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ミステリの祭典

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誰も僕を裁けない
上木らいち

作家 早坂吝
出版日2016年03月
平均点6.31点
書評数13人

No.13 6点 レッドキング
(2024/02/13 08:51登録)
超一流の娼婦にして女子高生が探偵役:上木らいちシリーズ第三弾。館トリック物と法廷モノを天秤にかける、何と軽やかな鋭敏さ。論理(トリック含め)の為の論理のコマとして人間を描く「本格ミステリ」と、倫理としての人間の諸相を描く「変格」(=サスペンス・ハードボイルド・社会派・ホラーミステリetc)の断層を捌く鮮やかな手並みにカンプク。
※たーだ、真の「変格」には、「ミステリのためのミステリ」(ま「芸術のための芸術」「美のための美」「トリックの為のトリック」ね)てな「概念」も含まれるぞ。

No.12 6点 ボナンザ
(2023/08/06 16:19登録)
いかにもなバカミスと謎の社会派風味を融合させた怪作。

No.11 8点 sophia
(2022/04/30 01:52登録)
ネタバレあり

館の仕掛けを犯人しか知らない、×××とらいちが似ているという偶然などご都合主義な部分は確かにあるのですが、叙述トリック解除による舞台の一本化が鮮烈な良作であると思います。トリックや伏線をエロ要素で作らせたらこの方の右に出る者はいませんね(笑)らいちとW主人公の彼が、ただ利用されただけの間抜けな男で終わってしまいかねない流れだったのを、最後に中心に戻して終わったのもポイントが高いです。

No.10 6点 ミステリ初心者
(2021/08/29 18:06登録)
ネタバレをしています。

 この作者の本は、たしか4冊目になります。どれも明るい作風で読みやすく、一瞬で読み終わります。この本も例外ではなく読みやすかったです。しかし、レイプ事件や自殺が話に絡み、さらに上木らいちのチョメチョメも失敗し、前作よりかは暗いというかまじめというか?

 ギャグ調や、メタ的なネタ、チョメチョメシーンなどユニークな要素があるシリーズですが、実は無駄な場面があまりない、洗練された本格推理小説でした。ギャグっぽい文章に推理小説がすこし付け加えられたものではなく、すべての要素が解決・ミスリード・伏線となっていると思います。さんざん使われた回る館のネタもあまり既視感がないように思える工夫がされていましたし、ラストの驚きの要素にも寄与してました。
 わたしは、戸田と埼の物語と上木らいちの物語を別々に書くということは叙述トリックと決めつけていました(笑)。なので、戸田が行為を行った館は、東蔵邸だと決めつけていたのですが…あとのことはさっぱりわかりませんでした。殺人(三世殺し)を、犯人と人が同居する部屋で殺人が行われるとは、前代未聞?のトリックですね(笑)。
 戸田の目撃した春日部に似た女性は上木らいちだったということは、いくつかのヒントで感づきました。

 読みやすい本が読みたいが、質も確保したい。そんなときに重宝するシリーズです。

No.9 6点 八二一
(2020/11/26 17:43登録)
館・密室・連続殺人等、ミステリの定番が多く登場し、それが終盤の怒涛の展開で鮮やかに纏め上げられている。

No.8 7点 Kingscorss
(2020/08/22 12:53登録)
前作のぶっとんだ設定はなかったこと?にされて新しく本格チックになったバカミス、上木らいちシリーズ。

バカミス部分がかなり減って好き嫌いが分かれそうですが、個人的には面白かったです。法律部分が稚拙、トリックが不完全等指摘する方がいますが、専門家でもない限りはそこまで気にならないかと。だって本格のトリックってどれもバカミスみたいなものじゃないですか。

時間のマジック、館マジック、法律の抜け道を融合させた見事な仕掛けだったと思います。文庫本で読んだので、単行本よりいろいろ加筆修正の分面白く感じたかもしれません。

それにしても前作の謎設定がなかったことになってよかった… あのままだとこのシリーズ終わりでした。

No.7 6点 mediocrity
(2020/02/14 05:35登録)
<ネタバレあり>


素人が見ても、付け焼刃の知識で書いたのが目に見える法律部分を除けば良く出来ていると思う。回転とエロを利用した殺人などは特に良かった。メインの叙述トリックと地理トリックも凝っていて精度は高いと思う。ただ凝りすぎていて見破りやすいというか。
落とし穴の精度は高い(どう見ても落とし穴などあるように見えない)のに「この先落とし穴などありません」という看板を立てている感じ。
叙述トリックは今まで10作くらい読んでいると思うけど、私レベルのミステリ読書歴でも全くもって気付かなかったのは確か2作だけなので、よほど作るのは難しいんでしょうね。フェアにしようと心がけるあまり、ヒントを与えすぎる作品が多いように思います。

No.6 6点 E-BANKER
(2019/08/08 21:41登録)
「○○○○○○○○殺人事件」「虹の歯ブラシ」に続く、上木らいちシリーズの三作目
“本格と社会派の融合を目指す”らしい本作・・・ホンマかいな?
2016年の発表。

~援助交際少女にして名探偵・上木らいちのもとに、「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。しかし、そこは異形の館で、一家を襲う連続殺人が発生。一方、高校生の戸田公平は、深夜招かれた資産家令嬢宅で、ある理由から逮捕されてしまう。らいちは犯人を、戸田は無実を明らかにできるのか・ エロミス×社会派の大傑作~

なかなか器用だね、作者は。
本作は、「上木らいち」パートと「戸田公平」パートが交互に語られる展開。
で、前者が本格派、後者が社会派ということなのだろう。

本格派の方でいうと、やはり「異形の館」=風車型の二層構造がメイン。でも、これは最初から作者が思わせぶりに「○る」と何回も煽ってるし、これはミスリードなんだろうなと推測。
で、結局「○る」んだけど、作者の狙いはそこを少しだけズラしたところにある。
そこがもうひとつの「仕掛け」。
この「仕掛け」はタイトルにも関わってくるんだけど、うーーん。どうかな?
うまい具合にミスリードしてるし、「へーぇ」とは思わされるけど、肩透かしのようにも感じる。

そうなのだ。実に「肩透かし」な作品なのだ。
読者喰いつかせるんだけど、つかもうとすると、さっと引かれるというか・・・
読者とがっぷりよつに組んだミステリーではない。
まぁそれが作者の持ち味と言ってしまえばそれまでだが・・・
とにかく一筋縄ではいかないし、それをいい意味で捉えれば、「懐が深い」または「引き出しが多い」ということ。
個人的には嫌いではないけど、手放しで褒めるほどでもない。

No.5 7点 HORNET
(2016/12/14 22:44登録)
 キワモノだった印象が強い本シリーズだったが、急にミステリ色が濃くなった印象。といっても、やはり正攻法からは離れているとは思うが…。
 「〇る」の〇をなぜ隠したのか、本格ファンならすぐにわかるのに。それが分かればトリックはおのずと分かるので、その点では目新しさはない。2つのストーリーが並行して描かれる構成と、その結び付き方は意外ではあったが、人によっては姑息と感じるかもしれない。まぁ私としては悪くはなかった。
 シリーズ読者として、心のどこかでらいちは絶対的存在であってほしいというのがきっとあって、その点でやや格落ちしてしまった感があるのはやや残念だった。小松凪のようなキャラに先を越されるのはちょっと…。
 一見ありきたりに見えるタイトルの真意には、なかなかやるな、と感じた。サクッと読める分量にしてはよかったので、この点数。

No.4 6点 メルカトル
(2016/09/17 21:52登録)
全体のプロットから細部に至るまで神経が行き届いており、上手にまとめ上げていると思う。しかも、社会派エロミステリの謳い文句は伊達ではなく、その名に恥じぬ?なかなかの完成度である。
一方、トリックに関してはいかにも安直であっと驚くような派手さはない。エロ度も抑え気味で、そちらに期待している読者はやや裏切られたように感じられるのではないだろうか。
途中までは全く関連性のなさそうな二つのストーリーが並行して進むが、これがまた上手く繋がってきて大きく肯かざるを得ない手腕は見事だ。
序盤これはキテると思うほど面白いのに、次第にトーンダウンしていく様はただただ残念な限り。終盤やや盛り返すが、やや小さく纏まってしまった感じがする。

No.3 6点 ia
(2016/08/04 19:10登録)
中盤の少年逮捕あたりから、資料をそのままコピペしたようなつまらない説明文が続く。後半に入っても、資料をそのまま説明したような退屈な戦後のエピソード披露が続く
それに作者の悪い癖であるメタ発言が出始め、一気にしらけてくる。
おかげで肝心のトリックが響いてこない。

持ち味のエロ要素も前半とてもエロくて良かったのに、中盤以降どんどん薄くなり、省略ばかりで残念。
らいちが探偵役である必要性も薄い。
刑事も推理するし。

中盤までなら10点。
読み進めるのがもったいないくらい面白く、完璧一辺倒じゃない上木らいちも魅力的だった。
熱中度を持続できない雑な構成がもったいない。

No.2 6点 まさむね
(2016/06/26 19:51登録)
 上木らいちシリーズの第3弾。
 個々の仕掛けの組み合わせは、なかなか巧いと思います。2視点で交互に語られていくスタイルもいい。
 でも、らいちの得意技があまり見られなかったことがちょっと残念かな。デビュー作が衝撃すぎたので、その印象に追いつくのはかなり大変だと思いますが…。

No.1 6点 kanamori
(2016/03/24 18:48登録)
埼玉県に住む高校生・戸田公平は、偶然に知り合った女性・埼(みさき)に誘われ、彼女の部屋に忍び込むも、家人に見つかったことで逮捕される事態に。一方、女子高生・上木らいちは、期間限定のメイドとして雇われた都内の資産家のもとへ赴くが、その奇妙な外形をした館で連続殺人に遭遇する--------。

”援交探偵”こと、女子高生・上木らいちシリーズの3作目。
本作は、”本格ミステリと社会派ミステリの融合を目指す”と謳っているようですが、「僕は法廷にいる」というプロローグの一文で始まる男子高校生・戸田視点の回想パートは、あるテーマを内包した”社会派ミステリ”で、一方、「この館、ひょっとして回転するのでは?」と思わせる奇妙な外形の屋敷を舞台にした、上木らいち視点のパートはベタベタの”新本格”ということでしょう。この、埼玉と東京の2つの物語がどういう形で繋がるかが本作のキモで、確かに最終的にはうまく”融合”してますねw
ぶっちゃけ、機械的トリックや某タイプの誤認トリックなど個々の仕掛けは既視感があります(もしかすると作者はパロディとして書いているのかもしれません)が、社会派の要素と、個々のトリックを上手く組合わせることで、独自色を出しているように思います。ただ、個人的な好みでいえば破壊力のある前2作のほうがいいかな。

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