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ミステリの祭典

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アルテーミスの采配

作家 真梨幸子
出版日2015年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 ミステリーオタク
(2022/12/17 18:20登録)
 AV業界の生々しい実態を舞台にした、作者らしいサスペンスフルなイヤミス。

 作者の多くの作品と同様に、グイグイ話を広げていき、ボカスカ登場人物を乱立させるが最後は見事に収束させる。

 しかし本作の主人公は一体誰だったのだろう?

No.1 7点 HORNET
(2017/02/11 11:39登録)
 「アルテーミスの采配」と題された「週刊全貌」の企画は、「AV女優の素顔を暴く」という名目でインタビュー記事をまとめるというものだった。だがそのはずが、取材されたAV女優が次々に殺害され、取材にあたった名賀尻に困惑が広がる。やがて、企画の裏に、黒幕や邪悪な計画の存在が匂い始める。取材対象となったAV女優の連続不審死の真相は?そこにある黒幕の正体は?


 AV業界を題材としながら、芸能界の光と影や、富や名声にあこがれる人の俗的な本質を描くさまはなかなかに興味深く面白かった。この作家は、そういう俗っぽい人間欲や心の弱さなどを、登場人物の心情描写や語りによって描くのがなかなかに上手い。端から見れば、無思考に、流されて愚かなことをしているようにしか見えない人たちの内面を上手に言語化していると思う。
 個人的には、「殺人鬼フジコ」は話が進むにつれてだんだんと大味になっていく印象があったが、こちらはそれよりも丁寧に作りこまれていると感じた。

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