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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2254件

プロフィール| 書評

No.454 7点 怪盗不思議紳士
我孫子武丸
(2018/05/01 08:34登録)
 古式ゆかしい少年探偵小説。結構正統的でお約束を堂々と展開させる筆致は、言い換えると既視感が強いけれど、意外に好感度高し。まぁ、ノスタルジックな雰囲気に呑まれて評価の仕方が甘くなっているのは認める。
 劇団ヘロヘロQカムパニーの舞台の小説化、という経緯もあってか、本格ミステリ的なロジック云々ではなくキャラクターの絡みや成長譚を軸に据えていて、びっくりさせられる類の話ではないが、そういう点の物足りなさはさほど感じなかった。あとはカール(犬)の出番がもう少しあれば……そこは物足りないかな。


No.453 3点 友達以上探偵未満
麻耶雄嵩
(2018/04/24 11:46登録)
 この作者が“問題作”を期待されるのはもはや宿命なのである。“登場人物がごちゃごちゃしてミステリ的な軸になるアイデアがあまり生きていない”とか言う以前に、“何かフツーだな~”と感じる時点で麻耶雄嵩作品としては物足りないのである。今まで出来不出来の波はあれどその志がブレたことはなかった筈。どうしちゃったのか。“相生初唯”というネーミングが本書一番のヒット、だなんて言いたくないよ!


No.452 7点 誰も死なないミステリーを君に
井上悠宇
(2018/04/20 10:20登録)
 これは拾い物。深読みするなら、特定の人物にしか認識出来ない事項を基盤にしてミステリを書く実験。伏線がしゅるしゅると小気味良く回収される様は爽快だった。(元)文芸部員の4人が意外に好感度高し。
 ところで佐藤くんのフルネームって作中に出て来たっけ。もしや読者に対するクイズ?


No.451 2点 神津恭介の復活
高木彬光
(2018/04/17 11:48登録)
出来がひどくて色々がっかり。八百人の前で人を殺して、そのまま逃げ切れる前提で計画を立てたのだろうか?


No.450 8点 ギリシャ棺の秘密
エラリイ・クイーン
(2018/04/11 10:46登録)
 面白い。少々長過ぎる嫌いはあるが、無理に努力して読み進めている気分に陥ることは無かった。3作目までは未だ習作、エラリー・クイーンが初めて物した傑作がこれ、と私は評価する。
 ところで、粗筋を見ずに本編を読むと、死体発見のくだりは充分驚ける展開である。粗筋コーナーはバラし過ぎ。明かすのはせいぜい“手提げ金庫が消えた(中身は秘密)”まででいいのではないか。或る程度の粗筋を踏まえてそれをなぞるように本編を読む、と言う行為にいつの間にか我々は慣れてしまっているが、それは結構な損だと近年実感している。


No.449 8点 小人の巣
白河三兎
(2018/04/04 11:37登録)
 自殺幇助サイトを軸に据えた連作集。こういうテーマは回を重ねる程にハードルが高くなるのであって、死にたい理由は二話目が一番面白いというのは構成上の不備だなぁ~、などと思いつつ読み進んだら最終話で見事に泣かされた。この作者は“これが言いたい”という熱い思いと、そのために必要な段取りをきっちり組む冷徹さを良いバランスで併せ持っていると思う。


No.448 6点 さよなら、わるい夢たち
森晶麿
(2018/04/04 11:33登録)
 視点人物を始めとして登場人物が非常にステロタイプで、ストーリーの8割までは退屈なのであるが、残り2割が鮮やかな逆転劇。さほど長くもないし、投げ出さず読み切るだけの価値はある。しかし、構成上の必然なのは判るが、前半ももう少し何とかならなかったのだろうか。他の作品で駆使していた技巧的な文体を封印しているのも不満だ。


No.447 7点 超動く家にて
宮内悠介
(2018/03/29 12:51登録)
 ポストヒューマン系SFの旗手としてデビュー後、着々とフィールドを広げてきた著者が満を持して放つ“くだらない作品”集。実はミス研出身だそうで、ミステリ・ファン向けの与太話も幾つか含む。「エラリー・クイーン数」?


No.446 6点 プロローグ
円城塔
(2018/03/29 12:49登録)
 登場人物への感情移入の延長として自分が猫や神や異星人である気分になる本はたまにあるが、“プログラムになる”という疑似体験は初。表と裏がめまぐるしく入れ替わり、無計画な増築のようにいつのまにか話が重なり合い、しかし“わからないことをなんでもメタって呼ぶのはよくない”と釘を刺される。漢字に関する諸々は特に面白かった。


No.445 7点 頼子のために
法月綸太郎
(2018/03/22 14:13登録)
 そういえば四半世紀前、私は本書を読んでジョイ・ディヴィジョン『クローサー』のCDを買ったのだ。ホコ天場面の“ボーイズ・ビー・シド・ヴィシャス”とは田口トモロヲがやっていた“ばちかぶり”の「未青年」のフレーズ。
 結末を朧げに覚えている状態で読み返すと、綸太郎は論理と言うよりかなり飛躍した直感で真相に辿り着いたような唐突な印象を受けた。


No.444 6点 写楽百面相
泡坂妻夫
(2018/03/22 14:12登録)
 必ずしも写楽がストーリーの主軸と言うわけではないので、このタイトルは如何なものか。正体の謎に対してもっとがっぷり四つに取り組んだものを期待してしまったので若干の肩透かし感あり。
 そのせいもあってか、物語の本流よりも、細々としたディテールのほうが楽しかった。時代風俗に関する注釈をあまりせずにすいすい進む筆致は心地良い(が、それを全てストレートに理解するにはいかんせん私の知識が足りない)。


No.443 6点 エピローグ
円城塔
(2018/03/19 09:35登録)
 またぞろ韜晦と嘲弄に満ちた脱力的舌先三寸で何だか良く判らんという失望と共に読了する期待の下に手に取った本書は豈図らんや意外な程に“物語”している。殺人事件が先か探偵小説が先か。あなたたちの創造性は、出典を忘れる能力です。もはや、人類に理解される必要を見いだせない。神林長平『戦闘妖精・雪風』を彷彿とさせる、という比較は文庫版解説で書かれちゃったが、筒井康隆の物語破壊を経由して夢野久作『ドグラ・マグラ』につながる気もする物語の物語。まぁやっぱり“判る”とは言いがたいんだけど。


No.442 5点 ディレイ・エフェクト
宮内悠介
(2018/03/04 11:28登録)
 SFともミステリとも謳ってはいないが、それっぽい短編が3編。「阿呆神社」は筒井康隆のようなペーソスを感じさせるドタバタで面白かった。残りふたつは、悪い意味で純文学的な、カタルシスを排除した書き方で勿体無い。これはこれで“キャッチーに盛り上げればいいってもんじゃないだろ!”という実験かもしれないが、結果として私には物足りなかった。


No.441 7点 ガニメデの優しい巨人
ジェイムズ・P・ホーガン
(2018/02/27 08:49登録)
 『星を継ぐもの』の続編。前作で残された謎の解明と言う側面もあるが、なによりも生身で現れる巨人達の愛すべきキャラクターが良い。


No.440 8点 他に好きな人がいるから
白河三兎
(2018/02/26 10:18登録)
 鬱屈した高校生と不可解な出来事が交錯して世界の残酷さを学びつつ微妙な成長譚を織り成す青春ミステリ、と説明してしまうと、あぁそのパターンね、で片付けがちだけれど本書は素直に読めた。ベタなテーマを巧みに作品化出来るひとが結局は生き残る、と言う意見もあるし。峰さんなんか冷静に見ればあざとい設定だけど読んでいる時はときめけた。後半ちょっと人物の気持ちの流れがよく判らない部分は私の読み方が下手なのか?
 どこがどう違うと上手く説明出来ないが、私は辻村深月あたりよりこの作者の方が好き。冷たい水にそっと手を入れるような気持で読む。


No.439 6点 分かったで済むなら、名探偵はいらない
林泰広
(2018/02/20 10:14登録)
 通例なら“先行作品をこんなに引用するのは如何なものか”と苦言を呈するところだが、本書でことあるごとに俎上に乗せられる元ネタはシェイクスピアの、知名度は高いが実際にきちんと読むひとは意外に少なそうな代表作であって、流石にこのレヴェルのタイトルに対してネタバレ云々は野暮だろうか。
 西澤保彦(の方向性のひとつ)や蒼井上鷹あたりを私は連想したけれど、基本のアイデアもそのアイデアを具現化するためのアイデアも面白いし、連作集として一冊分の数を揃えるのは大変だったろうと思うが、説明的(安楽椅子探偵だから)でライトな文章と相俟っていまひとつインパクトに欠ける。でもまぁ、軽く読めちゃうのは必ずしも悪いことではないしね。
 表題は内容と合っていないと思う。謎を解いた後に事態を鎮静させるための名探偵の外連味の有効性、みたいな話ではない。


No.438 5点 天帝のみはるかす桜火
古野まほろ
(2018/02/19 09:48登録)
 こんなにあっさり読める『天帝』なんて意義があるのだろうか。エネルギーを削られつつ、“なんじゃそりゃ”と失笑と突っ込みを限り無く繰り返しつつ、息も絶え絶えに終幕へ辿り着く諦念と歓喜の倒錯した合わせ技こそが『天帝』の醍醐味ではないのか。反語的にあの分厚いシリーズ本編への思慕を再確認させられた箸休め作品集。
 「修野子爵令嬢襲撃事件」、まりが最後の瞬間まで『木馬』を把握出来なかったのは、能力の設定と矛盾するのでは。出来たはずのことをうっかり見落としたという意味で“ケアレスミス”と言うことだろうか。


No.437 8点 迷路館の殺人
綾辻行人
(2018/02/16 10:36登録)
 鼻血の確認の為に自らの鼻腔を覗かせる医師、の場面があまりにも印象的。というか、四半世紀ぶりに再読したところ、このワン・シーン以外は何も覚えていなかった私である。


No.436 6点 皇帝と拳銃と
倉知淳
(2018/02/13 09:45登録)
 最後の話には見事に騙された。
 しかし、ネタバレしつつ書くが、他に関しては本当に言い逃れ出来ないのだろうか。考えてみた。
 「皇帝と拳銃と」――実は私は最近、射撃を始めたのですよ。それでつい、この執務室が防音なのをいいことに、こっそり運んで来たあの本を的にして発砲してしまったのです。スリルを求めて、他愛ない悪戯のつもりでした。どうぞ私を銃刀法違反で逮捕して下さい。但し、発砲したからといってそれが威嚇射撃だったとは限らないし、威嚇射撃をしたからといってそれが転落死の原因になったとも限りませんよね。
 「恋人たちの汀」――実は、真の第一発見者は俺なんです。あの日、呼び出されてこの部屋に来ると死体がありました。そこで俺はこれ幸いと、自分の借金の借用証を盗んだんです。通報したら窃盗はともかく殺人の疑いまでかけられると思って、黙って逃げました。机の上のチラシはその時に念の為処分したんです。偽のアリバイ工作についてもその時に念の為指示したんです。偽証罪と窃盗罪、でも確か親族間の窃盗は親告罪ですよね。
 「運命の銀輪」――5桁の数字なら、10万分の1の確率で偶然に一致しますよね。


No.435 8点 亜愛一郎の逃亡
泡坂妻夫
(2018/02/13 09:44登録)
 「赤島砂上」で某メフィスト賞受賞作を思い出したり、「球形の楽園」で赤川次郎の某長編を思い出したり。
 「火事酒屋」だけは納得出来ないなぁ。犯人はあんなトリックを弄さずに犯行後さっさと逃げれば良いじゃないか。救助者が2人来る保証もないし。

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