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ミステリの祭典

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カエルの小指

作家 道尾秀介
出版日2019年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 take5
(2023/07/30 18:53登録)
私の好きな方の道尾秀介でした。
もともとカラスの親指や
ラットマンの時代が好きなので、
今回の続編も楽しく読めました。
コンゲームとして、
反転は確かに小ぶりですが、
折々に人間くさい素敵なやり取りがあります。
個人的なクライマックスは、
ラスト10ページ、
武沢がキョウに親のくだり
本当に信じていいかと聞かれ、
力強く本当だと言うところです。
↑ネタバレにならない叙述

No.1 5点 E-BANKER
(2021/01/10 13:26登録)
映画化もされた「カラスの親指」の続編となる本作。
前作の読了からはや八年半たつけど、かなり面白かったという印象があるが・・・
2019年の発表。

~詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにして、再びペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間らと再集結しキョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが・・・~

最初に断っておくと、本作は前作の内容を知らないまま読むと理解できない(しにくい)箇所が割と多いので、「カラスの親指」を先に読むことをお勧めします。
かく言う私は・・・何しろ読了したのが八年半も前だからなぁー。漠然としか覚えていません。当然!

ただ、“道尾マジック”とでも表現すべき見事な「騙し」が見事に決まった前作に比べると、本作の「騙し」(ペテン?)は少々スケールが小さいように思えた。
序盤から中盤の冗長さも気になるところ。武沢のその後やキョウの周辺情報の話が続いて、なかなか本題に入っていかない展開。
ジャンルでいうなら「コンゲーム」に当たるんだろうから、もう少しテンポよくスピード感のある展開の方が良かった。

なかなか話が進まないねぇ・・・と思った矢先、単行本の312頁に出てくる貫太郎のセリフ。
ここからついに「騙し」のスクランブルに突入。ひとりだけでなく、あらゆる登場人物がそれぞれ「騙し」を行っていたことが明らかになっていく。じゃあ一体なにが真実なのか?
ウーン。最終的にはもう少し大きな爆弾が爆発するもんだと思ってたなぁー
爆発したはいいけど、「エッ! 意外と小ぶりなのね」という印象。もちろんサプライズだけがすべてではないんだけど、前作の鮮やかさを経験した身にとっては、どうしても比較してしまう。

ということで、やっぱり間が空きすぎたんじゃないかな?
もう少し読者の記憶が残っているうちに続編を出すべきだったと思う。(伊坂ならこういうテーマでもう少し気の利いたプロットを用意しそう)

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