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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1692件

プロフィール| 書評

No.1212 3点 ロード・キル
ジャック・ケッチャム
(2019/06/03 17:14登録)
病めるアメリカをオフ・ビート感覚で描き切る超異常心理スリラー、スティーヴン・キング絶賛とあるが・・・。


No.1211 3点 悪魔の関係
笹沢左保
(2019/05/31 18:12登録)
裏表紙より~『夫が16歳年下の女・マチ子と服毒心中! 遺体確認のため現地を訪れた妻・香代は、マチ子の婚約者・乙也に魅せられる。そして通夜の晩、ついに乙也に抱かれる香代……しかしそこに刑事が!? 執拗な愛撫に身を灼く香代の脳裏に黒い疑惑が。――魔性を秘めた男女の愛憎を、鮮烈な官能描写で描く大好評「悪魔」シリーズ』~

まずの驚きは、著者がこのような官能小説を書いていたことです(笑)。スポーツ紙に連載されたということで、まあ内容は推して知るべしですね。ミステリー部分はそれなりのオチはあるのですが、そこに至る過程がご都合主義と言われても致し方ない。


No.1210 6点 黒い睡蓮
ミシェル・ビュッシ
(2019/05/29 21:24登録)
フェアかアンフェアか?。完璧にアンフェアです(笑)。2004年の浜名湖花博で見学した「モネの庭」をイメージしながらの読書。ラストがよかったという書評が多いが、さて・・・。


No.1209 6点 夜市
恒川光太郎
(2019/05/23 14:08登録)
~何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ「夜市」に迷い込んだ祐司は、あるものと引き換えに野球選手の才能を手に入れた。エースとして成長した裕司ではあるが、罪悪感にさいなまれていた~

「夜市」「風の古道」の2中編。「夜市」は第12回・日本ホラー小説大賞受賞作。しかし、完全にファンタジーの世界です。たまにはいいかも。


No.1208 6点 魔眼の匣の殺人
今村昌弘
(2019/05/21 22:34登録)
緊張感がなかったことが残念。それは葉村譲視点に起因するものと思います。彼は前作で殺人不感症におちいっています。よって彼が殺人に関し、ハラハラドキドキしなければ、読者も同様にハラハラドキドキしません。動機は新機軸で新鮮なのですが、いま一つ納得性に欠けていました。一人の動機であれば、まったく問題ないのですが・・・。本作の場合、ご都合主義と言われても致し方ない。光っている点は、時計に関するロジックですね。まあ、前作が強烈過ぎたので、それと比較して本作はこの点数で。


No.1207 7点 放課後
東野圭吾
(2019/05/17 20:15登録)
意外と評価が低いのが驚きです。評価者の半数の方が動機に触れ、その動機についての否定派が肯定派の倍数となっていますね。そんなところが要因かと・・・。現代なら、それほど話題にならないのかも?。時代を感じます(1985年発表)。高評価は、数点の二段構えの構成が光っている点です。まあ、伏線など○が怪しい等、あざといものもありましたが・・・(笑)。


No.1206 5点 白銀の逃亡者
知念実希人
(2019/05/14 20:04登録)
若者向けのSF・ファンタジー系のサスペンスといえるのかも。もう少し、捻り(どんでん返し)を期待したのですが、ストレートに終了してしまいました(苦笑)。ストーリー自体に特出したものがないのが残念な点。まあしかし、ほろりとさせるのは巧い!。


No.1205 6点 アニマル・アワー
アンドリュー・クラヴァン
(2019/05/12 19:34登録)
裏表紙より~『ハロウィーンの朝、ナンシー・キンケイドは弁護士事務所に出勤するが、誰も彼女をナンシーとは認めない。バッグには見覚えのない拳銃、そしてしきりに頭に去来する“獣の刻だ。その時彼は死ぬ”という言葉。パニックに襲われ、街を彷徨う彼女(以降カット)』~以降は200頁くらいまでのあらすじが書かれており、かなりのネタバレになっています。

魅力的な謎で読者を翻弄する手腕はさすがと思いました。主人公ナンシーと詩人オリヴァーとその弟ザカリーの物語が、それぞれの視点で進みます。全く関連のない話が最後に収束するという形式ですが、いやはや530頁と長すぎますね(苦笑)。コンパクトであれば、もっと読まれてもいいかな?といった印象です。サイコ系のラストを予想していたのですが、イメージと違ったものでした。その点は良。


No.1204 4点 切り裂き魔の森
マーガレット・トレイシー
(2019/05/05 15:09登録)
裏表紙より~『緑の森に囲まれた家、やさしい夫と2人の子供。ホワイト夫人の生活は平穏だった。ある日までは…。町を恐怖に陥れている連続殺人、その発生日に限って夫の帰宅が遅いことに気づくまでは…。被害者はすべて女性、遺体は見るも無惨に切り裂かれているという。彼女が思いだしたのは、高校時代の夫が森の鹿狩りで示した或る異常な行動だった―異色の手法が醸成する比類なきサスペンスの冴え。』~

アンドリュー・クラヴァン氏のデビュー作(弟との合作で別名義)。連続猟奇殺人事件が起き、もしかして自分の夫が犯人?というもの。しかし、読者は最初から夫が犯人とと知らされているので、興味は半減。それでも最後まで読ませるのは、さすがMWA賞受賞作。


No.1203 4点 寝台車の殺人者
セバスチアン・ジャプリゾ
(2019/05/02 22:24登録)
フランス、リヨン駅に着いた寝台急行列車のコンパートメント内で、女性乗客の死体が発見された。金は盗まれていない。怨恨か?。相客は女性三人、男性二人。捜査を尻目に次々と殺されていく同室の客たち。「シンデレラの罠」の鬼才S・ジャプリゾのデビュー作。

当時、謎めいた文体が新鮮であったらしい。しかし、訳文のせいか非常に読みにくい。一人称と三人称がごったくたになっている文章がある。ストーリー展開は有名な前例があり、今一つの感。本格ものとも言えないし、サスペンスフルとも言えなかった。


No.1202 4点 妻という名の見知らぬ女
アンドリュー・クラヴァン
(2019/04/29 21:22登録)
裏表紙より~『私はキャル・ブラッドリー、小さな田舎町でクリニックの所長を務める精神科医だ。妻マリーとは結婚して十四年、今なお変わらぬ美しさの妻に、私はぞっこんだった。かわいい三人の子供にも恵まれ、私のような風采の上がらない中年男には、これ以上望むべくもないほど幸せで穏やかな人生を手に入れていたはずだった…あの青年が目の前に現れるまでは。過去、そして現在まで築き上げたものすべてが一瞬にして崩れ落ちてゆく―男と女、夫と妻のあいだに横たわっているものとは!?嘘と幸福がもつれあう、ひそやかな恐怖と衝撃の物語。』~


大方のストーリーは題名からも予想がついてしまいます。よって、サスペンスフルな展開のみを期待したのですが、なかなか事件は起こらず中だるみの感。主人公の一人称で語られるので、主人公自身の内面との闘いがメインで、ミステリーというよりも一般小説に近いのかもしれません。そういう意味で辛目の採点。


No.1201 9点 あなたのための誘拐
知念実希人
(2019/04/18 09:05登録)
主人公は元刑事。妻とは離婚、不倫相手だった同僚とも別れた。彼は癌を患い、身体も心もボロボロ。唯一の楽しみは一か月に一回、娘と会うことだけであった。こんな設定に違和感を覚えつつ一気読み。ノンストップで、クライマックスへ。ところがまだ200頁も残っている。この時点で8点確定(笑)。あらためて、自分はサイコ系が好きなんだなと思った次第です。


No.1200 5点 黒死館殺人事件
小栗虫太郎
(2019/04/15 21:39登録)
万人に理解不能が「奇書」であれば、まさしく本書は奇書である。三大奇書が東西ミステリーベスト100の上位にランクインしているのが不思議で仕方なかった。文芸批評家・郷原宏氏の座談会の会話~小栗虫太郎はカチッとした長編は「黒死館」しかないし、夢野久作は「ドグラ・マグラ」しかない。中井英夫さんは「虚無への供物」。つまり、これしかないという本当の代表作をもった作家は得なんです。~これを読み、ああ、成る程と(笑)。「虚無」8点、「ドグラ」5点、「黒死館」5点となったわけですが、結局、理解できたかどうかが基準になったような採点でした・・・(トホホッ)。


No.1199 7点 模像殺人事件
佐々木俊介
(2019/04/14 20:47登録)
あるプロットの先例作品(更なる先例もあるようですが)ということで拝読。オチはわかっているはずなのに、うまく騙されました(笑)。現代の物語ですが、全篇に亘る古風な雰囲気が魅力的です。二人の「包帯男」が自分が当家の長男と主張します。この事件はあっけなく決着がついてしまいますが、その後に、フーダニットでもハウダニットでもない、ホワットダニット(何が起こったのか?)に移行します。このあたりが珍しい作品。


No.1198 5点 到達不能極
斉藤詠一
(2019/04/13 20:04登録)
「BOOK」データベースより~『二〇一八年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていない「到達不能極」基地を目指す。一九四五年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチス・ドイツの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。現在と過去、二つの物語が交錯するとき、極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます!』~

第64回江戸川乱歩賞受賞作。ジャンルが悩ましい。ジャンルを書くとネタバレになる?と思ったが、紹介文に”冒険×SF×ミステリー”とあり、とりあえず「冒険」に一票。乱歩賞のイメージとは、かなりかけ離れた作品ですね。冒険部分は十分楽しめましたが、後半のSF的部分は?マーク。恋愛要素をもっと強く押し出した方が良かったかも。


No.1197 7点 チェインドッグ
櫛木理宇
(2019/04/10 15:55登録)
久しぶりに「最後の一行」的な作品に出会いました。サイコパスの過去の調査過程をもう少しカットして、主人公がサイコパスに魅かれていく過程をじっくりと描いてくれれば・・・と、ないものねだり。題名は改題後の「死刑にいたる病」の方がいいですね。


No.1196 5点 首無館の殺人
月原渉
(2019/04/07 17:44登録)
首なしの理由は好印象で+1、しかしメインプロットに既視感あり(黒〇〇〇惨〇)で-2。表紙からするとラノベではないと思いますが、内容はややラノベ風。特に探偵役。


No.1195 6点 穢れた風
ネレ・ノイハウス
(2019/04/06 09:50登録)
裏表紙より~『風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室のデスクにハムスターの死骸が残されていた。これは何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに殺人が…。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。巨大な陰謀に呑み込まれる刑事たち。』~

本シリーズの魅力は、主人公オリヴァーとピアの私生活がかなりのウェイトで描かれていることにあると思います。今回はオリヴァーが集会の暴動に巻き込まれ死ぬ思いをする。精神的に参っているとき、ある女性にめぐり逢い惹かれてしまう。そして、事件どころではなくなって、腑抜けになってしまうというものです。しかし、単なる恋愛物語だけではなく、その女性には秘密があるといったような、ちょっと複雑な構造になっています。いろいろなテーマを詰め込み過ぎで、576頁と長くなっているきらいもありますが、ワンカットが短く、スピード感はあります。ドイツ本国ではシリーズ8作目まで刊行されているようです(邦訳は6冊)。


No.1194 8点 崩れる脳を抱きしめて
知念実希人
(2019/03/31 10:31登録)
3分の2くらいまではコテコテの恋愛ストーリー。そんな中、主人公(研修医)の父親にまつわるエピソードが挿入される。それは、ミステリーが一冊書けるかも?といった内容。しかし、いとも簡単に片付けられてしまう。ということは、ラストにかなりのどんでん返しが期待できそう。しかし、夢落ち???!!!。でもあと20頁残っていますよ・・・。現役の医師でもある著者に翻弄されてしまいました。


No.1193 5点 死体は笑みを招く
ネレ・ノイハウス
(2019/03/28 17:26登録)
裏表紙より~『動物園で左腕と左足が切断された死体が発見される。殺人捜査課の刑事オリヴァーとピアたちの捜査で、被害者は環境保護活動家だと判明。彼は動物園付近の道路建設における環境破壊や動物園のあり方を批判していた。殺人の動機はそこに? だが被害者は様々な人間に憎まれており、捜査をすればするほど容疑者が増えていく。さらに第二の殺人が……。』~

邦訳は4作目となりますが、シリーズでは第2作目です。発表順に読んでいないので、主人公オリヴァー主席警部とピア警部を取り巻く人間関係が、おやっ、こんな関係ではなかったはずと混乱してしまいました。しかし、このシリーズは容疑者が多すぎますね(苦笑)。事件は特にこれといった特徴のあるものではなく、副主題であるピア警部の恋愛絡みの方が面白いというのが残念な点。

余談~2006年6月15日(木)動物園で人の手が発見される・・・で物語が開始されます。この日、私はドイツ、ミュンヘンに降り立っていました。W杯ドイツ大会です。物語の中でもドイツ戦や、日本戦に触れられていました。「刑事のフランクは、FIFAのチケット購入で運に恵まれ、死んでもドルトムント(試合会場)にいくといっていた。」その気持ち、わかる、わかる(笑)。

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