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ミステリの祭典

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穢れた風
オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン&ピア・キルヒホフ

作家 ネレ・ノイハウス
出版日2017年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 HORNET
(2022/07/28 21:47登録)
 風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が見つかった。同時に、なぜか社長室の机の上になぜかハムスターの死骸が。一体何を意味しているのか?捜査を進めると、背景には風力発電、再生可能エネルギーに関わる利権や私怨がうごめく。人々の欲望と巨大な陰謀を目の当たりにする刑事オリヴァーとピア、事件の全体像はいったい―

 オリヴァー、ピアを取り巻く常連陣のプライベートな内容もかなり織り込まれているのは本シリーズの「売り」でもあるが、ややもするとミステリ以上にそちらに興味がいってしまうのはよいのか悪いのか。
 風力発電、さらには地球温暖化に関する疑獄という大きな枠組みの中で、極めて狭小な人の欲が揺れ動く様はなかなか面白かった。
 そうした物語としての面白さが勝つからか、「ミステリ」としての驚きや感動は印象にない。総じて、読み進めるのは楽しかったが、内容はあまり記憶に残らないだろう。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2019/04/06 09:50登録)
裏表紙より~『風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室のデスクにハムスターの死骸が残されていた。これは何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに殺人が…。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。巨大な陰謀に呑み込まれる刑事たち。』~

本シリーズの魅力は、主人公オリヴァーとピアの私生活がかなりのウェイトで描かれていることにあると思います。今回はオリヴァーが集会の暴動に巻き込まれ死ぬ思いをする。精神的に参っているとき、ある女性にめぐり逢い惹かれてしまう。そして、事件どころではなくなって、腑抜けになってしまうというものです。しかし、単なる恋愛物語だけではなく、その女性には秘密があるといったような、ちょっと複雑な構造になっています。いろいろなテーマを詰め込み過ぎで、576頁と長くなっているきらいもありますが、ワンカットが短く、スピード感はあります。ドイツ本国ではシリーズ8作目まで刊行されているようです(邦訳は6冊)。

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