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ミステリの祭典

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εに誓って
Gシリーズ

作家 森博嗣
出版日2006年05月
平均点5.14点
書評数7人

No.7 5点 E-BANKER
(2024/10/06 14:17登録)
Gシリーズも四作目に突入。Φ→θ→τの次は「ε」(イプシロン)・・・
いったいこのシリーズにはどんな謎が仕込まれているのか? 今までにないスケールの大きささえ感じさせる。
2006年の発表。

~山吹早月と加部谷恵美が乗り込んだ中部国際空港行きの高速バスが、バスジャックされてしまった。犯人グループからは都市部とバスに爆弾を仕掛けたという声明が出される。乗客名簿にあった「εに誓って」という団体客名は、「φは壊れたね」から続く事件と関係があるのか? 西之園萌絵が見守るなか、バスは疾走する~

今回、本シリーズとしては一風変わった設定に見える。
紹介分のとおり、東名高速を走る高速バスがジャックされ、シリーズキャラである加部谷と山吹のふたりが人質となり巻き込まれてしまう。
で、終章前、くだんのバスがなんと谷底に落下してしまう! ふたりの運命は? っていう緊張感に包まれるわけなのだが、真相はいかに?という展開。

仕掛けそのものは、本シリーズらしからぬアナログ的なもの。それもそのはずで、仕掛けた方が真犯人側ではなく、〇〇の側だから・・・
普通のミステリーであれば多少のヤラレタ感はあるのかもしれんが、なにせこのシリーズ作品なのだからなあー、若干の拍子抜け感はある。
そして何よりも”ε”の謎。これは少しも真相に近づくことなく終了。ますます深まる「なぜ」の連続。真賀田四季の残像もチラついてきているので、まあ徐々に謎は解けていくのだろう(本当?)。
そういう意味でも、本シリーズはひとつひとつの作品が大きな「章」であるということなのかな。
とすれば、このモヤモヤ感も致し方なし・・・。でも、今後の展開が心配にはなる。

No.6 5点 Tetchy
(2024/09/02 00:32登録)
Gシリーズ4作目の本書ではそれまでの事件と違い、リアルタイムで進行する。なんと加部谷と山吹2人のメインキャラクターが那古野市への帰りのバスでバスジャックに遭ってしまうのだ。
本書はまさにそれだけの話と云っていいだろう。

一方バスジャックの車中で山吹といる加部谷もなぜ自分たちがこうも事件に巻き込まれるのかを疑問に思い始める。
この件は正直面白いと思った。なぜならミステリのシリーズキャラクターというのは得てして他の一般人と比べても事件に遭遇する頻度は高くなるし、そうでないとシリーズとして成り立たないからだ。この不自然さについてシリーズキャラクターに疑問を持たせることが素直に面白い。

そして今回もまた数々の謎を残して物語が終える。
恐らくこのGシリーズはシリーズ全体を通してようやくそれぞれの事件の真相、裏側に隠された意図や出来事が判明するのだろう。つまりそれぞれのシリーズ作品はそれら1つの大きな事件を構成する断片にしか過ぎないのではないか。従ってこれら解明されなかった謎の真相がどこかで一気に説明がなされるのではないだろうか。
しかしそれは非常に読者にストレスを感じさせる。通常の大河小説ならば前作に残された謎は継承され、そして新たな謎が生まれるような、読者の好奇心を牽引していくようなスタイルであるのに対し、このGシリーズはその作品で残された謎は放置されたままだからだ。
エピローグで加部谷が呟くように問題は先送りにされるのだろう。それが生きるということだと述べる。これはまさに森氏の実に現実的なスタンスだ。

しかし謎が解決されてこそミステリなんだけどなぁ。やっぱり今回もモヤモヤが残ってしまった。

No.5 6点 虫暮部
(2018/07/03 15:32登録)
 とばっちりで殺されたバスの運転手が気の毒。最初から団体でバスを借り切っておけば済んだ話じゃないか。

No.4 6点 まさむね
(2018/06/16 18:29登録)
 Gシリーズ4作目。今回は、どのシリーズでも作者が1度は仕掛けてくる、あっち系でございました。ストレスなく読み進められたし、個人的には好印象。ミステリーの中身としては、これまで読んだ4作品の中で最も整っていたような気がします。

No.3 4点 yoneppi
(2012/06/05 21:50登録)
登場人物も騙す叙述トリックは嫌いじゃない。でもこのシリーズは特に作者の自分に酔ったような表現がハナに付く。Gシリーズの意味を見届けるまで頑張るけれど。

No.2 3点 ムラ
(2011/08/31 12:00登録)
(軽いネタバレあり)
場面転換が不自然におおいから、そうじゃないかなぁと思ったがやっぱりそうだった。でも物語自体が楽しめたのでとりあえず満足。
とりあえず、同人=いやらしいってことはないよ!と声高々に叫びたい。
でも山吹が買ったのはいやらしいっぽいね。

No.1 7点 VOLKS
(2007/12/24 12:15登録)
φ・θ・τときて、4作目のこの作品がトリックとしては1番しっくりときた。
鬱陶しい、鬱陶しいと感じていた加部谷にも、やっと慣れてきた感あり。

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