(2013/10/23 12:47登録)
MWAの新人賞受賞作品(1975)。同ベスト100の第29位。ユーモアミステリ部門の第1位。新聞記者のフレッチは、麻薬ルートの解明のため、ある海岸に張り込んでいた。その時、見知らぬ男が自分を殺して欲しい、報酬は2万ドルと言ってきた。依頼を承知したフレッチは、男の周辺を調査するのだが・・・。テンポもよく、楽しめました。ユーモアミステリに分類されているようですが、ドタバタ調ではありません。


No.502 9点 葬儀を終えて
アガサ・クリスティー
(2013/10/21 17:59登録)
解説は折原一氏。氏のクリスティ・ベスト1とのこと。読み終わった瞬間、「さすがクリスティ、うまい!」と思いました。一氏のベスト10の中にも未読の作品があり、今後の楽しみとします。



                                                            (以下ネタバレあり・注意)自宅の近隣の夫人とは顔見知りで、挨拶をする程度です。仕事上、ある会社を訪問した時、女性から「○○さん」と声をかけられました。見ず知らずの女性なので、きょとんとしていると「お隣ですよ」と言われましたが、その段階でもまだわからず「△△ですよ」と名前を言われ、初めて近隣の夫人とわかりました。普段着とは違い制服を着ており、化粧も違い、まさかその会社にいるとは思いもよらなかったことから大変失礼なことをしてしまいました。こんな経験があるものですから、本作のプロットは許容範囲ですね(笑)。なにしろ、フェルメールですから、今だったら値段は見当もつきませんね。                                                                     

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