| HORNETさんの登録情報 | |
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| 平均点:6.34点 | 書評数:1234件 |
| No.414 | 5点 | 怪談のテープ起こし 三津田信三 |
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(2017/04/08 17:17登録) 自殺者が最期に残した肉声のテープをおこす、という入りはかなり気持ち悪く、期待したのだが、全体としては小粒な怪異譚を集めた短編集という印象。 現実にこの短編集を編集者と共に編む過程も描かれ、その中でおきた怪異も幕間として書くことで現実感をもたせているが、そうやって現実に寄せる分、怪異性はどうしても小粒になってしまう。 「本当にあった」ということ自体を、ホラー感を醸し出す一番の効果としているのだとは思うが・・・・ |
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| No.413 | 7点 | 暗い鏡の中に ヘレン・マクロイ |
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(2017/04/08 16:57登録) ここまでの書評を読んで、サスペンスと本格が融合しているというのが本作の特徴とのこと。なるほど。ジャンルには疎いというか無頓着なので(作品の追加の時にもいつも困っている(笑))… ただ結局、マクロイが基本は本格の作家ということを知っているので、物語の核となる不可思議現象も、はじめから現実的解釈を考えてしまい、サスペンスの雰囲気を味わったとは言い難かった。 作品は普通に面白かった。真相は、トリックについてはちょっと拍子抜けだったが、それ以上に背後にあった人間関係が面白かった。何気ない場面でそのことの伏線が張られていることも、さすがのお手並みと感じた。 |
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| No.412 | 7点 | 黒面の狐 三津田信三 |
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(2017/03/20 23:28登録) 久々の三津田ワールドって感じで、よかったんじゃないでしょうか。 戦後の炭鉱社会の薀蓄は単純に面白かった。やっぱり自分があんまり知らないことについて知る(くどくない程度に、わかりやすく)ってのは楽しいんだなぁと改めて実感。坑内の薄暗い感じと、さびれた炭鉱村の様子がよくマッチしてて、雰囲気出てたと思う。きっと映像化しても面白い(ただし、昨今の洗練された映像とイケメン・美女の組合せではなくて、昔の横溝映画のような、野暮ったさと辛気臭さ、泥臭~い感じでね) ラストに畳みかけられる、「可能性を一つ一つ潰していく」という論理性とセットの「どんでん返しの連続」にはもう慣れた。でも、と言いながら……それを期待していた!!(笑)それなりに満足。 筋道やからくりはわからなかったが、正直、真相は想定内というか予想していた。 |
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| No.411 | 5点 | コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ |
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(2017/03/05 10:50登録) 初の長編小説ということだが、淡々と事実の描写を重ねていく筆致は「犯罪」「罪悪」と変わらず、「小説としての味が弱い」と感じる人がいるかもしれないが、私は読み進めやすくてよかった。 最初は、殺人の動機を探っていくホワイダニットかと思っていたが、物語のテーマはもっと深く、ドイツに戦後も色濃く残る戦争の傷といった社会的なもの。変な言い方だが勉強になった。 ごてごてと余分な回り道や冗長な描写がなく、適度な厚みではないかと思う。 |
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| No.410 | 6点 | ジョイランド スティーヴン・キング |
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(2017/02/26 19:37登録) ミステリではある。ただ、それがメインではない。 彼女と遠距離恋愛になった大学生が、遊園地でひと夏のバイトをすることに。その遊園地では、昔あるアトラクションで若い女の子が殺される事件があり、しかも犯人はつかまらずに迷宮入りになっていた。以来、そのアトラクションでは殺された女の子が「出る」といううわさが。事件の真相に興味をもったバイト学生は、次第に深入りしていく。 と、説明をすればミステリ色が濃いイメージを持つが、物語は(特に前半は)、遠距離恋愛の彼女との恋の行方や、遊園地のスタッフと関係を築いていく話。後半には、筋ジストロフィーの少年とその母親との交流へと話の主軸は移っていくが、いずれにせよ、そうした青春小説的要素の方が強い。・・・・ただ、それが面白い。 一応、昔の少女殺害事件の犯人を探るフーダニットはある。ただ、何をもって真相に至ったのか、読んだ後も私は理解していない・・・ |
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| No.409 | 6点 | 自殺予定日 秋吉理香子 |
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(2017/02/11 21:51登録) よく言えばシンプルでわかりやすい、悪く言えばまぁ、浅い、かも。だからリーダビリティは高く、あっという間に読破できる。自分はそれなりに満足できました。 真相はまま予想されたけど……いい転がり方で読後感は良好、そういう意味でもよかった。(ある意味最後のダークなどんでん返しに身構えてもいたが…) 「暗黒女子」を読んでて手に取ったけど、人並由真さんいわく、これは氏にしてはイマイチで「放課後に死者は戻る」がかなりよいらしい。実は図書館で迷い、新しい方をとったのだが、そういうことなら読んでみよう。 |
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| No.408 | 7点 | アルテーミスの采配 真梨幸子 |
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(2017/02/11 11:39登録) 「アルテーミスの采配」と題された「週刊全貌」の企画は、「AV女優の素顔を暴く」という名目でインタビュー記事をまとめるというものだった。だがそのはずが、取材されたAV女優が次々に殺害され、取材にあたった名賀尻に困惑が広がる。やがて、企画の裏に、黒幕や邪悪な計画の存在が匂い始める。取材対象となったAV女優の連続不審死の真相は?そこにある黒幕の正体は? AV業界を題材としながら、芸能界の光と影や、富や名声にあこがれる人の俗的な本質を描くさまはなかなかに興味深く面白かった。この作家は、そういう俗っぽい人間欲や心の弱さなどを、登場人物の心情描写や語りによって描くのがなかなかに上手い。端から見れば、無思考に、流されて愚かなことをしているようにしか見えない人たちの内面を上手に言語化していると思う。 個人的には、「殺人鬼フジコ」は話が進むにつれてだんだんと大味になっていく印象があったが、こちらはそれよりも丁寧に作りこまれていると感じた。 |
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| No.407 | 8点 | ぼぎわんが、来る 澤村伊智 |
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(2017/02/05 15:58登録) 第22回日本ホラー小説大賞受賞作。 東京の製菓会社で働く新婚の田原秀樹のところに、会社の後輩が訪問者の取り次ぎに来る。後輩が話す伝言には誰も知らないはずの、生まれてくる娘の名前が。慌てて向かうがそこには誰もおらず、かと思うと、急に後輩の腕から血が滴り出す・・・。その後入院し、憔悴しきって会社を辞めてしまう後輩。その後も次々に起きる不審な電話やメールに、秀樹は幼いころ祖父に聞かされた、「ぼぎわん」という化け物の話に思い至る。 途方に暮れる秀樹は、幼馴染の大学教授の伝手で霊媒師・比嘉真琴と、オカルトライターの野崎を紹介してもらい、その力を借りて解決を図ろうとするが― 第一章は上記の田原秀樹の視点で描かれるが、その後第二章では妻の香奈、三章はライター・野崎の視点で描かれる。視点人物の入れ替わりにより、見えていなかった事実や心理が明らかにされ、ことの全貌・真実が次第にはっきりしてくる構成が秀逸。 民俗学を下敷きにして「ぼぎわん」という名の由来や伝承が描かれていることも面白く、ホラーでありながらも幾分かのリアリティを感じる作品になっている。 まるで映画を見ているかのように臨場感を感じながら一気に読んでしまうが、決して安っぽい疾走感で引っ張っているのではなく、緻密に練られたプロットと人物描写で読ませる筆力があった。 よかった。 |
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| No.406 | 5点 | 小鬼の市 ヘレン・マクロイ |
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(2017/02/04 17:51登録) 不審な死を遂げた報道機関の支局長・ハロランの後釜に上手いこと収まったフィリップ・スタークという主人公が、その死の真相を追っていく物語。現場に残された不可思議な状況からの謎の提示は魅力満点、その後のストーリーも平板な部分がなく、飽くことなく読み進められるが、ただ大戦中の政治事情が色濃く関係してくる点が難解だった。 ラストは怒涛の勢いで伏線が回収され、マクロイの作りの巧みさが実感できる。ウィリングの登場の仕方は薄々わかっていたので驚かなかったが…。 上記したように、当時の政治事情、各国の立ち位置についてそれほど知識がなく、その点で難しさを感じたので読者としてこの点数となった。作品のクオリティは高いと思う。 |
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| No.405 | 6点 | 真実の10メートル手前 米澤穂信 |
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(2017/02/04 17:35登録) 「王とサーカス」を読んでからこちらを読んだ。「さよなら妖精」のシリーズは読んでいないので、逆から進んでいる感じか(?)。印象として、「王とサーカス」よりも主人公・太刀洗の無骨な雰囲気が強かった。話としてもブラックな要素が強い。こっちの方が好みかも。 作りのクオリティは、話によってややまちまちだった感はある。 |
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| No.404 | 6点 | ブラック・ヴィーナス 投資の女神 城山真一 |
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(2017/01/23 21:23登録) 2016年・第14回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作。 依頼を受けて、株式投資によって希望の金額まで増やす稼業を営む都市伝説の女「黒女神」こと二礼茜。大手銀行を辞めて公機関で働いていた百瀬良太は、ひょんなことから彼女の仕事を手伝うことになる。 卓越した能力をもつ美人女性と、付き人さながらにアシストする冴えない男、多くの謎に包まれた女性の背景と、それが次第に明らかになっていく様子、など、非常に大衆受けしそうな内容で、映像化向き。実際にリーダビリティも高く、サクサク読める。現実離れした点は多分にあるが、エンタメと割り切って読めばそれはそれでよし。 |
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| No.403 | 8点 | パイルドライバー 長崎尚志 |
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(2017/01/23 21:03登録) 住宅街で起きた一家惨殺事件は、15年前に未解決となった事件に酷似した状況だった。退職して家業を継ぐことを考え始めていた刑事・中戸川俊介は現場に向かうが、そこに表れた男に脳天チョップを食らわされる。それは15年前の未解決事件を担当していた、“パイルドライバー”の異名をもつ元名物刑事・久井だった。アドバイザーとして捜査に関わることになった久井とコンビを組むことになった俊介。ぞんざいな態度に始めは反感を感じる俊介だが、類まれなる刑事としての嗅覚と捜査手腕に、次第に見方を変えていく―。 軽快な文体とキャラ立てのよさ、なかなか巧みに仕組まれた伏線で、飽くことなく読み続けられる。捜査路線は15年前の事件との2本立てになるので、やや諸要素が複雑でややこしい点もあるが、逆に言えばよく考えてあるというか、 凝った仕掛けともいえる。脚本家(?)出身らしく、作家としてはあまり聞いてない名だが、普通に十分面白かった。 |
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| No.402 | 7点 | 逃げる幻 ヘレン・マクロイ |
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(2017/01/07 19:23登録) マクロイ作品初読だが、「なんて上手い作家なんだろう」というのが素直な感想。大戦後のヨーロッパの社会情勢、玄人好みの上質な書を書くが売れない作家の夫と大衆的で低俗だが売れている作家の妻という夫婦事情、その他複雑な家庭事情・人間模様が見事にクロスして描かれ、精密に絡んでいる。衆人環視化の中での人間消失、ムアでの殺人、密室殺人と魅力的な謎が順次提示され、様々な謎が積み重ねられていくのだが、ウィリングによる謎の解明がまた見事。 密室の真相がちょっと拍子抜けしたが、それ(密室トリック)だけが単独にならず、犯人解明のライン上に乗っていたので〇。 ただ、当時についての知識があまりないので、特にムア(?)などの描写についてイメージがあまり浮かばなかったのが難点…。 |
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| No.401 | 5点 | ミスター・メルセデス スティーヴン・キング |
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(2017/01/03 15:51登録) キング作品をそれほど読んでいるわけではないが、破壊力のあるホラーや、狂気を描いた作品のイメージが強いので、それに比べると本作品は、割と昨今ありがちな平板な話に思えてしまった。 翻訳ものにしては読み易く、特に下巻は疾走感もあって一気に読めてしまうのはいいが、サイコな犯罪者と退職刑事の戦いという設定にもあまり新鮮さは感じられず、この評価になった。 いかにも映画化がウケそうな話、と感じるのは私だけだろうか。 |
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| No.400 | 5点 | 孤狼の血 柚月裕子 |
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(2017/01/02 16:02登録) 日岡秀一が初めての刑事勤務となり配属された捜査二課で、仕えることになった大上章吾は、広島弁のべらんめえ調で部下をどやしつけ、やくざからも「ガミさん」と一目置かれるこわもて刑事だった。金融会社の社員が失踪した事件を負うことになった2人だが、そこにはヤクザの裏事情が絡んでいる様子。捜査を進める中で、大上とヤクザのただならぬ関係が垣間見えるようになり、その公正とは言えない捜査手法に、日岡は大上への不信と反発を感じ始める。だが、大上の信念、どんな手を使ってでも目的を遂げようとする姿勢に、次第に見方が変わってくる・・・・ ヤクザ組織の相手をする暴対の刑事たちが、決してきれいごとだけではやっていけないという様を描き出しているストーリーは骨太で、非常に読みごたえがある。読者としても、始めは大上のやり方に反発を感じる部分はあるが、日岡との人間的なやりとりを見ているうちに、次第に魅かれていく部分も確かにある。最後の仕掛けは半ば予想通りで、それほど驚きはなかったものの、結末としては悪くない感じがした。 |
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| No.399 | 6点 | はなれわざ クリスチアナ・ブランド |
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(2016/12/24 23:33登録) 御多分に漏れず、クリスチアナ・ブランドの代表作と名高いため、「まずはこれから」と読んだ。促音が大文字で表記されているようなポケミスで、歴史を感じた(笑)。 最終盤の展開直前には「え、結局そんな結末…」と思ってしまったのだが、その失望が最後に一気に裏切られてよかった。かなりスッとした。中盤では、島の当局の理不尽な捜査を阻もうと、各自が推理を披露したり独白をしたりするのだが、それが最後にあんなふうにひっくり返して生きてくるとは…結構素直に驚いた(面白かった)。 ただ、島や海岸の構造とか、舞台となったホテルの構造とかがいまひとつ頭に描きにくくて、一枚だけ図はあったが文章で読み進めていると具体がイメージしづらく苦労した。海外古典には往々にしてある婉曲的な登場人物の物言いも、すぐに理解できない所がよくあり、こちらも苦労した。 中盤がやや冗長な感じはあるが、全体的には満足感の方が高かった。 |
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| No.398 | 5点 | おやすみ人面瘡 白井智之 |
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(2016/12/17 12:55登録) 氏の作品は初読。帯に「綾辻行人&道尾修介がいま最も注目する」とあり、「東京結合人間」も気になってはいたので、かなりの期待を込めて読んだ。期待を高め過ぎたのか、正直思ったほどではなかった。 物語中にちりばめられる各謎の筋道だった解明や、さりげない手がかりの置き方もうまいとは思う。が、いろいろなところに仕掛けすぎ、しかも人面瘤によって推理が二転三転するので(そこが売りでもあったらしいが)こんがらがってくる。大仰な舞台設定の割には、各過程で解き明かされるのがアリバイとか指紋とかいう通俗的な内容で、それぞれの推理に「なるほど」とは思うがそれ以上の感動はなかった。 ただ言い換えればこれだけ複雑な仕掛けをよくも考えてまとめあげたものだ、とも思った。 |
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| No.397 | 7点 | 誰も僕を裁けない 早坂吝 |
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(2016/12/14 22:44登録) キワモノだった印象が強い本シリーズだったが、急にミステリ色が濃くなった印象。といっても、やはり正攻法からは離れているとは思うが…。 「〇る」の〇をなぜ隠したのか、本格ファンならすぐにわかるのに。それが分かればトリックはおのずと分かるので、その点では目新しさはない。2つのストーリーが並行して描かれる構成と、その結び付き方は意外ではあったが、人によっては姑息と感じるかもしれない。まぁ私としては悪くはなかった。 シリーズ読者として、心のどこかでらいちは絶対的存在であってほしいというのがきっとあって、その点でやや格落ちしてしまった感があるのはやや残念だった。小松凪のようなキャラに先を越されるのはちょっと…。 一見ありきたりに見えるタイトルの真意には、なかなかやるな、と感じた。サクッと読める分量にしてはよかったので、この点数。 |
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| No.396 | 8点 | 去就 今野敏 |
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(2016/12/10 16:28登録) 今回のテーマはストーカー。被害に遭っていたという女性が当のストーカーに呼び出され、ボーイフレンドを同伴してその場に行ったら、そのボーイフレンドが殺害され、ストーカーと被害女性はそのまま行方不明に。早速大森署内に指揮本部が設置され、伊丹と共にその指揮にあたることになった竜崎だったが、事件は当初のとらえとは違う様相を見せるようになってくる。 徹底した合理主義で(しかも天然)、部下からも厚い信頼を寄せられている竜崎の強いリーダーシップ、痛快な組織での生き様がある意味主となる本シリーズだが、事件の真相を探るミステリとしても〇だった。たてこもりの一幕は、こちらもはじめから胡散臭いと思っていたが、事件の真犯人については意外だった。用いられた凶器の違和感、乗り捨てた車の停め方、携帯電話からの着信など、手がかりからの推察や、捜査員の感触を頼りにチームで真相にたどり着く過程は非常に読みごたえがあった。 マスコミに反応して、世間への面子やアピール目的で対策を講じ、その煽りを現場の捜査員が被る・・・という、作中で述べられていたことに強く共感する。ある業界に対して持ち上がった批判的な世論に対して、「その答えを作るために」目に見える活動を打ち上げるという上層部の発想が、下々にどれだけ無駄な労苦を生んでいるか、どれだけ無駄な金を使っているか、本当に考えるべきだと思う。 |
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| No.395 | 5点 | 真贋 今野敏 |
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(2016/12/10 16:01登録) 目黒区で起きた窃盗事件。盗品以外は一切物色の跡がない現場の様子から、萩尾&秋穂コンビはすぐに窃盗常習犯「ダケ松」の仕業と見破る。しばらく後に、身柄を確保されたダケ松。だが、その様子に不審を感じた萩尾は、ダケ松が何かを隠していると感じる。同じころ、管内のデパートで陶磁器展が催され、その警備にあたることになった。そこでは、国宝・曜変天目が展示されるという。ダケ松の事案にあたるうちに、両者の隠されたつながりが明らかになっていく… 萩尾警部補&秋穂コンビのシリーズ2作目。前作「確証」が非常に良かったため、文庫になるのを待ちきれずに単行本で購入したが・・・あっという間に読めてしまった。リーダビリティが高いともいえるのだが、厚みがなかったとも・・・ 盗犯捜査のプロ・萩尾の鋭い洞察がこのシリーズの胆であり、魅力でもあるのだが、推理→確定までがあまりにも一足飛びのような気がしてしまった。(前作「確証」で萩尾の推理は間違いないと証明されたから、確証は要らなくなった?(笑))抑揚のない捜査過程をだらだら書いてほしいとは思わないが、特にダケ松がに弟子をかばっているという読みや、八ツ屋長治とのつながりなどは、トントン拍子すぎる感じがした。 真作と贋作の入れ替わりトリックは、そう難なく看破することができた。 |
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