自殺予定日 |
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作家 | 秋吉理香子 |
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出版日 | 2016年04月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | 小原庄助 | |
(2017/10/22 10:28登録) 主人公の女子高生は、フードビジネスで成功した父親の数億円もの生命保険を手に入れるために、継母が父親を殺したと確信したのだが、肝心の証拠がなかった。 そこで死をもって継母の罪を告発しようと考えていく。 やや風水の話がうるさいが、意表を突く設定、ホラー的要素、ラノベ的キャラクター造形、料理と占いとビジネスに関する蘊蓄、そして友情と恋愛を盛り込んだ温かな結末と、現代エンターテインメントの販売戦略にのっとったかのような小説。 |
No.2 | 6点 | HORNET | |
(2017/02/11 21:51登録) よく言えばシンプルでわかりやすい、悪く言えばまぁ、浅い、かも。だからリーダビリティは高く、あっという間に読破できる。自分はそれなりに満足できました。 真相はまま予想されたけど……いい転がり方で読後感は良好、そういう意味でもよかった。(ある意味最後のダークなどんでん返しに身構えてもいたが…) 「暗黒女子」を読んでて手に取ったけど、人並由真さんいわく、これは氏にしてはイマイチで「放課後に死者は戻る」がかなりよいらしい。実は図書館で迷い、新しい方をとったのだが、そういうことなら読んでみよう。 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2016/06/15 01:53登録) (ネタバレなし) 冴えない容姿で不器用な言動の女子高校生・渡辺瑠璃は、若くて美しい継母のれい子が実業家の父・早那夫を病死に見せかけて殺害したのでは、との疑惑を抱く。だが確たる証拠を得られない瑠璃は、己の自殺という現実をもってれい子を社会的に逆境に追いやろうとする。自殺の名所として有名な山村・佐賀美野村を死に場所に選んだ彼女だが、そこで出会ったのは端正な顔立ちの幽霊少年・椎名裕章だった。瑠璃の自殺を止めた裕章は彼女の事情を聞き、一週間後の瑠璃の「自殺予定日」までの保留期間、ともに事件の真相を探求しようと申し出る。 近作『放課後に死者は戻る』(大傑作!)、『聖母』(優秀作~傑作)と連続ホームランを打った(私見だが)作者の、今年2016年の新刊。 ただまぁ今回は狙いすぎた主人公の文芸・性格設定、そして何よりこの作者なら…という先読みも悪い方に機能して、物語全体の仕掛けが早々とわかりすぎる。この感想サイトに参加するようなファンなら、気づかない人はまずいないだろうね。 (そう考えると、わたし××トリックを今回も使います、と言いながら、毎回それなりのものを読ませる折原一先生はホントーにスゴイ人ではあるな。) とまれ仕掛けに関してはムニャムニャ……的な工夫もあるし、一応の質的担保は果たしてくれていたのは救い。あと青春ドラマとして一定以上の情感を与えてくれたのも、本書の得点ではある(それでも『放課後~』の厳しい苦さ・切なさとあいまぜになった最後の強烈な人間賛歌の温かみに比べると、今回は全体的にうまく行きすぎるなぁ、という感触もあるのだが…まぁいいや。) まぁたまには、さすがのリカボンにもこのレベルのもあるよね、ということで。次回はまた期待している。 |