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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1692件

プロフィール| 書評

No.1112 6点 死刑執行人のセレナーデ
ウィリアム・アイリッシュ
(2018/07/05 11:13登録)
刑事プレスコットが休養のため訪れた下宿先で、老人が首吊り自殺に見せかけ殺された。しかし、保安官は事故では?と本気にしない。それが理由とは思えないが、プレスコットは画家のスザンに現を抜かす(笑)。ダンスパーティーでは彼女と踊りたくてたまらないのだが、中々うまくいかない等々。やがて5人が亡くなり、その共通点をプレスコットとスザンの二人で探すことになる。著者の作品でフーダニット(但し本格ものではありません)や格闘シーンがあるのは珍しいのでは?。ラスト、スザンの言葉がおしゃれです。


No.1111 6点 冷たい太陽
鯨統一郎
(2018/06/29 18:32登録)
会話が主体の文章でスラスラ読めるのが利点。トリックは面白いのだが、「やられた感」がなかったことが残念なところ。やはり無理が感じられるのである。身代金の受け渡しなどのアイデアは楽しめた。


No.1110 5点 恐怖同盟
阿刀田高
(2018/06/09 22:23登録)
「顔」「血」「耳」「妖」「老」など、題名は一文字のみの10篇。文体は手紙形式、電話形式、二人称形式、擬人化形式など工夫されています。内容は、覗き、カニバリズム、ドラキュラ、嫉妬、幽霊、幻などバラエティに富んでいます。たまにはブラックユーモアで気分転換という意味での再読でした。


No.1109 4点 斜光
泡坂妻夫
(2018/06/08 17:38登録)
分類は官能ミステリーと言ったらいいのでしょうか(笑)。かなりの官能描写がありますので、その分ミステリー度が弱くなっている感じです。帯には本格推理小説とありますが、推理する要素はほとんどありません。真相もさてどうなんだろう?という程度でした。


No.1108 4点 猫女
泡坂妻夫
(2018/06/07 12:30登録)
「黒猫」「モルグ街の殺人」のオマージュ作品であると思います。残念なのは、ヒロインとなるべき女性2人があまり事件に絡んでこなかった点、オカルト風味(黒猫の怨念)が伝わってこなかった点など、何かチグハグで中途半端な出来栄えという感じです。


No.1107 5点 まほろ市の殺人 春
倉知淳
(2018/06/05 17:58登録)
登場人物に「んな、アホな―」と言わしめています。期待を裏切られるバカミスで、逆に笑えました。著者特有のほんわかとした語り口ですんなり読めました。


No.1106 7点 そしてミランダを殺す
ピーター・スワンソン
(2018/06/05 12:23登録)
裏表紙より~『空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。』~

出だしは「見知らぬ乗客」(パトリシア・ハイスミス氏)に似ています。でも交換殺人ではありません。著者はハイスミス氏の大ファンとのことでした。帯で「この展開、予想できるはずがない!」と煽っています(笑)。一点は物語自体の展開ですね。これは二度ほど「えっ!?」と正直思いました。もう一点は背景ですが、こちらはフランスミステリー(2011年)で強烈な先例がありますので免疫済みでした(苦笑)。男女4人のモノローグ形式でなので、心理状況は良く描かれていると思います。


No.1105 6点 ジェリーフィッシュは凍らない
市川憂人
(2018/06/03 14:24登録)
クローズドサークルに係る構想は高く評価したいと思います。しかし構成が良くなかったような。ジェリーフィッシュ(過去)と地上(現在)の時間軸が相違している点ですね。このことで、サスペンス感・スリラー感が削がれてしまったように感じました。「そして誰も・・・」は犠牲者の恐怖感が主体のスリラーに対し、本作は、それを捨て?警察側のストーリーに力点を置いたということですね。まあ、次回作が念頭にあったから仕方ないのかもしれませんが・・・。


No.1104 5点 死を招く航海
パトリック・クェンティン
(2018/06/02 07:12登録)
フーダニットのミスリードは巧いと思いますが、ハウダニットの描写がおろそかでしたね。また読者への挑戦の二つのヒントはヒントにならない!?(苦笑)。これがわかる人はいるのかなあ?。またコントラクトブリッジというカードゲームを知っていても、そこから犯人は特定できないし・・・。まあ、意外性だけはありましたね。4点に近いのですが甘い採点としました。著者のコンビは、やはりホイーラーとの共作の方が好きです。


No.1103 6点 薔薇荘にて
A・E・W・メイスン
(2018/05/31 14:50登録)
黄金時代以前の作品(1910年)です。物語の構成などは今の時代からすれば異例かもしれません。通常であればダレてしまうような構成ですが、臨場感があり最後まで楽しむことが出来ました。殺害された富裕な老婦人の同居人の娘(ヒロイン)が行方不明となりますが、その生死に係る理由など、うまく考えられていると思います。


No.1102 8点 悪徳の輪舞曲
中山七里
(2018/05/29 12:28登録)
このシリーズに外れなし(笑)。
著者コメントの抜粋です。~『全ての男性にとって母親はアキレス腱である。弁護士にとって最初の敵は依頼人である。依頼人がひた隠しにしている事実を知った上でなければ十全な弁護ができないから、まず依頼人と対決しなければならないのだ。最悪の弁護士・御子柴礼司の次なる依頼人を母親としたのは、そうした必然によるものだった。二重の意味で思うように操縦できない依頼人は、御子柴にとって最悪の相手でもある。今作のテーマもとびきりデンジャラスなものだ。殺人の系譜とも呼ぶべき禁じられた主題だが、仮に禁忌であろうが、触れなければ語れない物語は確実に存在するのだ。とは言え、この小説はエンターテインメントである。小難しい問題はひとまず脇に置いて、ページを開いた方々には眠れない夜をお約束しよう。悪徳は輪舞曲(ロンド)のように旋律(戦慄)を繰り返す』~


著者を好きな理由は、やはりエンタメに徹するという考え方ですね。そういう意味では、「カエル男」に登場する有働さゆりを弁護する御子柴礼司の物語を期待しているところです。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」では、既にそういう設定になっているので・・・。


No.1101 6点 謎のクィン氏
アガサ・クリスティー
(2018/05/22 14:31登録)
「雑誌でこういう短篇が好まれるらしいし、わたし自身好きだが、どんな定期刊行物からの連載申し入れもすべてお断りした。わたしが書きたいと思った時だけに書きたいのである。」(自伝より)ということで、著者の作品群からはかなり距離のあるファンタジー的色彩の濃い作品集。そんな中でも本格ミステリー要素のある作品が4本ぐらいありましたね。「窓ガラスに映る影」「闇の声」など長編で読みたい。でもオカルトチックな展開なので、某巨匠とかぶってしまうか?(笑)。


No.1100 4点 セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴
島田荘司
(2018/05/19 18:19登録)
殺人事件もなく、ファンタジー風な物語。よって、ミステリー度からはこの評価。「シアルヴィ館のクリスマス」が大人向けで、「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」が子供向け?で何となくアンバランスな感じがしました。


No.1099 7点 連続殺人鬼カエル男ふたたび
中山七里
(2018/05/17 10:59登録)
「連続殺人鬼カエル男」(2009)の続編。本作は9年ぶりとなりますが、物語は前回事件より10か月後です。目次では「爆ぜる」「溶かす」「轢く」「破砕」とグロさはバージョンアップしています(笑)。どんでん返し度はそれほどでもなかったのが残念。というより、前作からの流れからして結末はこれしかなかった?。エンタメに徹していますが、刑法第三十九条にも触れています。別シリーズの主人公・御子柴弁護士が「有働さゆり」の担当弁護士として登場するサービスもありました。ということは、「カエル男みたび」?で御子柴弁護士、有働さゆりをメインにした次作があるのか?・・・。


No.1098 6点 殺人は容易だ
アガサ・クリスティー
(2018/05/15 15:20登録)
ノンシリーズもので、元警察官ルークによる私立探偵風な物語です。ノンシリーズで男の主人公は珍しいかも?。ミッシングリンクとミスディレクションのお手本のような作品でした。主人公のルークは、卿の秘書かつ婚約者であるブリジェットに一目ぼれしてしまいます。二人の会話(「あなたは冷酷な悪魔だ」等々)は結構楽しめました。物語は『一瞬の狂気』が主題になっているような気がしました。老婦人の話にある犯人の一瞬の目つきや、インコの首を一瞬に絞めたなど。


No.1097 4点 流転の女
松下麻理緒
(2018/05/11 20:26登録)
32年前に事故として処理された女子大生の水死。13年前の不可解な少女誘拐事件。そして、末期ガン患者だった老人の死。公園の隅にあった1本の柳が切り倒され、その根元から宝石の入った箱が出てきた。やがて3つの事件が繋がっていく・・・。

題名から、サスペンスものを期待したのですが、事故や事件そのものがあまり面白くなかった。よって結末も・・・。まあ読み易い文章ではありますが。題名の「女」とは誰で、どんな意味なのか?の方が謎です。


No.1096 5点 ファミ・コン!
鏑矢竜
(2018/05/09 16:26登録)
別サイトで、ライトノベルとしては非常に質と完成度の高い作品だと思うとの評がありました。ラノベを読まない私にとっては本評価は難しく、結局、今まで通りミステリー度を基準にし評価しましたので辛目の採点かも。ボーイ・ミーツ・ガール的観点からすれば、もっと主人公・紡とヒロイン・幽との感情を描いて欲しかった。そうすれば、2種類用意されていた落ちがもっと生きたように感じました。


No.1095 8点 アルファベット・パズラーズ
大山誠一郎
(2018/05/08 21:00登録)
「Pの妄想」と「Fの告発」が前振りで、「Yの誘拐」が本命という構成(文庫版では「Cの遺言」が追加されています)。「P」と「F」はあまりピンときませんでした(苦笑)。本評価は「Y」のみの評価ということで。「Y」は手記形式です。よって、当然注意深く読みました(笑)。結果は案の定か?と思ったら気持ち良く、うっちゃられました。評価は結構割れているようですが、なかなかの傑作であると思います。


No.1094 5点 密室蒐集家
大山誠一郎
(2018/05/08 20:59登録)
好みの問題でこの評価。残念ながら、うーんと唸るものがなかった。著者はあえてやっているようですが、偶然が多いことが気になります。探偵役の推理が飛躍し過ぎて、そんなこと解かるわけないだろうと突っ込みたくなってしまった(笑)。


No.1093 6点 誤算
松下麻理緒
(2018/05/04 18:36登録)
裏表紙より~『貧乏くじを引き続けた女に、一発逆転のチャンス到来か? 前夫のためにすべてを失った買わぬら奈緒は、大資産家で重い病気を患う鬼沢丈太郎の住込み看護師として働き始める。鬼沢を取り巻く家族は、莫大な財産を狙って欲をむき出しにするものばかり。呆れる奈緒だったが、彼女にも遺産相続のチャンスが訪れる。しかし、それは罠かもしれなかった―。第27回横溝正史ミステリ大賞・テレビ東京賞受賞作!』~

帯に「こんな面白い本10年間も眠らせていてすみません」とあり、思わず手に取りました。内容的には、ありがちな遺産相続の話ですが、主人公(女性看護師)に恥ずかしながら感情移入してしまいました(笑)。非常に読みやすかったですね。

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