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ミステリの祭典

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盤上の向日葵

作家 柚月裕子
出版日2017年08月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 7点 take5
(2023/07/25 16:31登録)
藤井聡太さんが八冠を目指す今から、
八年も前に書かれたのに古くない、
将棋をモチーフにした作品。
プロの世界と賭け将棋の世界と共に
魅力的に書かれていて、
600ページを1日で読んでしまいました。
遺体は誰か?
なぜ高名な駒を握っていたのか?
犯人は誰か?
などを考えるのに、
警察パートと生い立ちパートの
カットバックが冴える作品でした。
ある程度将棋を知っていると
更に楽しめます。

No.4 8点 HORNET
(2021/04/29 20:57登録)
 埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見された。一緒に埋められていたのは名匠作の伝説の将棋駒。かつて棋士を目指していた佐野巡査は、県警捜査一課のベテラン刑事、石破と組んで駒の持ち主をつきとめるべく、地べたを這うような捜査を進める。
 交互に展開される章で同時進行するのは昭和四十六年から始まる一人の少年、桂介の物語。幼いうちに母を亡くし、父親からは虐待を受けて育った彼だが、元教師がその人並みならぬ将棋の才能に気づき、東京へ出てプロを目指すよう助言するが、桂介は父親の支配から逃れられない――。

 相変わらず上手い、読ませる。白骨死体の正体は誰か、超のつく名品の将棋駒が一緒に埋められていたのはなぜなのか、その捜査と交互に進行する過去の物語が、最後に一つに結び付いていく。巧みなストーリーテーリングと力強い筆致に一気読み。
 とても楽しめた。

No.3 5点 zuso
(2020/08/04 18:34登録)
棋士たちの身を削るような生き様にぐいぐい引き込まれていき、将棋の真剣勝負はただならぬ緊張感が伝わってきて胸が苦しくなるほど。
重く深い主人公たちの人間ドラマと哀しいミステリの結末が心に染みる。

No.2 6点 sophia
(2019/05/18 00:43登録)
刑事の佐野・石破パートと容疑者のプロ棋士・上条桂介パートが交互に進行していく形ですが、途中から後者の比重が圧倒的に大きくなって、佐野・石破は桂介の足跡をなぞるだけになってしまっています。しかもその桂介も東明に振り回されているだけにしか思えなかったです。佐野のプロ棋士になれなかったコンプレックスや石破の型破りなキャラクターをもっと活かしてほしかったですし、何より桂介をもっとしっかりと話の中心に据えてほしかったです。終わってみれば真剣師の東明という男の生き様が面白かっただけの作品になってしまいました。終わり方も好きじゃないですねえ。救いがないですよ。

No.1 6点 平成起伏
(2018/04/18 18:03登録)
読み進むにつれ、時代を隔てた物語のつながりが理解できるとともに、およその結末まで見えてきてしまうところが、やや、物足りないようにも感じた。
たまたま現在、年少のプロ棋士が大活躍の時代なので、この設定はつかみがよかったこともあるかな、と。
事件を追う刑事の人生も将棋に関わる暗い過去があり、それも良いキャラ設定かと思いました。
この作家の作品は全作読んいますが(やや失礼な感想かもしれないけれど)テレビドラマの2時間サスペンスにしたら受ける筋だなぁといつも感じます。
登場人物の造形やキャラもある程度立っていて、一気読みができる、どちらかといえば、重いテーマでも(本作も虐待、はたまた近親相姦・妊娠など、とんでもない底辺もありますが)なぜかさらっと読めるところに、うまさがあるのかな、とも思います。

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