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ミステリの祭典

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虫暮部さんの登録情報
平均点:6.20点 書評数:2254件

プロフィール| 書評

No.1234 6点 シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗
高殿円
(2022/07/09 15:02登録)
 この手のパスティーシュには “ホームズ” と言う共通言語で作者と話しているような楽しさがある。でもここまで原典をなぞるのはどうなのか。まぁ現代風な捻りとキャラ立ちは確か。張ったまま放置の伏線が色々……そこも原典を模倣している?


No.1233 5点 残心 凜の弦音
我孫子武丸
(2022/07/09 15:01登録)
 作者は開き直っているが、青春ミステリとして始まったシリーズからミステリ度がめっきり減って “青春(時々ミステリ)小説” って感じ。作者が自分の中で成長するキャラクターに対して誠実に書いている感じは伝わってくる。でもミステリ要素を減らし過ぎだよ……。
 ミステリ抜きの純青春小説は殆ど読んでいないので評価軸が今一つ判らないが、このシリーズ、キャラクターをあまりキラキラと魅力的に描いてしまうのはコンセプトから外れるのであって、そのへんの匙加減は悪くない。特に最終話の波多野さん。


No.1232 4点 迷宮遡行
貫井徳郎
(2022/07/09 14:59登録)
 登場人物達が色々不適切な判断を下すことで物語が回って行くのは、イライラさせられるがまぁいい。絡み合った個々の思惑を解きほぐしてみると、辻褄の合わない部分もありそうだが大目に見る。
 問題は、切羽詰まっていっぱいいっぱいな筈の主人公の語り口が、妙に浮かれて御気楽に感じられること。ユーモアの使い方が悪くて逆効果に思えた。


No.1231 5点 密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック
鴨崎暖炉
(2022/07/02 15:40登録)
 “日本で初めて起きた密室殺人事件” について。“犯人は明らか” と “犯行の不可能性” は、やはり矛盾である。犯人を示すのは状況証拠しかなく、起訴するのに充分だとは全く思えないのだが……。

 軽妙な文体は、しかし借り物っぽく、世界構築にあまり貢献出来ていない。
 密室を “理由” から解き放つ設定は遊び心ってことでいいにしても、トリックをこんなに幾つも使うと相対的に価値が下がる。と言うか、どうしても作品内で比較してしまうわけで、戦略ミスでは。
 ドミノのトリックは良かった。

 ところで、某新人賞受賞作の選評で最終候補として紹介されていたものが、本作を髣髴とさせるのである(題名・作者名は別)。
 落選作をブラッシュアップの上で別の賞に応募して受賞、であれば、良く頑張りましたと言ったところ。
 可能性を言えば、他者が選評を読んで拝借したのかもしれない。それはあまり褒められたことではない。
 しかし、同様のアイデアを偶然他者が思い付くことだってあるだろう。刊行の当ての無い作品について、選評に載ったのであのプロットは私のものだから使うな、と言うのも厚かましい気がする。
 選評の公開は、誰のどういう権限に基づいて許容されているのだろうか。どうせ落とすならバラさないでよ、と思う投稿者もいそうだが。


No.1230 5点 凧をみる武士
泡坂妻夫
(2022/07/02 15:39登録)
 「雛の宵宮」のような身代わりを、何の因果も含めず押し付けるのは、結果往来とはいえ如何なものか辰親分。
 「幽霊大夫」は、大夫の意図や情夫との因縁が関係者の口からあっさり割れてしまうのが、説明的で物足りない。“謎解き” ではなく “事情通探し” になっている。


No.1229 5点 死が最後にやってくる
アガサ・クリスティー
(2022/07/02 15:36登録)
 もっと変な話を期待していたんだけどなぁ。

 その意味で “死者への歎願文” は素敵なガジェット。なのにその後の展開には絡まず勿体無い。
 使い慣れた駒に目新しい背景を切り貼りしたところ、ギャップが悪目立ちしてしまった。違和感は最後まで消えず、不器用だなぁと思った(褒めてない)。


No.1228 5点 深い失速
戸川昌子
(2022/07/02 15:31登録)
 一体何が起こっているのか良く判らず。事件の表層が上手く描かれていないので、真相はそれなりに面白いのに説明的に感じた。心の不安定な人物が多々登場するが、モティヴェーションが不明のまま深入りして行く語り手が最右翼だったりして。


No.1227 5点 シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱
高殿円
(2022/07/02 15:16登録)
 “ホームズ・パスティーシュ” と言う要素に寄り掛かり過ぎ。いやしかし、パスティーシュはパスティーシュであること自体がコンセプトだから寧ろ正当なサーヴィス精神なのか? 手放しで称賛は出来ないが、愛は感じる。


No.1226 5点 涼宮ハルヒの動揺
谷川流
(2022/06/26 12:01登録)
 推理ゲーム第二弾「猫はどこに行った?」。このトリック、類型がパッと思い浮かばない。何か元ネタ的なものがあるのだろうか? 語尾を伸ばさず “ミステリ” と表記しているあたり作者は実はマニアではとの疑惑が浮上。“ライトノベル的なチープなトリック” 縛りでアイデアを出すのは結構大変では。

 他の短編はどれも今一つ。


No.1225 7点 宇宙25時
荒巻義雄
(2022/06/26 11:59登録)
 作者名を隠して“誰が書いた?”と問われたら私は迷わず山田正紀と答えてしまいそう。真似と言うことではなく、参照元が共通なんだろう。
 先行の文学作品を取り込んでいる部分があって、そういうやり方は好きではない。が、本作ではその効果も否定出来ない。それはたまたま私がそれを既読だったから。カフカ、カミュ、ドストエフスキーって、70年代後半のSF読者にとって、そんなに課題図書みたいに読まれていた存在だったのだろうか。


No.1224 9点 絶望ノート
歌野晶午
(2022/06/26 11:56登録)
 面白過ぎて評しづらいな。ビデオのアップロードについては未消化な感じがある。刑事と探偵の会話が尻切れ蜻蛉なのも気になる。しかし、歌野晶午作品は概ね読んだが、私はこれが一番好き。


No.1223 7点 舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵
歌野晶午
(2022/06/26 11:55登録)
 ちゃんと探偵しているひとみが、しかも中学生なりの関わり方だから中途半端で、それ故 “謎の完全な解明を目指さないシリーズ” 。私は良いアイデアだと思う。
 「白+赤=シロ」の “隠し金庫” は、自宅で実践してみた。アレを更に捻ってああいう形で謎に組み込むとはなかなか凝っている。解明部分のカタルシスが凄い。

 小説に於いて、話し方が読者の認識に与える影響の大きさを改めて感じた。それだけに、“話し方と外見のギャップ” と言うキャラクター設定がここでは生きてないんじゃないか。漫画じゃないんだから。どうしても御嬢様&ボーイッシュのイメージから抜け出せなかった。


No.1222 4点 「新説邪馬台国の謎」殺人事件
荒巻義雄
(2022/06/26 11:52登録)
 邪馬台国と殺人事件の謎を直接結び付ける荒業は良いが、他の部分はミステリとしての構造が雑に思える。
 荒巻義雄は、SF作品ではそれなりに雰囲気作りに貢献する文体なのに、ミステリ系は妙に通俗的。流行の伝奇ものでも書こうかな、だったらもうちょっと一般受けする文体に寄せた方がいいな、と言う心算がやり過ぎて戻せなくなった、って印象。


No.1221 8点 メルキオールの惨劇
平山夢明
(2022/06/20 11:53登録)
 目の前には汚泥が積み上げられており、それを掻き分けて底に至ると、そこには輝きのようなものが見出される。明らかに宝石ではないけれど、或る種の美しさではある。何某かの感動を覚えたことは間違いない。但し、泥の量を鑑みると、割りに合うのか判断は難しい。
 平山夢明を読むことは、自らの耐性を測ると同時に、決して麻痺しきってはいないと確認する行為であるが、それ自体によって状態が悪化することもあり得るので注意が必要だ。


No.1220 8点 誰のための綾織
飛鳥部勝則
(2022/06/20 11:53登録)
 ①事件の展開や少女達の投げ遣りな存在感は非常に読ませる。雰囲気を補完する細かな描写も上手い。蛭女の場面は三津田信三ばりの怖さ。
 ②しかし真相はどうもぱっとしない。言い訳がましい。捻って書かないと謎にならないか。メタネタはやめて、いっそ不条理なホラーにしてもいいくらい。

 両者を秤にかけて、本作では前者(ページ数としては八割以上だしね)を重視して高評価。


No.1219 6点 ただし、無音に限り
織守きょうや
(2022/06/20 11:52登録)
 人死にを扱っていても優しいまなざしを感じるところが良い。ただし、霊関係のルールが未整理なので、ミステリだかホラーだかどっちつかず。


No.1218 5点 錬金術師の消失
紺野天龍
(2022/06/20 11:51登録)
 ファンタジーだと、“何が出来て何が出来ないか” の線引きが曖昧なのである。文中で説明した範囲に収めないとアンフェアだろと思う反面、ファンタジーならではの飛躍したアイデアに期待もしてしまう。私は “水銀を操作して木の壁を自在に動かせる” と推測したが……。
 殺人事件の真相より、最終章で明かされる塔の存在意義、更にその後に示唆される設定が驚きでとても良かった。


No.1217 5点 猫派犬派殺人事件
本岡類
(2022/06/20 11:51登録)
 警察の捜査がテキトーな感じ。これがユーモアってことだろうか。“罠の偽装” はなかなか見事なコロンブスの卵。しかし “何故こんな高価な肉を?” は謎のままだ。

 ネタバレするが、別解を思い付いた。元ピッチャーの死は事故または自殺。従って密室は問題ではない。部屋で発見された証拠品は、彼に罪を着せる為に、捜索に入った警察関係者が持ち込んだもの。そいつは逸早く真犯人の正体に気付き、金目当てで協力関係を結んでいた。どう?


No.1216 9点 方舟さくら丸
安部公房
(2022/06/14 12:10登録)
 今一つ盛り上がらなかった『飢餓同盟』の雪辱戦か。おかしな仲間達の珍道中(嘘)は、昆虫屋とサクラのキャラクター/役割がきっちり分かれていない嫌いはあるが、異様に読み易く面白い。新潮社の〈純文学書下ろし特別作品〉として世に出たのに、安部公房作品中エンタテインメント性はトップクラス。キャリア30年を超えて、ついに何かに開眼した? 結末も『砂の女』より遥かに説得力あり。


No.1215 6点 さよならに反する現象
乙一
(2022/06/14 12:08登録)
 愛読者の求めるものではあるが、代表作になる程ではない作品集か。余白の多い書籍の構成がマッチする作風は得だね。一番好きなのは「悠川さんは写りたい」。乙一らしい坦々とした変な話。でも読み返すと、伏線らしきものが不発? 意外におとなしいまま終わっちゃったか。
 元ネタがある2編は、どうなんだろう?“書ける” 人にこんな企画は必要は無いと思う。

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