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ミステリの祭典

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蟷螂の斧さんの登録情報
平均点:6.10点 書評数:1692件

プロフィール| 書評

No.1292 6点 Y駅発深夜バス
青木知己
(2020/01/29 08:34登録)
①Y駅発深夜バス 7点 ホラー?といった不思議な雰囲気、テイストが良い。ラストは当然そうなるよね(笑)。
②猫矢来 6点 日常の謎+青春ミステリー。ほろ苦い。
③ミッシング・リング 5点 アリバイ崩し。 曖昧な10分間。うーんどうなんだろうといった感じ。
④九人病 6点 ホラーはあまり好きではない分野だが、ホラーのままの方がよかった。
⑤特急富士 8点 本人たちはいたって真面目。こういうユーモア作品は大好き。


No.1291 8点 黒い画集
松本清張
(2020/01/26 10:42登録)
①「遭難」10点 プロット、ロジック、心理描写、ラストと申し分なし。
②「証言」6点「嘘には嘘が復讐する」には思わずニヤリ。
③「天城越え」9点 30年前を思い起こすシーン。その余韻は味わい深い。
④「寒流」7点 上司に愛人を取られ、そのうえ左遷までさせられた男、さてどうする?。笑えます。
⑤「凶器」6点 ロアルド・ダール氏の「おとなしい凶器」のオマージュなんでしょう。
⑥「紐」9点 二転三転する真相。一捻りがにくい。
⑦「坂道の家」6点 キャバ嬢に貢いだ中年男の悲哀。ミステリー的には弱いが、男心はわかる、わかる(笑)。


No.1290 7点 八人の招待客
パトリック・クェンティン
(2020/01/21 14:16登録)
「八人の中の一人」(1936年)6点
大晦日の夜、高層ビルの40階に閉じ込められた7人の株主と秘書。持ち株の多い人物が狙われる。この非常時に秘書に求婚する者が二人も現れる?!・・・。その真相は?。おしゃれなクローズド・サークルものの中編。
「八人の招待客」(1937年)8点
吹雪の館に集められたのは、共通の脅迫者を殺害しようとする7人、および脅迫者本人。しかし、脅迫者に密告する裏切り者が出現、更に脅迫者は養女を連れており身の安全を図っている様子。さて、計画は実行できるのか?。サスペンスの盛り上げ方や、脇役の扱い方が巧いですね。ないものねだりですが長編で読みたいところ。
裏表紙に「そして誰もいなくなった」に先行する云々とありますが、アイデア・モチーフのヒントといった程度だと思います。


No.1289 8点 山猫の夏
船戸与一
(2020/01/19 21:51登録)
「東西ミステリーベスト100」第46位
「赤い収穫」(ダシール・ハメット)~「用心棒」「椿三十郎」(黒澤明監督)~「荒野の用心棒」(マカロニウェスタン)~「山猫の夏」というような系譜になるのでしょうか。山猫のキャラクターが際立っていますね。ニッと笑うというところなどは、用心棒のラストシーンの三船敏郎さんとダブってしまいました。「いつのまにか砲撃の音が消えている。聴こえるのはヴェトナム老人の槌の音とソフィア・ジェルミの足音だけであった。」何故か、この文章が気に入りました。音響効果?(笑) なお、ロミオとジュリエット張りの駆け落ちの結果は残念なところ。何とかならなかったのでしょうか?・・・。
余談。「東西ミステリーベスト100」の中でも、ハードボイルド系やスパイ冒険もの系が未読でかなり残っているのが現状です。本サイトで取り上げられると刺激を受け、読まねばという気持ちになるのでありがたいです。


No.1288 3点 女捜査官
島田一男
(2020/01/15 10:38登録)
裏表紙より~『東京湾から引き上げられたクルマの中に、東武大学の小田幸次郎教授の溺死体があった。彼は軽油の増力剤の発明で、業界の利権争いの渦中にいた。 晴海署の交通係、塩路勝子、大浜政子の二人は、女性特有のカンで犯罪の匂いをかぎ、小田の華やかな女性関係から捜査を開始した。』~
真相、犯人像ともいま一つ。当時(1981年)の世相を描いているようですが、女子大学生の性意識があまりにも短絡的に描かれ、現実味に乏しいもので白けてしまいました。


No.1287 6点 法月綸太郎の功績
法月綸太郎
(2020/01/12 16:57登録)
「イコールYの悲劇」「ABCD包囲網」はオマージュという縛りのある中で、よく考えられた作品であると思います。本サイトで高評価の「都市伝説パズル」は疑問点があり、評価としてはまあ普通といったところ。
①「イコールYの悲劇」 ダイイングメッセージものは、こじつけが多い中、本作は十分納得できます。D・Mものの新機軸で今のところNo.1です。蛇足ですけれど、YはRの小文字「r」が「Y」にも見えると考えれば、不自然ではないと考えます。7点
②「中国蝸牛の謎」 これもオマージュですが、やや無理があるような。5点
③「都市伝説パズル」 第二の容疑者に関し、「もっとほかにやり方があるのに、どうしてそんな回りくどい、手の込んだ計画をたてなきゃならんのだ?」と、あっさり容疑者から排除されます。「えっ!?」と思う次第です。犯人があえてそのように仕組んでいるという可能性が排除できないからですね。本作の他の作品にも回りくどい手の込んだトリックが多々あるわけですから・・・(笑)。ロジックが評価されているようですが、その点どうなんでしょう?。6点
④「ABCD包囲網」犯人の隠匿方法として、非常によく考えられた作品。7点
⑤「縊心伝心」無理やりロジックを構築したような感じを受けるのですが。6点


No.1286 6点 金庫と老婆
パトリック・クェンティン
(2020/01/09 13:01登録)
著者らしい作品は表題作の「金庫と老婆」、その他はブラックユーモア系と○○コンプレックス系。ベストは、乞食の美少年を養子にしてみたら・・・の「少年の意志」

①「ルーシーの初恋」マザコン 7点
②「汝は見たもう神なり」ロリコン 7点
③「不運な男」ブラックユーモア 5点
④「ミセス・アプルビーの熊」ブラックユーモア 5点
⑤「親殺しの肖像」ファザコン 6点
⑥「少年の意志」ブラックユーモア 7点
⑦「母親っ子」マザコン 5点
⑧「姿を消した少年」マザコン 6点
⑨「金庫と老婆」サスペンス 7点


No.1285 7点 マルタの鷹
ダシール・ハメット
(2020/01/01 13:12登録)
(再読)「東西ミステリーベスト100」第36位。<英10位、米2位>

(ネタバレあり)「赤い収穫」より本作の方が全体的にスマートな感じを受けました。この作品でハードボイルド系の探偵役の姿が確立したように思います。更にその後に続く○○○○が犯人という基本形も・・・。 「うまくいけば終身刑。二十年たてば出られるということだ。きみは天使だよ。ずっと待っていよう」「もしきみが首を吊られたら、忘れずにいつまでも憶えていてやる」「愛していると思うよ。だからどうだというんだ」ハードボイルド系愛の言葉集です(笑)。

これで以下(参考)の英米人気作品の上位10冊を読み終えることになりました。
(参考)本ランクは『史上最高の推理小説100冊』(1990年英国推理作家協会)と『史上最高のミステリー小説100冊』(1995年アメリカ探偵作家クラブ)の順位を単純に合算したもの。()は(英)(米)の順位。≪≫<>「東西ミステリーベスト100」《2012年》〈1985年〉の順位。点数はマイ評価と本サイト平均点(本日現在)
1位 『時の娘』ジョセフィン・テイ(1)(4)《39》〈44〉6点 6.23点
2位 『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ(3)(6)《-》〈33〉8点 7.29点
3位 『大いなる眠り』レイモンド・チャンドラー (2)(8)《-》〈43〉5点 6.15点
4位 『マルタの鷹』ダシール・ハメット(10)(2)《36》〈19〉7点 6.09点
5位 『レベッカ』ダフネ・デュ・モーリア(6)(9)《—》〈68〉9点 6.40点
6位 『月長石』ウィルキー・コリンズ(8)(7)《67》〈51〉7点 7.43点
7位 『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー(5)(12)《5》〈8〉10点 7.91点
8位 『ホームズ・シリーズ』アーサー・コナン・ドイル (21)(1)《3》〈10〉8点 8.17点
9位 『学寮祭の夜』ドロシー・L・セイヤーズ(4)(18)《—》〈—〉6点 7.38点
10位 『ポー作品集』エドガー・アラン・ポー(23)(3)《34》〈36〉6点 6.14点                                     (*)「ホームズ・シリーズ」は「シャーロックホームズの冒険」「ポー作品集」は「モルグ街の殺人」を代用 


No.1284 6点 赤い収穫
ダシール・ハメット
(2019/12/31 21:01登録)
東西ミステリーベスト100の第38位。まず、マカロニウェスタンを思い起こしました。「荒野の用心棒」は「用心棒」(黒澤明監督)のパクリであり、その「用心棒」は本作からインスパイアされているので、当然と言えば当然ですね。007などへの影響も多大であると思います。ただ筋としてはそれほど面白くなかった。あと気になったのは、なぜ名無しの権兵衛なのか?。ホテルにいる「おれ」を第三者が訪ねてくるのですが、名前はどうなっているの???(偽名を使うのはわかっているのですが・・・)。ハードボイルドの嚆矢である点を加味しこの評価です。


No.1283 6点 ミステリの名書き出し100選
事典・ガイド
(2019/12/25 21:00登録)
35人の評者(評論家や翻訳家)による選出。まず海外作家100人を選出し、その著作の中から名書き出しを選ぶという方法です。よって純粋な意味での百選ということにはならないような気がします。全体的にハードボイルド系、冒険ものが多い?。未読のものが多いのでそんな気がするだけかも・・・。マイベスト10は下記の通りとなりました。( )内はマイ評価点

①夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。
②パリは4月である。雨もひと月前ほど冷たくはない。といって、たかがファッション・ショーを見るために濡れて行くのには寒すぎる。 
③バーボンをダブルで二杯ひっかけたジェイムズ・ボンドは、マイアミ空港の搭乗ラウンジにおさまって、生と死について考えていた。 
④外は、あったかい、なやましい夜だ。そして、アパートの部屋では、あったかい、なやましい金髪女がまっているのに―。
⑤彼女がはいってくるのが見えた。それに気づかずにいるほうが難しかった。 
⑥「フェルナン、おねがいだから、すこしじっとしていてちょうだい」
⑦午前二時五十分、ウェルズの町はグッタリと暑気の中に沈潜していた。 
⑧その声はしずかで、微笑みを帯びていた。
⑨わたしは一人の男を殺そうとしている。
⑩計画はまことにうまく進捗していた。おそろしく見事に運んでいた。

①「幻の女」ウィリアム・アイリッシュ(8点)
②「深夜プラス1」ギャビン・ライアル(8点)
③「007・ゴールドフィンガー」イアンフレミング(8点)
④「死体置場は花ざかり」カーター・ブラウン(未読)
⑤「八百万の死に ざま」ローレンス・ブロック(未読)
⑥「悪魔のような女」ボアロー&ナルスジャック(6点) 
⑦「夜の熱気の中で」ジョン・ボール(6点) 
⑧「狙った獣」マーガレット・ミラー(8点) 
⑨「野獣死すべし」ニコラス・ブレイク(8点)
⑩「死の接吻」アイラ・レビン(7点) 
評論の中で面白そうな作品が10冊程度見つかりましたので、順次手にしてみたいと思います。


No.1282 5点 大いなる眠り
レイモンド・チャンドラー
(2019/12/25 20:48登録)
東西ミステリーベスト100(1986年版)第43位。一言でいえば、「筋はごちゃごちゃしているが、主人公のキャラは際立っている」ということでしょうか。本作は「長いお別れ」を抑え、英では2位、米では8位と断トツに人気のある作品ですね。追い込まれても、へらず口を叩くタフな探偵・フィリップ・マーロウの初登場ということが理由でしょうか?。私的には「長いお別れ」の方が数段上位にあると思いますが・・・。さて、次はハードボイルドの原形となったと言われるダシール・ハメット氏の「血の収穫」「マルタの鷹」に取り掛かってみようかな。


No.1281 6点 邪悪の家
アガサ・クリスティー
(2019/12/19 17:54登録)
現在のミステリーファンには犯人を”推測し易い”作品であり、けして犯人が真の意味で”判る”などとは言えない作品だと思います。また、著者のポアロに関する意向とまったく違う評価となってしまった作品でもあると思います。本作は、ポアロもの6作目で、ポアロという探偵が世間的に確立した作品です。著者は本作にある通り、実はポアロを引退させたかったのですね。しかし、諸事情でその後30作品近くポアロものを書かざるを得なくなった。更にいえば、例の作品(1975年発表)の内容、書かれた時期、経緯を斟酌してみれば、この点は明らかでしょう。そういう意味ではエポックメーキング的な作品といえるのかもしれません。内容は実にクリスティー氏らしいミスディレクションをふんだんに使用した良作だと思います。惜しい点は怪しい人物を創造しなかったことと、ポアロの登場が早すぎるため、読者は余裕を持って犯人の推測が可能であったということですかね。


(ネタバレあり)法月綸太郎氏の「1932年の傑作群をめぐって」の~「災厄の町」(1943年エラリー・クイーン)はクリスティの「邪悪の家」と類似~に関して。手元にメモがあるのみで詳細は忘却しましが、類似点は手紙を悪用し、毒殺されそうになる被害者を装うというプロットが共通ということでした。



No.1280 6点 検察側の罪人
雫井脩介
(2019/12/16 19:56登録)
裏表紙より~『蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引なやり方に疑問を抱くようになる。正義のあり方を根本から問う』~

(ネタバレあり)
物語はエンタメ系警察小説によくあるパターンのものです。私はエンタメ系での「私刑」は容認しますが、本作のような社会派的ミステリーでシリアスなものでは許容できない。という立場で・・・。人物像造形や心理面で難ありというのが第一印象です。
最上検事~検事でありながら、出来心的に証拠隠滅してしまう。えっ?!と思うわけです。べつにこれが計画的なものであればいいんですけれどね。そして最悪なのはアリバイ工作もせず犯罪を犯す。こんな検事像ってありっ?!。
沖野検事~最初はいいんですね。しかしラストがいけない。なんで最上検事を弁護するなんて言い出すんでしょう?。あなたが最上検事の犯罪を断罪しなければならない立場なんですよ(苦笑)。
橘沙穂~沖野検事をよくサポートしていたのですが、真相が明らかになりそうなとき手を引くようアドバイス。意味不明です。
白川弁護士~人権派でやり手。パホーマンスで無罪を主張するのかと思いきや、死刑が無期懲役になれば・・・何をかいわんや。
諏訪野~最上検事にピストルを売った裏社会の人物。この人は立派(笑)。「物は売っても人は売らない」信念があります。
なお、ラストに何かを期待したのですが・・・。やはり感情移入の度合いによってラストの沖野検事の慟哭の意味合い(理解)が違ってくるのでしょうか。よくわかりませんでした。


No.1279 8点 寒い国から帰ってきたスパイ
ジョン・ル・カレ
(2019/12/13 20:08登録)
「東西ミステリーベスト100」(1986年版)の第33位。英3位米6位(英米合算では第2位)1953年「007カジノロワイヤル」から10年後の発表で、アンチ007のような作品と感じました。リアリティを追求した”非情”をメインとした作品と言えるでしょう。ボンドも女性に弱いが、本作の主人公も同様???。読みどころは、その点と査問会議の真相究明場面です。緊迫感がありました。なお、ベルリンの壁が出来た2年後の作品ということでした。


No.1278 7点 贈る物語 Mystery
アンソロジー(国内編集者)
(2019/12/09 10:33登録)
①「暗黒の館の冒険」エラリー・クイーン 5点 古典的トリック、初出であれば高評価としたいが・・・
②「黄色い下宿人」山田風太郎 5点 ホームズのパスティーシュ、彼の鼻を明かすのは?・・・
③「密室の行者」ロナルド・A・ノックス 8点 密室での餓死の理由は・・・
④「妖魔の森の家」ジョン・ディクスン・カー 9点 密室状況のバンガローから消えてしまった娘、今回で2度目だ・・・
⑤「長方形の部屋」エドワード・D・ホック 7点 犯人が丸一日死体といっよに部屋にいたわけは?・・・
⑥「カニバリズム小論」法月綸太郎 8点 同棲の女性を食する男・・・
⑦「病人に刃物」泡坂妻夫 7点 元患者が腹を刺されて死亡。誰も刺していないのだが・・・
⑧「過去からの声」連城三紀彦 8点 誘拐ものの秀作・・・
⑨「達也が笑う」鮎川哲也 10点 高木彬光氏の「妖婦の宿」と同様に「日本探偵作家クラブ」例会での犯人当てクイズのテキストとのこと。四重五重に張り巡らされた網(ミスリード)に引っかかり完敗です。正解に近い人が1人いたそうですね。しかし、著者がこの手のトリックを使用していたことにはビックリです。長編では1960年の作品が先駆的という定説になっていますが、もしかして本作(1956)が初出?。但し、メイントリックについて、当時の鑑識はどの程度だったのか気になるところです。現在では一発でバレてしまうので・・・。まあ、参加者から、その疑問は出なかったようですので良しとしましょう(笑)。密室ものでは「妖魔の森の家」を抜きNO.1となりました。


No.1277 7点 手斧が首を切りにきた
フレドリック・ブラウン
(2019/12/07 12:54登録)
裏表紙より~『〈ろうそくが、おまえのベッドを照らしにきた。そして手斧が、おまえの首を切りにきた〉……十九歳の青年ベイリーは二人の女性と知り合ったが、マザー・グースの歌を思い出すたびに、少年の日の忌まわしい記憶にさいなまれた。』~

最初の暗示は無い方がよかった。あゝ勿体ない。物語はボーイ・ミーツ・ガール風で予想外の展開となります。更に途中でラジオ中継や映画が挟まれ、実際のストーリーと同様なものが音声や映像で流れるので、読者は狐につままれたような気持ちになります。そしてラストはハッピーエンドとなるはずが・・・題名通り???!!!。


No.1276 5点 わが母なるロージー
ピエール・ルメートル
(2019/12/04 17:55登録)
爆発犯ジャンの心理描写がないので心の内がよくわからない。よって、ラストシーンもモヤモヤ感が漂ってしまう。これがフランス風と言えばそうなのかもしれないが・・・。今までのシリーズと風味は変わっており、ちょっぴりガッカリ。決してつまらないというわけではないのですが。


No.1275 8点 妖婦の宿
高木彬光
(2019/12/03 17:11登録)
角川文庫版ではなく春陽文庫版で読みました。内容が相違していますので表題作のみの書評となります。傑作と言われる密室ものは、「なーんだ?!」というものが多かったのですが、本作は成程と頷けました。犯人が判明し、それはないだろうと突っ込みを入れようとしたら、ちゃんとした説明があり、更に一捻り。参りました(笑)。「日本探偵作家クラブ」例会での犯人当てクイズのテキスト。


No.1274 6点 真実の問題
ハーバート・ブリーン
(2019/11/30 22:00登録)
警察小説に関する座談会で、逢坂剛氏がこだわている一冊と言っていたものです。
~退職まじかのベテランと新人の二人の刑事は殺人強盗犯を逮捕した。その時、犯人は証拠の100ドル札を燃やしてしまう。ベテラン刑事は別の証拠を捏造することを思いつき実行した。犯人は死刑判決を受けるも、その後に新たな事実が判明し、若手刑事は苦悩することになる。~
新聞記者と付き合いのあるダンサーと若手刑事の恋や、犯人の弟妹が絡んだりと、筋は面白い。ただ、感情移入が出来なかったのが残念な点です。


No.1273 9点 セブン
アンソニー・ブルーノ
(2019/11/28 18:43登録)
裏表紙より~『何者かに過剰な食事を強いられ死んだ異様に太った男と、自らの体を切り刻むことを強要された弁護士―殺伐とした街で連続して発生した二件の殺人の現場には、それぞれ“大食”と“強欲”の文字が…。ベテラン刑事サマセットはキリスト教の“七つの大罪”に着目し、あと五つ事件が発生すると断言。若き刑事ミルズとともに狂気の殺人計画を阻止すべく捜査を始めるが…戦慄のサイコ・スリラー。』~

映画「セブン」(1995年)のノベライズ本。同じサイコ系の「羊たちの沈黙」(東西ミステリーベスト100の第9位)との比では、ラストの衝撃度で本作に軍配を上げざるを得ません。

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