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ミステリの祭典

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ファミ・コン!

作家 鏑矢竜
出版日2012年04月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 5点 いいちこ
(2022/07/01 17:37登録)
アイデアは抜群に独創的であり、筋も悪くないので、読後感は悪くない。
したがって、批判的なスタンスをとるつもりはないのだが、最終盤のサプライズ以外に何かをもたらす作品ではないだけに、1個のミステリとして、作品としては、この程度の評価としたい

No.3 5点 蟷螂の斧
(2018/05/09 16:26登録)
別サイトで、ライトノベルとしては非常に質と完成度の高い作品だと思うとの評がありました。ラノベを読まない私にとっては本評価は難しく、結局、今まで通りミステリー度を基準にし評価しましたので辛目の採点かも。ボーイ・ミーツ・ガール的観点からすれば、もっと主人公・紡とヒロイン・幽との感情を描いて欲しかった。そうすれば、2種類用意されていた落ちがもっと生きたように感じました。

No.2 7点 メルカトル
(2018/05/03 22:23登録)
あの歴史ある、そして由緒正しいSRの会(実はSRが何の略かも知らない)の俎上に載せられるほどの作品であるならば、これは読むしかないと一念発起しました(大げさ)。ラノベ風ですが読み応えは十分あります。カテゴリーとしては青春ミステリに入るのでしょうが、個人的には青春小説+冒険活劇+健全な変態小説といった趣を感じます。
その場その場での言葉のチョイスの堅実さや、時にハッとさせられるような、読者の想像力を掻き立てられる描写が心に沁みます。また登場人物が多い割には秀逸なキャラ設定、印象に残る人物像など、新人離れした構想力、文才が感じられます。

しかし、本格ミステリの鬼が集うであろう組織SRの会(ど素人の私などは秘密結社的なイメージすら抱いていたけれど、実は公に活動をしているらしい)も、このような砕けた作品にすら触手を伸ばしているというか、意外に守備範囲が広いのには少々驚きました。そしてその慧眼の鋭さにも。さすがSRの会に取り上げられるだけのことはあります。面白いですね。

新刊は入手困難な本作ですが、これはお勧めできる一作です。軽いと言えば軽いですが、そして誰かの言を借りるなら西尾維新に似た作風かとも思いますが、取り敢えず読んでいる最中は夢中になれます。それは間違いないですよ。
さらに、終盤の畳みかけるような展開と待ち受けるサプライズの波状攻撃に、酔いしれることができます。

No.1 7点 人並由真
(2018/03/21 11:52登録)
(ネタバレなし)
 弁護士・連城雄大の長男である「僕」こと高校三年生の紡(つむぐ)は、この若さで家を追い出され、そして婚約することになった。その騒動のきっかけは、父が家に、紡と同じ年の薄幸の美少女・雛咲幽(ひなさき かすか)を連れてきた夜から始まる……。

 自分が所属するミステリーサークル・SRの会の正会誌「SRマンスリー」の最近の号の<新本格30周年記念特集>のなかでの<あまり語られないが改めて注目してみたい、この30年のなかの作品群>という趣旨の記事中で紹介されていた一冊。
 本書は2010~2011年頃のメフィスト賞応募作で、受賞はしなかったものの関係者の反響を得て刊行された長編。今のところ作者の(少なくともこの名義での)著作はこれ一作のようである。ちなみにタイトルの意味は旧世代の家庭用ゲーム機のことではなく、何を表意するのかは、よく見ると表紙に書いてある。
 
 くだんのSRマンスリーでの本書の紹介文がなかなかくすぐりが効いていたので(かなり変な型破りの作品だとか)、これで興味が湧いて手に取ってみた次第。
 でもって中味は設定&導入部どおりのシチュエーションコメディ風ラノベ。ものの見事にラノベ。
 大筋はヒロイン・幽の窮地を救おうと、周囲の人々の協力を得ながら八方破れに駆け巡る主人公・紡のコミック的な奮闘を追い続ける。

 しかしこれがミステリとして評価されているということは……最後にどう着地するんだろうと思いつつ読み進めても、なかなか底が割れない。
 …と思いきや、最後の最後で、はああああああというオチが待っていた。個人的には、大昔に読んだクリスティーのあの作品(断っとくが非・ポアロものだよ)に匹敵するサプライズで、なるほどこれは印象に残る。同時にこんなアホなことをやり遂げた作者にも、そして当該の作中の登場人物の行動にもある種のダイナミズムを称えたくなるような感慨が湧く。
 Amazonの評は賛否に分かれていた(といっても2つだけだ)が、個人的にはノリのいい随所のボケとツッコミのギャグもなかなか面白かった。
 この作者の人、今は何をしているんだろ。なんか別名義で人気のラノベとか書いていそうな気もするんだけれど。

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