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ミステリの祭典

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白銀の逃亡者

作家 知念実希人
出版日2016年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 蟷螂の斧
(2019/05/14 20:04登録)
若者向けのSF・ファンタジー系のサスペンスといえるのかも。もう少し、捻り(どんでん返し)を期待したのですが、ストレートに終了してしまいました(苦笑)。ストーリー自体に特出したものがないのが残念な点。まあしかし、ほろりとさせるのは巧い!。

No.1 6点 人並由真
(2016/09/02 08:33登録)
(ネタバレなし)
 2016年9月。世界を席捲した人類未知の新型伝染病「ドナルド・ミュラー症候群(DoMS)」は、致死率95%の猛威で多くの人々の命を奪った。だがその奇病の災禍から幸いに生還しえた者は、銀色の瞳と超人的な体力を持つ夜行性の人間「バリアント」として新生する。地上の人々が「ドラキュラ病」患者の別称を授けてバリアントに警戒の目を向けるなか、そのバリアントにからむ「ある事件」が報道され、社会は強硬なバリアント隔離策に向かいだす。それから4年、自分がバリアントである素性を巧妙に隠しながら社会の片隅で生きてきた青年医師・岬純也は、ある夜、同じバリアントの美少女・悠に出会う。そしてそれこそが、純也の、そして人間とバリアントすべての未来に関係する新たな事件の幕開けだった・・・。

 幅広い作風で読者をもてなす作者の本書は、SF設定を導入したサスペンススリラー。純也を軸とする巻き込まれ型サスペンス、さる事情から執拗にバリアントを憎悪する公安刑事の敵役ぶり、純也と悠のどこかに常に緊張を孕んだラブコメ、バリアント強硬派の進める謎の計画、バリアントを同じ人類として認めようとする良識派と排除を図る保守派の政治家同士の相克…などなどエンターテインメントとしての具材は潤沢に備えており、これはこれで良くまとまっている。まぁ人によっては活字で書いたコミックとか、随所で出てくるヒューマニズム描写が安っぽいとか、ひと時代前風の悪口を言いそうではあるが。
 それで一カ所だけ重箱の隅。318ページの9行目にいきなり「青木」なる人名が出てくるが、これたぶん、序盤から登場している若手公安刑事「青山」が正しいよね? 再版の際に直しておいてください。

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