take5さんの登録情報 | |
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平均点:6.61点 | 書評数:397件 |
No.277 | 5点 | ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ! 深水黎一郎 |
(2024/02/24 13:12登録) ビブリオバトルをご存知ない方は、 YouTubeでも紹介されているので ご覧下さい。 学生さんのプレゼンが上手なんですよ。 「あなたは人を殺したことがありますか?」 から本書の紹介が始まります。 プレゼンの評価は8点くらい。 肝心の本書は5点ですかね、、、 イタリア語の究極のトリック ウルチモトロッコ 言いすぎですね。 2時間弱でさらっと読めて、 紙媒体の可能性も感じますが 小説のクオリティーとしてはまぁまぁです。 |
No.276 | 8点 | バールの正しい使い方 青本雪平 |
(2024/02/18 13:39登録) 周りに擬態して生きる 礼恩の小学生からしばらくの物語 、、、の物語。 繊細な感性、 みずみずしい表現。 新聞の書評をきっかけに読みましたが これは私には大当たりです。 心に残る力強い読後感。 ミステリの枠におさまらず 読書っていいなと思います。 |
No.275 | 7点 | ヨモツイクサ 知念実希人 |
(2024/02/18 10:46登録) ネタバレあります。 リーダビリティ高し。 200ページほどまでで 完全に荒唐無稽の世界観を構築する筆力。 最近アイヌの伝承に関わるミステリを 凍てつく太陽で楽しみましたが そちらは文化へのリスペクトを感じ こちらは不思議さしか感じない 完全にプレデター扱いなのがある意味清いです。 35?ページの反転にはびっくりしました。 あれだけ字がでかいので。 そしてフォントも怖かったですw ゾンビ系って流行ってるんですかね。 古い人間で7点以上つくイメージが 湧かずファンの方すみません。 小学生の息子が同じ部屋でかがみの孤城を読んでいますが 次にヨモツイクサは勧めないなあ~と。 |
No.274 | 7点 | 満願 米澤穂信 |
(2024/02/12 21:23登録) 齋藤警部さんが書いてらっしゃるのですが、 連城節を感じさせる作品がちらほら。 短編集としてはまぁまぁよかったです。 夜警 警察小説。 困り者の部下の見え方が反転 死人宿 これから自殺する犯人捜しの末、反転 柘榴 家族愛憎系、事件を捉える視点で反転 万灯 バングラデシュ経済サスペンス、 すごく良く描けていると思います。 しかし日本に帰ってからが淡白。 関守 峠の茶屋のおばあさんがよい味出してます。 満願 下宿でお世話になった奥さんは殺人犯となり、 弁護士になった主人公と再会。 怪しい雰囲気がよいです。 |
No.273 | 5点 | 汚れた手をそこで拭かない 芦沢央 |
(2024/02/10 15:56登録) 息子が友達に進められて読み 私も読みましたが これ小学生が読む本ではないでしょうw 前2つはまぁまぁ反転ミステリで 後ろの方はイヤミスです。 |
No.272 | 6点 | そして扉が閉ざされた 岡嶋二人 |
(2024/02/04 11:04登録) フーダニット、ハウダニットを カットバックで追いかける 大変リーダビリティの高い作品。 真相は普通の衝撃度ですが、 The本格ミステリといった趣き。 あまり人物に感情移入できずこの評価。 文庫の割に字が大きくて目に優しいです。 |
No.271 | 6点 | さよなら妖精 米澤穂信 |
(2024/01/27 10:19登録) 青春小説であり 戦争小説である このギャップが 本の力です。 ユーゴスラビア紛争下で 飛び交う砲弾と 弓道の高校生大会で 放たれる矢との 切ない対比です。 |
No.270 | 7点 | 雪は汚れていた ジョルジュ・シムノン |
(2024/01/22 20:21登録) 連合軍占領下のフランスで、 淫売屋を営む娼婦崩れの母を持つ 若者の無軌道な行動を描く。 彼は結局占領軍の調査部局に捕まる。 ある種強靭な彼は尋問を耐えてゆく。 占領軍は愛国主義者などの政治性を 犯行動機と疑ったが、 そこは本質ではない。 一旦は裏切った若い娘の感情を知る クライマックス、 彼は従容として死に赴く。 戦争とは 様々な顔をしているものですね。 |
No.269 | 8点 | 凍てつく太陽 葉真中顕 |
(2024/01/14 18:24登録) blueでもそうでした。 作者が表現する 歴史に翻弄されながらも 生きていく登場人物が魅力的です。 太平洋戦争の時代、 室蘭での軍部と警察、 アイヌと内地と朝鮮から連れてこられた人々 混在する混沌が見事に書かれていて、 500ページ以上一気に読ませます。 5時間以上がかかりましたが満足! 凍てつく太陽 タイトルもいいし、 表紙の鳥たちも効いています。 |
No.268 | 7点 | 十戒 夕木春央 |
(2024/01/13 16:53登録) 300ページに全く足らないから あっという間に読めるタイパ作品。 3時間に全く至らないで読了。 もしも、、、 この作品が「方舟」の前に書かれていたら 「方舟」がシンプル過ぎると言われてしまう そんな感じがします。 やはり前作の衝撃は 後の作品評価に影響しますね。 この作品では「そして誰もいなくなった」への オマージュや プロットの精巧さが感じられて好ましいのですが 爆弾という設定が 精巧さと合っていないかなあとも思います。 すみません私見です。 唯一衝撃的と言えるのが ある登場人物の台詞 好きになって、期待して、がっかりした人 というくだり、 やはりこの作品は 「方舟」の後に書かれるべき作品という事です。 怖すぎる、、、 |
No.267 | 7点 | 死者が飲む水 島田荘司 |
(2024/01/08 21:09登録) この作品で江戸川乱歩賞三度目のノミネート しかし無冠の帝王、受賞ならず、、、 南雲堂文庫353ページにある 「適度の怠惰と、そして保身のための計算とで、 日常の正義は、そして平和は、守られている。」 牛越刑事のこの台詞は、 自嘲や犯人へのリスペクトを感じるもので わざと言わせる島荘らしさ。 私にはここがクライマックスです。 時刻表トリックの第二弾の方は、 、、、ちょっとやり過ぎでした。 しかし事件の背景は 島荘らしい社会派で 私には好ましかったです。 飢餓海峡じゃないですが 青函連絡船の転覆事件が 伏線となっているのも感慨深いです。 |
No.266 | 6点 | マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダール |
(2024/01/01 05:51登録) ロアルド・ダールは 大人も子どもも楽しめる作家ですね。 ある道徳性について論考された本の 参考文献として用いられていた児童文学ですが 大人への皮肉が身にしみる名作です。 マチルダの担任と校長の伏線回収だけ ちょっとしたミステリー。 新年一人目の書評でした。 昨年だけでこのサイト 3000件も紹介されていました。 2024年 謹賀新年 今年も皆さんの紹介から 良書に出会える事を願います。 |
No.265 | 9点 | 同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬 |
(2023/12/30 17:55登録) 初めて満票を得たという アガサ・クリスティ賞受賞作 独ソ戦を描いた戦争小説であり 広義のミステリーであり、 女性視点の社会派小説であり、、、 とにかく読み応え満載でした。 戦争の大義、 それでも生きる意味とは、 弾道学からロシアの生活まで 作者の綿密な取材力が光る大作。 作者はこれがデビュー作?本当に? あり得ない筆力です。 読書中盤から私の頭の中に ノーベル賞受賞作家の 「戦争は女の顔をしていない」 が浮かぶのですが、最後に、、、 いやもう冬休みに大作に出会えて良かった。 あとお二人で書評10人達成、 「飢餓海峡」で潰されてしまった 高評価に新しい血を送り込み計画 8か9か迷って9点にしました。 どなたか乗りませんか。 |
No.264 | 9点 | この夏の星を見る 辻村深月 |
(2023/12/03 15:34登録) 小説として10点 ミステリーとして4点 その他の要素の最頻値として9点 Surges がBGMで流れてくる。 『コロナ禍』などと 私のような大人が一括りにしたら 決して見えない世界がある十代の一年間。 辻村深月さんが好きです。 これまでの作品で 一番ミステリーから遠く 一番琴線に触れました。 |
No.263 | 7点 | 恩讐の鎮魂曲 中山七里 |
(2023/11/19 11:56登録) 御子柴シリーズ第三弾 よかった点 緊急避難をめぐる伏線回収(因果応報)が よく描かれています。 また、特養老人ホームをめぐる 今日的課題もよく描かれています。 難点 登場人物の背景をめぐる伏線回収が too match過ぎて カタルシスを通り越しています。 でもお休みの午前中に 二時間ちょっとで一気読みできた リーダビリティは高く、 よい時間を過ごせました。 |
No.262 | 5点 | 復讐の協奏曲 中山七里 |
(2023/11/18 17:06登録) 御子柴シリーズ キャラ設定が特殊な事に加えて 被害者関係者と加害者がシンクロするという かなり作り物の世界を読みます。 まあ小説ですから作り物の世界でも よいのです。 最後の法廷のくだり、 ページの制約か?と思うほど あっけなく終わりました。 情報屋の能力高っとか、 突っ込みどころ満載ですが リーダビリティも高っです。 |
No.261 | 7点 | 翼がなくても 中山七里 |
(2023/11/12 14:21登録) こちらのサイトで皆様から 中山七里を教えていただき 御子柴という極めてキャラの立つ 主人公に親しみ始めた訳ですが、 その御子柴をサブにした番外編。 私、陸上に親しむ陸上小説好きで そのような作品をいくつか 読みましたが、青春物でもなく しかし狂気をはらむスポーツの世界は 一定のレベルで描かれております。 ご都合主義の極致という点も幾つかあります。 殺害後の処理とか、 何と言ってもデヴィッドガーターの下りとか。 でも繰り返しになりますが 全力で走る実感がシンクロする 私には、 200mの表現だけでよい小説でした。 |
No.260 | 8点 | はるか、ブレーメン 重松清 |
(2023/11/04 14:56登録) 人生の最後に見ると言われる走馬灯。 その走馬灯を改変する仕事があるという。 たどり着きたくてもたどり着けない そんな存在をブレーメンの町になぞらえて 物語は進みます。 人間の記憶こそ最大のミステリー。 いつもは解き明かしたいと思う真実、 その真実という概念にも新たな光を当てる 名作でした。 |
No.259 | 7点 | 成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈 |
(2023/10/22 21:55登録) これで感想文書くのもすごいが、 小学生の知人に薦められて読み終わり、 ふとこのサイトの検索に 『成瀬』と入れてみたら登録済み!? いやこれミステリーなら何でもあり と思いますが、 素敵な作品なのでまあいいや。 最終章の成瀬の人間っぷりが爽やかで 全ての小中高校生に推します。 自分を貫く事が苦しい昨今、 これはファンタジーかもしれないけれど、 君の何かを肯定してくれるはず。 そして世の中の私のような父は 成瀬の魅力に鑑みて 子にスマホを買わない接し方を ありとバイアス気味に肯定されるのでした。 |
No.258 | 7点 | 宵待草夜情 連城三紀彦 |
(2023/10/16 13:03登録) 1983年版の、 作者自身の後書きがとてもいいです。 作品5つの中で、 個人的には四番目『花虐の賦』が一番。 かぎゃくのふ、で合ってますか? 賦って税金とかだとしたら暗喩が 効いていますね。 勘違いだとしたら恥ずかしいですが。 |